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2021-07-25

【陸上】「正気の沙汰ではない!?」ラグビーへの挑戦と今につながる動きの引き出し【寺田明日香#連載11】

東京五輪女子100mH代表の寺田明日香(ジャパンクリエイト)の7人制ラグビー時代

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止まる感覚の習得が動きの引き出しに

 さて、7人制ラグビーで日本代表合宿に帯同するようになったのが2017年1月。それまでほとんど運動していなかったにもかかわらず、特別扱いされることはなく、招集されているメンバーとほぼ同じ量のトレーニングをしなければなりませんでした。

 息は続かない、脚は動かない、重い、痛い。さらに止まれない、曲がれない。

 ただでさえ、長い距離を走るのは大嫌いでしたし、経験したことがない動きばかりとなると、一瞬であの冬期練習前のドキドキ感がよみがえりました。

 そのようななかでも、必死でウェイトトレーニングや実戦練習で一つひとつの動きを意識しながらトレーニングしなければなりませんでした。

 特に“止まる”ことに関しては、身体の感覚をかなり研ぎ澄まさないとコントロールができなかったので、どこに重心を置けばよいのか、身体のどの部分を使えばよいのかを知るために、アンテナを張り巡らせながら動いていました。

 足の裏の感覚を覚えるために、プレートを踏みながら重心位置を変えてみたり、極端に身体を前後に倒してみたりと、“止まる”を習得するだけでさまざまなアプローチをしました。

 それらのことが、今の“動きの引き出し”につながっていることは言うまでもありません。

 心と身体、どちらも強くできるのが、このドキドキ感を超えて冬期練習に打ち込めるようになったとき。さて、皆さん頑張っていきましょう!

文◎寺田明日香 写真◎BBM

Profile
てらだ・あすか
1990年1月14日、北海道生まれ。柏丘中→恵庭北高→北海道ハイテクAC(以上、北海道)→パソナグループ→ジャパンクリエイト。小学生時代に全国で活躍し、中学では伸び悩むも、高校では100mHでインターハイ3連覇、3年時は100m・4×100mRとの三冠。2008年の日本選手権では100mHで史上最年少優勝を飾り、10年まで3連覇。09年のベルリン世界選手権に出場。13年に引退し、大学進学・結婚・出産を経て、16年8月に7人制ラグビー転向。18年12月、陸上競技に復帰し、19年9月に12秒97(+1.2)を出し、19年ぶりに日本記録を更新。ドーハ世界選手権に出場。東京五輪イヤーの今季、4月に12秒96(+1.6)、6月に12秒87(+0.6)と立て続けに日本記録を更新。11年ぶりに日本選手権優勝。東京オリンピックでは決勝進出を目指す。

文◎寺田明日香 写真◎BBM

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