7月21日(水)から27日(火)まで、福島・あづま球場、神奈川・横浜スタジアムで開催される『2020東京オリンピック』。ソフトボール・マガジンWEBでは、元日本代表の山根佐由里さんに、各試合を振り返っていただく。本日は、22日(木)に行われた第2戦のメキシコ戦の振り返りと、23日(金)のイタリア戦の見どころをお伝えする。
若き左腕・後藤が流れを変え渥美のサヨナラ打で勝利 今日は、リリーフの後藤希友投手がすごくいいピッチングをしていましたが、初戦のオーストラリア戦でリリーフ登板した経験がいい形で生かされていましたね。今日は相手に向かっていく、後藤投手らしいピッチングができていましたし、緩急を使った我妻悠香捕手の配球もすごく良かったです。何よりも、リーフ直後に1球でアウトを取れたことが大きかった(捕飛)。あれで、向こうに行っていた流れを持ってくることができました。
走ってマウンドに向かう後藤。初戦の反省を生かし、好投を見せた(©WBSC)
メキシコの先発のD.オトゥール投手はすごく丁寧に投げていた印象です。そんなオトゥール投手に対して、日本は5回に勝ち越しに成功。藤田倭選手が安打で出塁し、山田恵里選手が進塁打を放ち、続く我妻選手も1球で決めました。同点に追い付かれた直後に、わずか5球で取り返すことができた。素晴らしかったと思います。
8回を迎えたタイミングで打順を確認し、これは我妻選手が送って、渥美万奈選手がエンドランを決めるなと、想像できました。渥美選手は当てるのが上手ですし、我妻選手もその前にしっかり送ってくれました。そして、三塁走者の山田恵里選手のスタートも抜群に良かった。7回以降はチームが一丸となって戦っている雰囲気が伝わってきました。
サヨナラ打を放った渥美万奈(写真右)とサヨナラの走者・山田恵里が抱き合って喜ぶ(©WBSC)
サヨナラ勝利に喜びを分かち合う日本代表(©WBSC)
イタリア戦のみどころ イタリアは世界ランキング9位ながら、アメリカ(0対2で敗戦)にもオーストラリア(0対1で敗戦)にも善戦しているので、決して侮れません。制球力のあるピッチャーがいますし、長打を打てるバッターもいる。日本にはこの2連勝で気を緩めることなく戦ってほしいですね。
投手陣に関しては、上野由岐子投手には絶対抑えてくれるという安心感がありますし、後藤投手もこの2試合で自信が付いたと思います。藤田投手はまだ投げていませんが、打撃でしっかりと結果を出しています。打撃が良ければピッチングも乗ってくるタイプだと思うので、心配はしていません。
打撃面では、打つべき人がしっかりと打って、小技やエンドランもここぞの場面で決めることができています。まだヒットが出ていない選手もいますが、いい当たりは出ています。23日以降はイタリア、カナダ、アメリカと続きますが、一戦一戦ベストを尽くしてほしいですね。
【PROFILE】
やまね・さゆり/1990年1月24日、三重県生まれ。右投右打。投手。宇治山田商業高-レオパレス21(2008年~09年)-トヨタ自動車(10年~17年)。トヨタ自動車では12年から16年までの5年間でリーグ記録の42連勝を打ち立て、14年には最優秀投手賞を受賞。日本代表では10年、14年、16年と世界選手権出場。17年限りで現役を引退し、現在はトヨタに勤務しながらソフトボール普及のためメディア等で活躍中。