フラッグフットボールの男子日本代表が、現役大学生のアメリカンフットボール選手で構成された「関東学連選抜」と戦う強化試合が、7月24日、富士通スタジアム川崎であり、日本代表が2連勝した。男子日本代表は、12月にイスラエルで開かれる世界選手権に向け、7月15日にメンバーが決まって以来最初の試合だった。
フラッグ男子日本代表-関東学連選抜第1試合 代表○20-12●学連第2試合 代表○44-6●学連 第1試合は、代表が前半を終えてリードされる予想外の展開。後半にスペシャルプレーからのタッチダウン(TD)で流れを変え、逆転勝ちした。
第2試合は、代表の動きが目に見えて良くなり、オフェンスが多彩なプレーでTDを量産。ディフェンスでも複数のインターセプトを決めて、完勝した。
2人並んでQBの位置にセットする日本代表の伊藤(左)と磯野(右)=2021年7月24日、撮影:小座野容斉
強化試合を毎月行いたい・・・岩井監督 「今回の強化試合で代表が対戦する学連選抜が、チームとして本当に強いかどうかはわからない。でもフィジカルに強い選手、速い選手、でかい選手、パスの球速も速い。そういうことはあるのではないか。それは、アメフトの国際大会で僕らが過去に対戦してきた海外チームとのフィジカルの差に近いものがある」
日本アメリカンフットボール協会(JAFA)の輿亮常務理事が、事前のインタビューで答えた言葉が、ある程度現実となって、男子代表チームの前に立ちはだかった。学連選抜のQB又平憲人(慶大)の豪腕から繰り出すロングボールで一発TDを決められたり、オフェンスでも、TDまで持って行けそうなプレーで、パシュートされて、フラッグを取られたりした。
QBからのロングパスで、1発TDを奪った関東学連選抜=2021年7月24日、撮影:小座野容斉 ただ男子代表の岩井歩監督は、そこは気にしていなかった。「ロングボールで奥を取られたからと言って、下がって守ってはいけない。基本は前でしっかりさばいて守り切ること。そういう意味では、ディフェンスは良く守っていた」と第1試合を振り返った。苦戦の原因は「硬くなっていた。とにかくミスが多かった」という。確かに、レシーバーがフリーになっている場面でパスを落球したり、インターセプトできたはずのプレーで、リターンすることに意識が行ってしまい、ボールを確保できなかったり、というシーンが目についた。
硬くなった原因は「試合慣れしていないこと」だという。この日も、硬さが取れた2試合目は、フラッグ独特のプレーが数多く飛び出し、得点を重ねた。身体能力は高くとも急造チームで、合同練習も2回だけだった学連選抜に力の違いを見せつけた。
日本代表チームと対戦できるレベルのフラッグフットボールのチームは、国内では簡単には見つからない。勢い、紅白戦のような、チーム内での練習試合が多くなるが、「お互いに手の内がわかっているので、それだけでは不十分」という。
12月にイスラエルで行われる世界大会まで、4カ月。「今日の試合は大変ありがたかった。できれば、こういう強化試合を毎月行いたい」という岩井監督。もちろん世界選手権で好成績を残すこと自体が大切だが、来年夏に、米アラバマ州で開催されるワールドゲームスに参加するためには、世界選手権でベスト8以上に入る必要がある。
フラッグフットボール男子日本代表=撮影:小座野容斉 ワールドゲームスは、フラッグフットボールを2028年夏季五輪ロサンゼルス大会で追加種目とすることを目指す国際アメリカンフットボールフットボール連盟(IFAF)と米国の競技統括団体「フットボール USA」が、世界選手権と同様に力を入れている大会。米プロフットボールNFLも全面的に支援する。
多摩川をはさんだ東京では、この日から、2020東京五輪の熱い戦いが始まっていた。いつかはそこに加わるという大きな目標に向かって、代表チームもJAFAも関東学生連盟も、みな同じ船に乗っている。
切れ味鋭い動きを見せた、フラッグフットボール男子日本代表のキーマン、磯野元浩=2021年7月24日、撮影:小座野容斉 ◇
同日、世界選手権に向けた女子日本代表候補も、男子のフラッグチームと2試合を戦った。
第1試合 女子代表候補●28-32〇ゴールデンメッツ麻布第2試合 女子代表候補〇22-7●横浜ドライリーフス 現在の19名から最終15名まで絞るのは9月ごろになるという。
女子日本代表候補も2試合を戦った=2021年7月24日、撮影:佐藤誠

女子日本代表候補も2試合を戦った=2021年7月24日、撮影:佐藤誠

女子日本代表候補も2試合を戦った=2021年7月24日、撮影:佐藤誠