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2021-09-01

「QBとして林は高田鉄男に匹敵した」橋詰監督が語った日大フェニックスの2年半

日大フェニックスを再建した橋詰さん。次のステージでも活躍を期待したい

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日々のフットボールの中で築いた信頼

――日本の歴代QBのナンバー1は高田鉄男さんだろうと思うのです。何とかしなければいけないときに何とかする。

橋詰 そうですね。絶対に慌てない。大変な状況になってもヘラヘラしていられる。

――林君はそういうタイプではない?

橋詰 どっちかと言うと試合前は緊張して固まっているんです。それがだんだん最後のほうはそうでなくなってきた。試合中のタイムアウトをどこで取ろうかと言っても「いや、何でもいいですよ」とか言えるようになってきた。

――写真を撮っていて感じたのは、橋詰さんと林君が、コーチとQBとしてとてもよい関係を築いていたことです。そうなった過程を教えてください。

橋詰 最初は拒絶がありました。当然だと思います。事件はありましたが、フットボールのゲームとして失敗があったわけではない。大成功しているのに、違う要因で戦術を全部変えなければならなくなった。今までやってきたことを否定された。また一からやり直しなさいといけない。「やってられへん」という反応が出たのは普通だと思います。

 ただ最初に話したように、今まで日大でうまくいっていた戦術であっても、僕が知らないことを組み込んでもよい結果は生まれないという確信がありました。

「前の結果は知らない。僕はこれしかできないしわからない。これをやりなさい」と言い続けました。なぜこれがよいのか、なぜこれをやれと言うのか、説明し続けました。その中で少しずつ成功体験が積み重なってきました。

 彼は、言われたことに「はいはい」と服従するタイプではなく、納得できなければ「いやそれは違いますよ」と言い返す子です。対話をずっと続けて、2回ほど喧嘩もしましたが、日々の中で、お互いがわかり合えるようになっていったということです。

――今までやっていたことは違っても、林君は橋詰さんのフットボールに適合する資質を持ったQBだったのではないでしょうか。

橋詰 その通りですね。どこかの時点で、僕は「あ、これはできそうやな」と思いましたね。僕は林と、人としてプライベートな部分で付き合ったということは1回もないですし、フットボールの話しかしていない。日々のフットボールの中で築き上げてきた人間関係であり信頼関係です。

――昨年の日大。集大成という点では、林君の負傷はあったにせよ、甲子園ボウルの関学大戦になるのかもしれませんが、試合としてやるべきことができたのはどの試合でしょうか。

橋詰 開幕戦の法大戦ですね。1年間かけて準備をしてきましたから。

小座野容斉

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