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2021-09-22

【ボクシング】元王者・大森将平が地元・京都のリングで引退式

引退式に臨んだ大森

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 元日本バンタム級王者で世界挑戦経験もある大森将平(ウォズ)の引退式が22日、WBC世界ライトフライ級タイトルマッチが開催された京都市体育館で執り行われた。同5日付けでJBC(日本ボクシングコミッション)が引退届けを受理し、ホームページで公示していた。

文_船橋真二郎 写真_早浪章弘

山中、村田に続く南京都高出身の“逸材”

 世界奪取の期待を集めたサウスポーが28歳で引退を決断したのは、新型コロナウイルスの影響もあったという。

「自分との戦いですね。浮き沈みが激しくて、どうしても試合へのモチベーションが上げられなくて。このままでは、みなさまに申し訳ないと思い、ボクシング界を離れることを決意しました」

同僚・徳永幸大(右=ライト級)とともに、日本チャンピオンコンビとして活躍した 写真_BBM
同僚・徳永幸大(右=ライト級)とともに、日本チャンピオンコンビとして活躍した 写真_BBM

 プロボクサーだった父・正喜さんの影響で、中学2年のときにウォズジムに入門した。高校ボクシングの強豪校・南京都(現・京都廣学館)高校で本格的にキャリアをスタート。高校3年時のインターハイで全国大会初出場(ベスト16)、国体で準優勝の結果を残し、高校卒業直後の2011年4月、18歳でプロデビューした。

 無傷の7連勝で翌2012年の全日本バンタム級新人王を勝ち取った当時から注目されたが、期待が大きくふくらんだのは2014年5月、初の地元・京都のリング(島津アリーナ京都)。高校の先輩・村田諒太(当時・三迫/現・帝拳)のセミファイナルで、同じく先輩の山中慎介(帝拳)とWBC世界バンタム級王座を争ったクリスチャン・エスキベル(メキシコ)を4回KOで下した一戦だった。特に最初のダウンを奪った右アッパーのタイミングの鋭さは、見る者に鮮烈な印象を残した。

増田を鮮やかに倒して日本バンタム級王者に 写真_BBM
益田を鮮やかに倒して日本バンタム級王者に 写真_BBM

 2015年4月、オープニングラウンドに2度倒すスタートから益田健太郎(新日本木村)を3ラウンドでストップし、日本バンタム級王者になったときは満員の後楽園ホールにニュースター誕生の予感が充満した。だが、同年12月、WBOバンタム級指名挑戦者決定戦に臨み、サウスポーのカウンターパンチャー、マーロン・タパレス(フィリピン)に4度倒される2回TKO負け。試合会場の島津アリーナ京都は静まり返った。8ヵ月前の熱狂とのコントラストは、リングの常とはいえ、あまりに残酷だった。

第2の人生をしっかり歩む

 再びメキシカンの世界ランカーを下し、こぎつけた初の世界挑戦は、王者のリー・ハスキンス(イギリス)がケガを理由に直前でキャンセル。2017年4月にようやく実現したと思えば、因縁の王者・タパレスが体重オーバーを犯した末、11回TKO負け。試合中に負ったアゴの骨折でブランクをつくり、階級を上げた再出発の一戦も対戦相手の計量失格で中止になるなど、初黒星を境に歯車が噛み合わない印象もあった。

 再起後2連続KOで迎えた2019年8月、東洋太平洋スーパーバンタム級王者・勅使河原弘晶(当時・輪島功一スポーツ/現・三迫)との注目の世界ランカー対決に最終12回TKO負け。昨年12月、2度の日程変更を経て新鋭・西田凌佑(六島=現・WBOアジアパシフィック・バンタム級王者)と対戦し、判定で敗れた試合がラストファイトになった。

しっかりとした口調で、地元ファンに挨拶
しっかりとした口調で、地元ファンに挨拶

「いろいろな方に支えられて、今日があります。この恩をボクシングで返すことはできなかったんですが、第2の人生をしっかり歩んで、また違った形で応援してくださったみなさまに返していきたいと思いますので。これからも、どうか温かく見守ってください」

 目標に掲げていた京都のジムから初の世界チャンピオンは果たせなかったものの、当時、指導を仰いでいた園寿和トレーナー(現役時は京都拳闘会所属)以来、約25年ぶりに日本のベルトをもたらすなど、古都のボクシングを盛り立てた功労者。地元のリングで惜別のテンカウントゴングに送られて、約10年のプロキャリアにピリオドを打った。最終戦績は25戦21勝(16KO)4敗。
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