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2021-10-20

【ボクシング】金谷はデビュー戦で元新人王・竹田に勝利。2戦目の大久は東と引き分け

金谷の右と竹田の左が交錯

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 20日、東京・後楽園ホールで行われた6回戦に、中央大ボクシング部出身の2選手が登場。この日がデビュー戦(ミニマム級)となった金谷勇利(かなや・ゆうり、25歳=金子)は、2018年度全日本新人王で日本同級14位の竹田宙(たけだ・そら、21歳=S&K)に57対56、57対56、56対57の2-1判定勝利。プロ2戦目(60.0㎏契約)の大久祐哉(おおく・ゆうや、25歳=金子)は、猛烈なファイター東祐也(あずま・ゆうや、22歳=北海道畠山)と58対56、57対57、57対57の1ー0で引き分けた。

文_本間 暁 写真_馬場高志

 技巧派サウスポーの竹田に対し、金谷は基本的に単発の右ストレートを合わせにいく戦い。両ヒジが大きく開いた構えの癖がある金谷に、竹田は左ストレートをボディに刺し、サイドに回るというボクシングを繰り広げたかった。
 だが、竹田本来のリズミカルでハイテンポの連打は、この日、あまり見られなかった。一撃のパワーに優る金谷の単打に合わせるかのように、力の入ったブローが目立った。金谷のペースに巻き込まれてしまったと言ってもいいのかもしれない。プロの先輩としての意地、相手興行という意識が過度に働き、力で対抗しようとしたのかもしれない。

 5回、竹田が左ストレートをボディに送り、右フックを返すと、金谷はバランスを崩して倒れ、カウント。ダメージはさほどなく、金谷はその後も強い右ストレートを放っていった。
 ダウンのあった5回以外は、ともにはっきりとしたラウンドを作れなかったが、結果的に金谷の右強打がジャッジに評価された形だ。かつての名王者・勇利アルバチャコフの名前のつく金谷は、初戦からフルを戦う能力を示した。
 竹田は1月の新人王対決となった森且貴(大橋)との前戦で、微差を落としたものの、打ってサイドへ動くボクシングが冴えた。そのスタイルに磨きをかけてほしいものだ。9戦6勝(1KO)3敗。

立ち上がりこそ、自信満々に強烈な右を打ち込んだ大久だったが……
立ち上がりこそ、自信満々に強烈な右を打ち込んだ大久だったが……

 7月に初回TKO勝利でデビューを飾った2019年度全日本社会人ライト級王者の大久は、序盤こそ上体を立てながら放つ左右ストレートに重さを感じさせた。だが、木村蓮太朗、湯川成美(いずれも駿河男児)、前田稔輝(グリーンツダ)ら強豪とのタフな試合をこなしてきた東は、フルパワーのスイングでグイグイと迫り、大久の距離、リズムを壊しにかかった。3回に東の右スイングで左目上をカットした大久は、続く4回に東の叩きつけるような左ボディブローを食って失速。ボディが効いてしまったため、それまで伸び伸びと打っていたストレートも、腕が伸びず威力も欠いた。
 一気呵成といきたい東だが、どうしても顔面へのスイングを狙ってしまい、大久を生きながらえさせてしまう。大久もなんとか最終ゴングまでなだれこませたが、ダメージと疲労の色濃さを感じさせた。

4回以降、東のボディブローが効きまくり、大久は大失速した
4回以降、東のボディブローが効きまくり、大久は大失速した

 昨年から今年にかけて3連敗中の東にとっては悔しいドロー。気持ちを全身から発散し、最初から最後まで全力で前進とスイングを続けるのは実に気持ちがいい。ラフ戦法は大久相手に効果を上げたが、冷静さ、駆け引きが必要だ。フィジカルの強さも、もっと無駄を削ぎ落とせば有効に使えるはずである。13戦5勝(1KO)6敗2分。
 2戦目でプロの厳しさを味わった大久は、早い段階でいい経験ができたと思う。打ち終わりの防御意識は、いまのうちに持っておいたほうがよい。

東(左)、大久、ともに悔しい引き分け
東(左)、大久、ともに悔しい引き分け

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