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2021-11-01

【陸上】駅伝のスピードをマラソンへ――日本歴代5位・土方英和(Honda)、進化の途中

ベルリンでは貴重な経験を積んだ土方

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今年2月のびわ湖毎日マラソンで日本歴代5位の2時間06分16秒で2位となり、一躍トップランナーとして飛躍した土方英和(Honda)。発展途上の大器は、さらなる高みを目指し、まずは実業団2年目の駅伝シーズンに挑む。

ペース変動の激しい
トップレースのなかで

 2021年度の前期シーズン、伊藤達彦が10000mで、青木涼真が3000m障害物(SC)で東京五輪出場を果たすなどHonda勢が存在感を見せた。一方で2人と同期入社でマラソンを主戦場に置く土方英和も着実に歩みを進め、9月18日に行われたベルリンマラソンで2時間11分47秒の9位の成績を収めている。「順位ももっと上を取りたかったですし、タイムもこれまで走ったマラソンのなかで一番悪かったので喜べる結果ではありません」と本人は満足していないものの、コンディション的にも不運だったことを考えれば結果だけで評価できないレース。Hondaの小川智監督も「初の海外マラソンを経験することが何よりの目的だった」と語り、ここで見えた収穫と課題を今後につなげることが重要との見方を示した。

 ベルリンではチームの先輩、設楽悠太が2018年の東京マラソンで出した2時間06分11秒に目標をおいた。土方がレースを進める予定の第2グループのペースメーカーは中間点を63分15秒で通過する設定。設楽が記録を出した際はここを62分43秒だったが、土方は前半に余裕を持ち、後半に上げていくイメージだった。

 だが、不運なことにペースメーカーが安定して機能しなかった。想定より大幅に速くレースは進み、実際の土方の通過は62分17秒。これは今年、2月にびわ湖毎日マラソンで鈴木健吾(富士通)が2時間04分56秒の日本記録を出した際の62分36秒を上回る。他の日本人選手は途中、後退する選択をとるなか、土方は「離れたほうがきつくなる」と果敢にチャレンジした結果だ。だがさらに不運だったのが、ペースの変動も大きかったことであり、中間点に至るまで4回の5km毎のラップでは最大で12秒変化した。そのダメージはレース後半に土方に重くのしかかり30㎞以降に大きくペースダウン。最後はレースをまとめ切れなかった。後半の気温が20度前後まで上がった気候も災いしただろう。

文/加藤康博 写真/Getty Images

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