11月7日(日)に開催される学生三大駅伝の今季2戦目となる第53回全日本大学駅伝(名古屋→伊勢/8区間106.8km)。前回優勝の駒大、10月の出雲駅伝で初出場初優勝を飾り勢いに乗る東京国際大、厚い選手層を誇る青学大を筆頭に、優勝
争いに絡む強豪校を紹介する。
駒大は2年生エースの鈴木の動向次第か?前回大会では8区で逆転し、史上最多の13回目の優勝を飾った駒大。10000mの自己ベストチーム上位8名の平均タイム28分11秒48は参加チーム中トップだ。
エースの田澤廉(3年)は日本選手権10000m2位の実績をひっさげての駅伝シーズン。今年10月の出雲駅伝でも最終6区区間2位ながら3つ順位を上げており、昨年の8区では逆転劇を演じ、優勝の立役者となった。今回もこの区間での起用が濃厚だろう。上位で田澤につなげば連覇の可能性が高まる。また10000mチーム3位の記録を持つ唐澤拓海(2年)は大学駅伝デビューとなった出雲では4区区間8位と力を発揮しきれなかったが、「状態は上がってきた」と大八木弘明監督も期待を寄せる。不安要素は股関節の疲労骨折で出雲を欠場した鈴木芽吹(2年)の状態だ。もし彼が今回も欠けるとなると大きな痛手となるだけに、まずはオーダーにその名があるかに注目したい。
ほかには長距離区間を担える選手として5月の関東インカレ2部ハーフ2位の花尾恭輔(2年)、同7位の佃康平(4年)がいる。また新戦力としては今季、5000mで急成長を遂げた安原太陽(2年)、佐藤条二(1年)も中盤区間でチームを支えそうだ。
春の故障から出遅れていた青柿響、白鳥哲汰(共に2年)について、大八木監督は夏合宿終了時、「箱根を見据えて調整していく」と秋の駅伝での起用に慎重だったが、想定より早く状態が戻っている様子で16名のエントリーに名を連ねた。10000mでチーム4番手の白鳥、5番手の青柿が加われば戦力は一気に増す。出雲駅伝は5位とまさかの敗戦を喫した駒大。得意の全日本では王者の貫禄を見せたいところだ。
出雲Vで勢いに乗る東京国際大分厚い選手層の青学大出雲駅伝では3区以降トップを維持する完勝で初出場初優勝を飾った東京国際大は今、最も勢いに乗っているチーム。全日本では過去最高順位(2019年4位)の更新はもちろん、一気に頂点を狙う。留学生は過去2年、ルカ・ムセンビ(3年)がこの伊勢路を走ったが、過去2回の箱根駅伝3区、2区で圧倒的な区間記録をつくり、今季5000mで学生記録を樹立したイェゴン・ヴィンセント(3年)を起用する可能性が高い。起用されるとなると最長区間(19.7km)の最終8区だろう。最後の逆転が期待できるだけでなく、そこまでの区間を担う選手たちにとっても心理的にゆとりを与え、好走を引き出せるはずだ。9月の日本インカレ5000m3位のエース・丹所健や山谷昌也(共に3年)、佐藤榛紀ら1年生など十分な戦力を備えるだけに、台風の目というより優勝候補の一角としてレースの主役になれる戦力だ。
10月の出雲駅伝で初出場初優勝を果たし、最も勢いのあるチームの東京国際大昨年4位の青学大は5000mで13分台が22名という選手層に加え、近藤幸太郎(3年)が5000mで13分34秒88、10000mで28分10秒50の青学大レコードホルダーとなり、西久保遼(3年)が関東インカレ2部ハーフを制し、エース格も成長を遂げた。出雲は近藤が1区区間賞、西久保は出走しなかったが、この2人が3区、8区を担うオーダーが予想される。「優勝争いに絡みながら、箱根に向けてチームづくりをしていく」と原晋監督は勝負と強化の場として見据える。
2年前に8区を担った飯田貴之(4年)と前回の5区区間賞の佐藤一世(2年)に加え、新戦力では若林宏樹(1年)も出走メンバーに入りそうだ。そして最大のカギを握る選手が岸本大紀(3年)。1年時に箱根2区を担った逸材も、昨季は故障でタスキをかけていない。今季は復調の様子を見せているだけに、復活が実現すれば大きな戦力となる。
エース・近藤を筆頭に分厚い選手層を誇る青学大
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