X1スーパー 第6節
パナソニックインパルス○26-20●富士通 第フロンティアーズ
(2021年11月13日、富士通 第スタジアム川崎)
パナソニック6勝(勝ち点18)、富士通5勝1敗(勝ち点15)となり、パナソニックが今季リーグ戦1位が確定した。
【得点経過】
富士通 第1Q11:49 RBトラショーン・ニクソン 8ヤードTDラン(K西村豪哲キック成功)
13プレー69ヤード 6:05 [7-0]
パナソニック 第2Q2:46 QBアンソニー・ローレンス→WR木戸崇斗 14ヤードTDパス(K佐伯眞太郎キック成功)
7プレー38ヤード 2:57 [7-7]
命取りとなった2度のファンブルロスト
一時は19点差が付いた試合は、終わってみれば26-20。敗れた富士通は、格好はついたが、第2Qにターンオーバーから許した失点の分だけが届かない結果となった。
富士通の2回のファンブルロストを振り返りたい。
最初のファンブルは、エクスチェンジミス。パナソニックのタッチダウン(TD)で同点とされた直後の富士通オフェンスの最初のプレーだった。パナソニックのインサイドDL有村雄也がスナップ前にスタートして前に飛び出した。これに誘発されるように、富士通のC臼井直樹がスナップしてしまったようだ。QB高木翼は、意図せぬスナップに反応できず、ボールを落とした。これをパナソニックDLデイビッド・モトゥがリカバーした。NFLであればニュートラルゾーンインフラクションで、パナソニックのペナルティとなるが、このプレーではイエローフラッグは飛ばなかった。
2度目のファンブルは、富士通の切り札、RBトラショーン・ニクソンのランプレーで起きた。ニクソンがボールを持った左サイドへのスイーププレーで、パシュートしてきたパナソニックのOLBジャボリー・ウィリアムズのタックルが、ボールを弾き出した。写真で確認すると、ウィリアムズのヘルメットが、ボールを抱えたニクソンの腕をヒットしていた。
富士通は2度のターンオーバーの後、ディフェンスが踏ん張りTDを防いだが、パナソニックはK佐伯がフィールドゴール(FG)を確実に決めた。
佐伯は、第2Qの3本を含め、4本のFGを決めた。ディフェンスの強いパナソニックが決めるFGは重い意味を持つ。その積み重なりが、富士通の勝機を押しつぶした。
目指すは日本一奪還のみ
パナソニックの荒木延祥監督にとって、アウェーの富士通スタジアム川崎は、近年、屈辱の場だった。
昨年11月のオービックシーガルズ戦では、逆転勝利を目前にしながら、痛恨のファンブルで敗れた。1昨年の9月には富士通と戦い、一時は7-35とリードされるほどの大敗を喫した。試合中に勝利以外の目標を設定しなければならなくなった、荒木監督にとって初の体験だったという。
その強力オフェンスの富士通相手に、第4Q途中までは完勝だった。第1Qは、ニクソンのTDを許したものの、第2Q、第3Qは得点させなかった。特に、富士通オフェンスがハーフタイムアジャストして臨んだはずの第3Qは、3回とも3rd&アウトに封じ込めた。
オフェンスも手ごたえのある試合だった。QBローレンスはパス28/37、219ヤード2TD。成功率は75%を超え、インターセプトを許さない、今季一番の出来だった。木戸崇斗、小倉豪、ブレナン翼というWRトリオにパスを投げ分けた。木戸は9キャッチ98ヤードはチームトップ、先制TDも決めた。ブレナンは第3Qに高さを生かしたTDパスキャッチで、リードを広げた。
パナソニックが、試合中とはいえ、富士通相手に3ポゼッション差としたことは近年なかった。荒木監督の心中は、2年前のリベンジを果たした思いだったのではないか。
荒木監督は試合後のハドルで、「今日は良く戦った」と選手たちを称えた。
とはいえ、第4Qにキャッチアップを許したのは反省材料だ。パナソニックのフットボールは、大きく強く破壊的だが、時として、選手もサイドラインも「目の前の相手を圧倒した」ことで満足してしまうところがあるような気がする。最後の一瞬まで、気を緩めずに戦い抜くことが、これからの戦いでは最も重要になる。
試合後のインタビューで、リーグ戦1位を決めた感想を聞き漏らした。もう一度呼び止めてそれを尋ねると荒木監督は「ああ、そうでしたか。言われるまで気づきませんでした」と、無頓着だった。オービック、富士通と並んでBIG3、3強と言われながら、ライスボウル優勝はこの10年でも1度だけ。荒木監督の頭の中には日本一奪還しかない。
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