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2021-12-20

【ボクシング】井岡一翔が大みそかの防衛戦を語る。「戦うからには結果を出す」

気持ちはすべて入れ替わっている。井岡は新たな闘志を会見での応答ににしのばせた

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 WBO世界スーパーフライ級チャンピオンの井岡一翔(志成)は20日、オンラインで記者会見を開き、12月31日に東京・大田区総合体育館での対戦が予定されていたIBF王者ジェルウィン・アンカハス(フィリピン)との対戦が急きょキャンセルされたこと、福永亮次(角海老宝石)に相手を代えて試合を行うことについて、現在の心境を語った。

 アンカハスとの対戦が延期になったと聞いたときときは、さすがショックだったという。「心に穴が開いたような気持でした」。当然だ。4階級制覇を達成した井岡が、心をひとつにして目標に掲げてきたのがスーパーフライ級での4団体統一だ。IBF王座を9度も防衛しているアンカハスとの対戦は、自分のボクシングの現在地を証明し、さらに大きな野望へ向かう大事な足がかりにもなる。オミクロン株の流行により、そんな大事な戦いができなくなるのは、まったくの想定外だった。だが、ジムワークは続行した。

「アンカハス戦がなくなったからと言って、年末をゆっくり過ごそうという気持ちにはなれませんでした」

 手抜かりなく、きついスパーリングも続行した。その総数は100ラウンド近くにもなるという。やがて、福永との対戦が持ち上がる。東洋太平洋、WBOアジアパシフィック、日本と1度は日本選手に認められるアジアの3大タイトルを独占した35歳の強打者が代役として名乗りを上げた。常に前に、もっと上にと戦いの場を探し求める井岡には「メリットのある試合」ではなくても、リングに立てる幸せを改めてかみしめた。

「こういう状況下では、望みがすべて叶うわけではありません。次にいつ試合ができるかわかりません。そんなときに試合のチャンスを与えられたことに感謝します。チャンスを与えられたからには結果を出すしかありません」

 福永がアンカハスと同じ身長、さらにサウスポーと言うのも、動揺を最小限に抑えられる要因にもなった。

「福永選手は決して油断できる相手ではありません。タイトルを次々に獲ってきていて勢いがあります。それにこういう形でも、世界戦のチャンスが与えられたので、気持ちも上がっているはずです。もし、逆の立場だったら、僕もそうですから」

 本番まで残り時間は11日。着々と準備は進めている。あと2度ほどスパーリングをこなして完全に仕上げるという。

「試合をするからには、今年の最後を締めくくるような、いい形で戦いを終わらせたいと思っています」

 福永戦をクリアできれば、1月にリング立つ計画を持つアンカハスとの新しいスケジュールは、可能な限り速やかに道筋をつける方向で話は進んでいる。

「お互い1戦はさんでから戦いましょうと同意しています」(二宮雄介マネージャー)

 恋焦がれた統一戦に向けて、井岡にとって、福永との防衛戦は、ただの行きずりの戦いではない。

写真◎志成ジム提供

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