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2021-12-30

2021年「プロレス大賞」ベストバウトの武藤敬司戦後に右肩手術を決断…ドキュメント潮崎豪復帰<3>【週刊プロレス】

 昨年8月に右肩を負傷しながらも潮崎豪はGHCヘビー級王者として満身創痍でも闘い続けることを選んだ。2021年2月12日に10年2カ月ぶりとなる日本武道館大会が決定。挑戦者として名乗りを上げてきたのは武藤敬司だった。
※週刊プロレス2021年1月5&12日合併号掲載。

 潮崎は中嶋に続いて、12月6日の国立代々木競技場第二体育館大会で杉浦貴の挑戦を退け、GHCヘビー級王座V6に成功。その一戦も51分44秒も死闘だった。同大会ではちょうど10年2カ月ぶりとなる日本武道館大会への再進出も発表。試合後には武藤敬司がチャレンジャーとして名乗りを上げてきた。

「I AM NOAHとして久々の武道館にはGHCを持って戻りたかった。これをワンチャンスで終わらせたくなかったし、ずっと続けていきたかったし、ベルトを守って武道館のリングを降りたかったんです」

 迎えた今年2月12日、NOAH武道館大会のメインイベント。戦前には「有酸素プロレス」「技のデフレ」論争もあり、タイトルマッチがどちらの世界観になるかという勝負もあった。そんな中、潮崎はチャンピオンとして終始、試合の主導権をつかんだ。武藤が「染まりたくない」と語っていたNOAHの闘いをリングに描くことができたのである。

 しかし、結果は起死回生のフランケンシュタイナーで敗北。最大の見せ場も武藤の“ムーンサルト・プレス逡巡”に奪われた。試合の9割以上を支配していた潮崎にとっては、今年の「プロレス大賞」ベストバウトに選ばれようが、悔しさが残る一戦と言っていい。

「武藤敬司のしたたかさ、巧さですよね。最後のフランケンシュタイナーなんてまったく頭になかったし、やられた瞬間にやられた!と思いました。今でも悔しいですからね。ベストバウトに選んでいただいて、ありがたいって気持ちもありますけど、オレは負けてますからね」

 GHCヘビー級王座から陥落してからしばらく経った後、長期欠場、手術、リハビリが頭をよぎるようになった。前々からベルトを守り続けている間は闘い続けようと決めていたが、腰が軽くなって数日経って、冷静に考えてみると一つの結論にたどり着く。

「今、このタイミングでしかできない」

 当時の右肩では100%の力を出すことができない。実際に武道館での武藤戦でも試合中に雪崩式ブレーンバスターを仕掛けた際、右肩が言うことを聞かずに崩れてしまった。自身の技が不完全な形になったことも、タイトルマッチに負けてベルトを失った悔しさをよりいっそうのものにしていたのである。

 そんな状態ではGHCヘビー級王座に挑戦すらできないと潮崎はわかっていた。再びNOAHの頂点に立つためには、右肩にメスを入れなければならない。

 病院では「手術した方が今よりはよくなる」と言われた。やはり「本当に今よりもいい状態になるのか」と不安にもなったが「今よりも悪くなることはない」と決断。3月14日の福岡大会を最後に長期欠場生活に入った。
(つづく)
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