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2022-03-03

佐々木健介vs鈴木実、前田明vs平田淳二、藤波辰巳vs小沢正志…“前座の名勝負”なるジャンルが誕生! 新日本プロレス歴史街道50年(24)【週刊プロレス】

佐々木健介vs鈴木実

 日本マット界のトップを走る新日本プロレスだが、決して順風満帆だったわけではない。選手の大量離脱や興行不振など度重なる窮地を乗り越え、現在の地位を築いた。その一番の原動力となっているのが、多くの一流レスラーを育て上げてきたこと。それが選手層の厚さにもつながっていった。そしてその副産物として“前座の名勝負”なるジャンルが生まれた。

 昭和の時代、プロレス界には序列、格があった。デビューしてしばらくは若手同士、あるいは先輩の胸を借りるシングルマッチが連日組まれた。次の段階になってようやくタッグマッチが組まれる。そしてどの次が外国人レスラーとの対戦だ。そこで認められて海外に旅立つ。まだ海外武者修行といわれていた時期。

 当時も新日本プロレスの若手はヤングライオンと呼ばれていたが、それはあくまで若手全体の称号。リング上だけでなくリング外でもライバル心を燃やしていた。

 大技の使用も制限されていた時代。ヘッドロックやボディースラム、グラウンドでの関節の取り合い、チョップやストンピング、腰投げ、ショルダースルーなど基本技で試合を組み立てなければならない。ドロップキックも1試合に1発か2発。逆エビ固め、キャメルクラッチが決め技だった。

 同期はもちろん、先輩であってもリングに上がれば関係ない。頭ひとつ、いや半分でも先に出て海外遠征の切符をつかみ取るのがヤングライオンたちの目標だった。当然、それだけリング上での闘いには熱が入る。いつしか「若手の闘いも面白い」と評判になっていった。

 時代によって異なるが、旗揚げ直後の藤波辰巳(当時)vs小沢正志(のちのキラー・カーン)、藤波vsリトル浜田(のちのグラン浜田)、佐山聡(のちの初代タイガーマスク)vs小林邦昭、前田明(当時)vs平田淳二(のちのスーパー・ストロング・マシン)、前田vsジョージ高野(のちのザ・コブラ)、飯塚孝之(当時)vs鈴木実、佐々木健介vs鈴木など、この2人の闘いなら外れなしといった好勝負が繰り広げられるようになっていった。

 いまでこそシリーズ前に各大会の第1試合からメインイベントまで全対戦カードが発表されるが、当時はシリーズ中のTVマッチやビッグマッチの主要カードのみが事前に告知される程度。地方大会や前座の試合は当日発表。会場に入ってパンフレットを購入、「本日のカード」の欄に押されているゴム印を見てようやく知る。そこに前記した組み合わせがあれば“見に来て得した”と思ったものだ。

 また、そんな若手の闘いから“未来のメインイベンター”を発掘するのも“通のファン”の楽しみだった。

 また、荒川真(のちのドン荒川)の試合も前座の名物だった。“ひょうきんプロレス”と称された闘いはファン以上にレスラー仲間が楽しみにしており、アントニオ猪木までもがドアのスキ間などから覗き見していたほど。荒川の試合中は控室がカラになるといわれていた。思わず力が入ってしまう闘いが続くなかでストロングスタイルとはかけ離れた荒川の笑いを誘うファイトは、緊張感をほぐす役割を果たしていた。

 もちろん他団体でも同じような闘いはあったのだろうが、“前座の名勝負”と称されたのは新日プロのみ。これもまた猪木イズム、ストロングスタイルの一つの結晶かもしれない。

橋爪哲也

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週刊プロレスNo.2169(2022年3月16日号/3月2日発売) | 週刊プロレス powered by BASE

今週号の表紙はNOAH名古屋大会でGHCヘビー級王座を奪取した藤田和之です。大会翌日にはNOAHへの電撃入団を発表するサプライズ。そのほかにもさまざまな動きがあった同大会と25日の横浜大会を合わせて、NOAHの試合を巻頭カラーから詳報します。スターダムは長岡でビッグマッチを開催。ワンダー王者の上谷沙弥がV2、ハイスピード王座戦は王者のスターライト・キッドを破ったAZMが約1年ぶりに王座奪還。後楽園大会では両国参戦が決まっているKAIRIとスターライト・キッドが一触即発になるなど両国へ向けての流れも加速。GLEATは本旗揚げ後、初となる後楽園ホール大会を開催。初代G-REX王座決定トーナメントの準決勝&決勝がおこなわれエル・リンダマンが田村ハヤトを破り初代王者に。巻末言では鈴木裕之社長を直撃し、トーナメント総括&新日本との交流について聞いてます。全日本は後楽園で3大タイトルマッチ開催。三冠戦は宮原健斗が大日本のアブドーラ小林を破りV1。そのほか世界タッグ、世界ジュニアのタイトルマッチ中心にリポート。試合がなかった新日本は新IWGPジュニアタッグ王者・田口隆祐&マスター・ワトにインタビュー。鈴木秀樹の復活連載も隔週でスタート。そのほかDDT後楽園、ドラゲー和歌山、大日本・新木場、東京女子プールプロレス、アイスリボン後楽園、FREEDOMS横浜など掲載。【注意】発送後の返品・返金は原則不可とさせていただきます。送料は無料ですが、第三種郵便での発送となります。通常2~4日でのお届けとなります。また、事前に購入されても発売日にお届けすることは、お約束できません。ご了承ください。

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