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2022-03-14

【名古屋ウィメンズ】現役大学生の鈴木優花がMGCへ。鈴木を鍛えた大東大のサーキットトレーニングと日本代表への可能性

名古屋ウィメンズで5位の鈴木優花(大東大4年)。卒業後はマラソンの名門、第一生命グループへ



35km以降は「活を入れられた感じです」

30kmまでは省エネの走りをして、余裕があれば残りの12.195kmは「駅伝の走り」をするつもりだった。ペースを上げたり、競り合ったりする走りである。実際には25kmから16分53秒にペースを上げ、上りのある35kmまでは17分14秒にペースを落としたが、その10kmでは「駅伝の走り」ができた。

だが35~40kmは17分50秒にペースが落ち、細田との差も100mくらいまで詰めてはいたが、残り2.195kmでは逆に引き離されてしまった。

「35kmからはきつくて、とにかくもがいて走りました。それだけの練習が積めていなかったんです。マラソンをなめていたわけではありませんが、距離慣れしていなかった。活を入れられた感じです」
最後に細田の粘りに屈した形になったが、「細田さんに追いつきたい」と思って走ったことはプラスに働いたと感じている。

「細田さんが少しずつ見えてきたときも、“焦るな”と言い聞かせて走っていました。学生記録が出せたのは最後まで(崩れず)走ることができたからで、細田さんが前を走ってくれたからです」

学生記録は前田彩里(佛教大4年、現・ダイハツ)が14年大阪国際女子マラソンで出した2時間26分46秒で、そこまで高いレベルの記録ではない。だが気持ちが切れていたら、大きくペースダウンして破れなかった可能性もあった。そのくらい終盤はぎりぎりの状態で走っていた。

35km以降に課題を残したが、鈴木が今後代表争いをする選手に育つ可能性は十分感じられた。4月からは第一生命グループに入社する。大東大で習得したトレーニングと、マラソン名門チームのノウハウの両方を生かしていくつもりだ。

2度目のマラソンは1年後が有力である。

「(23年秋開催の)MGCでは勝ち切ることが目標になるので、その前のマラソンではタイムを出したい。2時間20~21分くらいを出せる力をつけたいですね」

前学生記録保持者となった前田は、初マラソンから1年後の実業団ルーキーシーズンに2度目のマラソンを走り、2時間22分48秒と一気に記録を伸ばした。その年の世界選手権代表にも選出された。鈴木が2度目のマラソンでも前田を上回る記録を出せば、日本代表争いに加わっていく。



鈴木優花
すずき・ゆうか◎1999年9月14日、秋田県出身。中仙中→大曲高(秋田)→大東大4年。2019年のユニバーシアードでハーフマラソン優勝。21年、日本インカレ10000m優勝。自己ベストは10000m31分37秒88、ハーフ1時間11分27秒(共に19年)。名古屋ウィメンズで2時間25分02秒とマラソンの日本学生記録を樹立。卒業後は第一生命グループへ。

文/寺田辰朗 写真/毛受亮介、中野英聡

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