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2022-03-21

クリス・ベンワーが生前に語った引退への思い「日本でキャリアを終えたい…」新日本プロレス歴史街道50年(29)【週刊プロレス】

2004年2月、日本公演でクリス・ジェリコと対戦したクリス・ベンワー

 前回に続いて、クリス・ベンワー20年前のインタビュー再録。今回は本格的にプロレス人生を歩み始めた新日本プロレスへの思い。彼の言葉の端々からは、WCW、WWEに主戦場を移しても、心の奥底に野毛の道場で過ごした1年間がしっかりと焼きついていたことがうかがえる(2002年1月18日、都内ホテルで収録)。
※表記、記録は掲載当時のもの

――新日本の道場で学んだことって何ですか?

クリス ベーシックなレスリングテクニック。それは練習、コンディショニングも含めてね。もともとダイナマイト・キッドにあこがれていたこともあって、ニュージャパンのレスリングスタイルが好きだったし、あの1年間があったからこそ、ここまでなれたんだと思う。だからニュージャパンには感謝しているよ。もちろんプロレスラーへの道を開いてくれたスチュ・ハート、ニュージャパンを紹介してくれたバッドニュース・アレン、カルガリーでコーチしてくれたミスター・ヒトにもね。

――ミスター・ヒトは若手に「クリス・ベノワーの試合を見習え」と言ってますよ。特に「相手をロープに飛ばすときは、ベノワのように体全体を使え」って。

クリス そう言われるのはうれしいね。でも、それは自分がミスター・ヒトとかニュージャパンのドージョーで学んだこと。レスリングの基本で、別に特別なことではないんだけど。

――留学期間が終了してから何度も新日本で闘いました。ライガーとはジュニアヘビー級のいいライバルでしたね。

クリス 彼の存在も大きかった。2人とも体は大きくない。そんな共通点もあったし。ドージョーにいるときからライバルだった。

――ライガーは「WWFとの契約が終わったら、新日本マットに戻ってきてほしい」と言っていました。

クリス It's my dream! できることならそうしたいね。実はいつになるかわからないけど、日本でレスリングキャリアを終えたいと思っているんだ。デビューした国で引退するのもいいんじゃないかって。あの時、自分のファーストマッチを見てくれたファンに、ラストファイトを見てもらいたい。

――希望する相手は……。

クリス ライガー!

――その新日本は今年、創立30周年のメモリアルイヤーを迎えました。何かメッセージは?

クリス ジャパンで30年も続いた団体はほかにないだろ? ニュージャパンがトップでいたからこそジャパンのプロレスは発展してきたと思うし、自分も含めてそこでキャリアを積んでアメリカで活躍している選手も多い。そういう意味ではプロレス界全体の発展のためにもっともっと歴史を積み重ねてほしい。自分のラストマッチをしてもらうためにもね(笑)。

――日本のファンにWWFのどの部分を見てほしいですか?

クリス ジャパンのファンはレスリングを見る目がしっかりしている。そこで高く評価されたのは自分のプライドでもあるしね。今はジャパンにたくさんのレスリングカンパニーがあり、たくさんのスタイルがあるそうだね。そんな状況の中でもWWFのスポーツエンターテインメントは新しいジャンルだと思う。きっとジャパンのファンにも受け入れられると思うし、(3・1)ヨコハマがジャパンにおけるスポーツエンターテインメントの始まり。ぜひ、ライブで楽しんでもらいたい。これが世界に誇るレスリングであることをお見せする。でも、自分はニュージャパンスタイルの方が好きだけど(笑)。ニュージャパンで育ったプライドは今も持ち続けているよ。
(この項おわり)

橋爪哲也
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