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2022-04-01

「練習で自己ベストを出すのは“1億パーセント”無理」リオオリンピック金メダルの萩野公介が競泳の裏側を語る~リポビタン for Sports presents「The Deep」~

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スポーツライターの金子達仁(左)がパーソナリティーを務める「The Deep」第19回放送のゲストに登場したのは、2016年リオオリンピックで金メダルを獲得した萩野公介(右)

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 3月27日(日)20:00~、スポーツライターの金子達仁氏がパーソナリティーを務めるニッポン放送のリポビタン for Sports presents「The Deep」の第19回放送で、2016年のリオオリンピック、男子競泳400m個人メドレーで金メダルを獲得した萩野公介が出演した。萩野は昨年の東京オリンピックでは、200m個人メドレーで6位入賞、大会後に引退を表明している。

是非聞きたかったことがあります。ゲンを担ぐタイプですか?

「ゲンを担ぎますね。小さい頃は必ず神社に行っておみくじを引いてました。ルーティンが自分の中にあり、それがひとつでも崩れてしまうと、”あれやってないけど大丈夫かな?”と気になってしまいます。例えば、競泳の試合会場に入場する前にギリギリまで座っているのが僕のルーティン。でも、それが出来ない会場もある。ギリギリに立とうが、立たなかろうが、タイムにそれほど影響するとは思えないですが。どうでもいいようなルーティンがいくつかあって、そういうことで自分を落ち着かせてゲンを担ぎます」

水泳はあくまでご自身の問題。タイムを出せば大丈夫。ここに相手はあまり絡んでこない。運、不運が介在する余地があまりない。それなのにゲンを担ぐのはなぜだろう?

「簡単なものこそ難しいと僕は考えている。なぜなら、コースロープがあるから誰にも邪魔されない。いきなり隣から殴ってくることもなく、足を引っ張られて泳げなくなることもない。オリンピックという場面になっても、いつも泳いでいるのと同じ50mのプールとしては、どこも変わらないです。だけど、そこに4年に一回というものが付属される。例えば、今日の調子はあまりよくないけど、”一生懸命練習してきたけど大丈夫かな?”とメンタル的なことも入ってくる。それで実力を100出すことが凄く難しいんです」

そこにちょっと神様の力も必要だと思うことがあるわけですね。

「神様の力が必要とはあまり考えないですけど、ただ何か自分にとって少しでも力になるものがあるのなら、“すみません、その力をください”という気持ちです。特にハイレベルな試合でそうなります。例えば400mの個人メドレーだと距離が長いので、1位、2位、3位の距離が結構離れるんです。2秒、3秒空いたりする。でも、50mの凄く短い距離になると、0.0何秒差になる。何かをミスして0.0何秒遅くなるのは簡単なんです。スタートして入水の角度がちょっと深かった、ちょっと浅かった。それだけで0.1秒の差は一瞬で変わる。それに、誰にも邪魔されないはずなのに隣の選手が頭一個分くらい前に出ていると思ったら、“もっと頑張らなきゃ!”と思って、力んで逆に遅くなることが物凄くあるんです。競技によっては予選、準決勝、決勝とあって、当然決勝が一番プレッシャーがかかるため、準決勝で一番速いタイムが出ることも結構あります」

練習よりも本番のほうが圧倒的にいいタイムが出せるという。

「競泳の場合、自己ベストのタイムを練習で出すのは無理です。1億%無理です。絶対に試合のほうが速い。本番を見据えた練習だと思っても、心の奥底にこれは試合じゃないという気持ちがあるんでしょうね。練習中に決してサボっているわけじゃないのに、本番よりも確実にタイムが落ちます。それが不思議なところです。気持ちのどこかで試合だというスイッチの入れ方があるとしか思えない。試合を100だとすると、練習で98なら出せるけど、100を超えることはない」

スタジオで多くを語った萩野公介
スタジオで競泳の奥深さ、難しさを語った萩野公介

読者からの質問です。レース前に真っ赤な手形が体についているのを見ました。痛いくらい強く叩くのですか? どういう効果があるのですか?

「アドレナリンが出ているから、痛さを感じてないですが、手形がつくくらい叩きます。でも叩いたからとタイムが速くなることはまったくないと思います。気合いを入れる意味で叩いている。なんなんですかね? 僕が叩かないでレースに出たら、パフォーマンスが落ちると思います。僕にとっては必要な行為です。ルーティンで叩かなければと思って痛いときもあります。そういうときは、やる気がないんだなと思います。ちょっとタイムが遅くなるかもと思いましたね」

リカバリーはどうしていましたか?

「栄養にはみんな気を使っていました。レースが終わった後にはバナナを食べたりゼリーを飲んだりして栄養を摂取する。試合前はレース中に脱水症状になると困るので、水分を多めに摂っています。体の水分量が下がるとパフォーマンスも下がるので」

泳いでいる途中に脱水になる!

「あると思いますよ。気付かないだけで汗が物凄い出てますから。1回練習したら体重が2、3kg簡単に減ります。それが全部汗です。見えないけど」

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 2008年のオリンピックで金メダルを8個も獲ったマイケル・フェリプスの話など、さらに詳しく聞きたい方、今回の放送を聞き逃した方は無料アプリ「radiko」でタイムフリー機能を使えば、放送1週間後まで聴取可能となる。

大正製薬
リポビタン for Sports ブランドサイト

ニッポン放送 
リポビタン for Sports presents 「The Deep」
毎週日曜20時~絶賛放送中。
radikoで放送1週間後まで聴取可能。
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