新生UWFの東京ドーム大会がおこなわれた1989年11月29日、その裏で全日本では歴史的事件が勃発していた。同日「世界最強タッグ決定リーグ戦」の公式リーグ戦で天龍源一郎がパワーボムでジャイアント馬場からピンフォールーー。 1960年にプロレス入りして、長きにわたって日本マット界のエースの座に君臨してきた馬場が初めて日本人相手に喫した完璧なピンフォール負けの瞬間だった。
「パワーボムはでかくてあまり上がらなかったけど、その分鋭角に決まったね。あれを返されたら、俺がやられてただろう」(天龍)
多くの人の視線がUWFの東京ドームに向けられている中、天龍は老舗団体としての意地を爆発させたのである。現在も語り継がれる同一戦後、歴史的偉業を成し遂げた本人は「しばらくしたら、とんでもないことをしたって思うようになるんじゃないかな。今日の1勝もまた、東京ドームより重い1勝だな」と語った。
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