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2022-05-05

【陸上】日本選手権10000m女子展望:参加標準記録突破者4選手を中心に展開。注目の不破の状態はいかに? 

そのコンディションに注目が集まる不破(写真/中野英聡)

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5月7日、東京・国立競技場において第106回日本選手権10000m(兼オレゴン世界選手権代表選手選考会)が開催される。ここまで、女子の世界選手権参加標準記録(31分25秒00)突破者は、不破聖衣来(拓殖大2年)、廣中璃梨佳(日本郵政グループ)、五島莉乃(資生堂)、安藤友香(ワコール)、小林成美(名城大4年)の5名。うちアジア大会マラソン代表に内定している安藤、また日本記録保持者でこの種目の東京五輪代表の新谷仁美(積水化学)も世界選手権はマラソンで代表に内定しており、エントリーを見送っている。
突破者4選手が今大会で3位以内に入れば代表内定となるだけに、し烈な争いが予想される。

実績では廣中、持ちタイムでは不破だが……

実績で見れば、廣中の存在感が大きい。前回大会は自身2度目の10000mながら、廣中らしさである序盤から積極的に前を引く展開で進め、残り3周からスパートを仕掛けて優勝を飾った。東京五輪は5000mで14分52秒84の日本新記録を樹立して9位、10000mでは31分00秒71で7位入賞を果たしている。今回のレースが今季初戦となるが、優勝に最も近い存在と言っていいだろう。

東京五輪10000m7位入賞の廣中(写真/中野英聡)
東京五輪10000m7位入賞の廣中(写真/中野英聡)

昨年、5000mでU20日本選手権、日本インカレを制した不破は12月の関西実業団ディスタンストライアルで初の10000mに出場。ペースメーカーがいないなかで独走劇を演じ、日本歴代2位の30分45秒21で世界選手権参加標準記録を大きくクリアして周囲を驚かせた。ロードでも昨年10月の全日本大学女子駅伝5区、12月の全日本大学選抜女子駅伝5区、今年1月の全国都道府県女子駅伝4区とすべてで区間新記録を出す、他を寄せ付けぬ走りを見せ、一気に女子長距離界のスターへと駆け上がっている。ストライドの大きな走りが特徴で、ハイペースで押し切る強さは圧巻の一言だ。

しかし急成長の反動からか1月後半から右足アキレス腱周辺に炎症を起こし、3カ月ほど走れない時期を過ごした。練習復帰から1週間後の4月17日の日本学生個人選手権5000mは1000m3分30秒ペースで走ることを目的として出場。最下位だったものの、狙いどおり17分30秒47で走っている。ここから3週間でどこまで回復しているかにかかっているが、時間的にも万全に仕上げることは難しいだけに確実に3位を狙うレースとなりそうだ。

好調を維持する五島
高いレース対応力備える小林

中央大時代の2019年にイタリア・ナポリで行われたユニバーシアード(現・ワールドユニバーシティゲームズ)10000mで2位に入った経験がある五島も積極性を持ち味とする選手。現在に至るまで好調を維持し続けている。昨年12月に31分10秒02で参加標準記録を突破すると、1月の全国都道府県女子駅伝1区で区間賞、2月の全日本実業団ハーフマラソンでも日本歴代5位、女子単独レースの日本新記録となる1時間08分03秒で日本人トップの2位。4月の金栗記念5000mは日本人3位。中盤以降に引き離す展開に持ち込めば、代表の座が大きく近づく。

昨年末から好調を維持する五島(写真/毛受亮介)
昨年末から好調を維持する五島(写真/毛受亮介)

小林は学生個人選手権10000mを制し、ワールドユニバーシティゲームズの代表の座を手にしている。前回大会は終盤に順位を上げ3位。「昨年はレースプランと違う流れになっても対応できたので、その経験を生かして自分の走りをしたい。勝負優先の大会になるので記録にはこだわりませんが、自己ベスト(31分22秒34)に近い状態には持ってきたい」と本誌の取材に答えている。フィニッシュ前の勝負強さもあり、こちらでも日の丸をつかむ力は、兼ね備えている。

世界選手権の代表入りも狙う小林(写真/中野英聡)
すでにユニバー代表に内定している小林は、世界選手権代表入りも狙う(写真/中野英聡)

他には東京五輪5000m代表の萩谷楓(エディオン)や、ラストのスパート力に優れる佐藤早也伽(積水化学)、ハイペースへの対応力のある岡本春美(ヤマダホールディングス)も目が離せない存在だ。

廣中、五島が序盤から主導権を握ることが予想され、30分台を見据える高速レースになる可能性が高い。そこに小林、佐藤がどのようにつき、ラスト勝負に持ち込むか。実力者が力をぶつけ合う激しいレースが期待できそうだ。

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