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2022-06-14

“復活”大阪プロレス勢らが故テッド・タナベレフェリーのお墓参りに 13年目にしてようやくできたうれしい報告【週刊プロレス】

テッド・タナベさんのお墓に手を合わせた選手、関係者

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 あれから丸13年が経とうとしている。

 2009年6月14日、大阪・道頓堀のMove Onアリーナで開催された大阪プロレスの大会のメインでカウント3を入れた直後に心臓発作で倒れ、病院に搬送されたテッド・タナベ(本名・田邊哲夫)レフェリー。一時は回復に向かったものの、翌15日昼過ぎ、息を引き取った(享年46)。それからテッドさん最後の弟子である吉野恵悟レフェリーが世話役を務める形で命日前後になるとテッドさんが眠る名古屋市内の寺院にゆかりのある選手、関係者が集まり手を合わせてきた。

 とはいうものの、2014年4月に大阪プロレスが“解散”して所属選手がバラバラになったことでなかなかいい報告ができないでいたが、今年は“大阪プロレス復活”といううれしい知らせを墓前に供えられるとあって、テッドさんが眠る名古屋市内の寺院に13日、吉野レフェリーをはじめ、ゼウス、ブラックバファロー、ビリーケン・キッド、三原一晃、クワイエット・ストーム、アレス、宮尾信次郎統括マネジャーといった大阪プロレスレギュラーメンバーのほか、篠塚誠一郎リングアナ(元みちのくプロレス)、菊タロー(フリー)、菅沼修(同)、入江茂弘(#STRONGHEARTS)、影山道雄(チームでら)、グルクンマスク(琉球ドラゴン)、ハイビスカスみぃ(同)、小仲=ペールワン(666)と、“多団体男”と呼ばれたテッドさんらしく、さまざまな団体から例年以上に大勢が集まった。

 梅雨入り前後の時期とあって毎年、空模様が心配されるが、今年も好天に恵まれた。それはまるで、テッドさんが雨雲を遠くに吹き飛ばしてこの日を心待ちにされていたかのよう。それにこたえるかのように、おごそかな雰囲気とはほど遠く、テッドさんに再会を楽しんでもらおうと、お墓の周りは何度も笑いに包まれた。


 墓参りを終えたゼウスは、「まずは『大阪プロレスを自分がやることになりました』と。実は去年(の今ごろ)は大阪プロレスをやりたいと交渉してる時期だったんで報告できなかったんですが、『みんなでやることになりました』と伝えました。『みんなで仲良く力を合わせて、健康でケガもせず元気で頑張っていけますよう、大阪に、そして日本に貢献して盛り上げていける団体になりますよう見守っていてください』とお願いしました。テッドさんはきっと大阪プロレスを見守っていてくださってると思うんです。だからこれからも毎年、いい報告ができるように頑張っていきます」と明かした。

 そして「自分はデビューしてすぐにバッドフォースっていうユニットに入ったんですけど、それを作ったのがGAINA選手とテッドさんで。レスラーとレフェリーがユニットを作るってブッ飛んでますよね。その当時テッドさんが、デビューして間もない僕をメキシコに行かそうって言ってくれたり、みちのくプロレスに参戦して新崎人生さんと絡んでたのもテッドさんが間に入ってルートを作ってくださったからで。ほんとにテッドさんにはデビュー当時からかわいがっていただいたと思ってます。

 吉野レフェリーがテッドさんの最後の弟子ですけど、選手としては僕が最後にかわいがっていただいたんじゃないかなと思ってます。それだけにテッドさんには特別な思い入れがありますね。僕がボクシングに行ってる時に亡くなられて。あの日は僕も病院に駆けつけて。ほかのみんなも駆けつけてて。あの時の病室でのシーンは今でもはっきり覚えてます。僕の試合のレフェリングもしてくださって、それだけ期待かけてくださってたんだなぁって。

 2019年には『全日本プロレスで三冠チャンピオンになりました』って報告できましたけど、あの当時の恩をまだお返しできてないっていう思いでずっとあって。今年は『こうやって大阪プロレスをやることになりました』って報告できて、テッドさんの期待にこたえられてるんじゃないかって思ってます。これで終わりじゃなく、テッドさんに喜んでいただける団体、テッドさんの魂に見守っていただける団体にしていきたいですね。そうなるように導いていただきたい」と個人との思い出とともに決意を語った。

 また吉野レフェリーは、「やっといい報告ができたかなと。ゼウスさんをはじめ大阪プロレスのみんなも来てくれたんで、余計にテッドさんが愛してくださった大阪プロレスがちゃんとした形で復活できてうれしいなっていう気持ちと、そこに自分も携われるというう喜びがありますね。この1、2年はテッドさんも経験したことないだろうっていうほど大ピンチに見舞われた業界でしたけど何とか乗り切ってるし、徐々にではありますけど元に戻りつつあるんで、『頑張りましたよ』っていう報告ができて。自分自身も『現状で満足してるわけじゃないので、さらに上を目指していくんでサポートしてください』ってお願いしました」と墓前で伝えた内容を明かした。

「先日、アメリカに行ってまた感じたこともありましたし、自分は今年レフェリー生活15年になるんでテッドさんのキャリア(レフェリー生活22年、業界歴30年)を超える日がアッという間に来るんだろうなって思うと、それまでにテッドさんよりももっとすごいところに上がってやりますよという気持ちですね」と思いを語った。

 現時点では吉野レフェリー個人の考えでしかないが、大阪プロレスで開催されるリーグ戦やトーナメントを「テッド・タナベ杯」と冠したい思いがある。

「それが許されるのは大阪かみちのくでしょうけど、テッドさんの名前を残していただけるのはありがたい。個人的にはテッドさんの名前を忘れてほしくないという思いは強いですね。亡くなられて13年も経ってるわけですから、最近のプロレスファンはテッド・タナベの名前を知らないわけですよ。そういう人たちにも“こういう人がいたんですよ”っていう働きかけをしたいので、リーグ戦やトーナメントに名前をつけることで、そこから調べてくださる方が1人でもいたらうれしいですね。今のこのインディー団体がたくさんある戦国時代は、あの時(90年代前半)にテッドさんがいろんな団体でレフェリングされてなかったらなかったかもしれないですし、そういう意味でも功績をたたえてほしいっていう思いはあるんで。そのきっかけになるのなら」と胸の内を語った。

 テッドさんはみちのくプロレスだけでなく、オリエンタル・プロレス、FMW、W★ing、PWC、バトラーツなど、レフェリー以外にもリングアナや営業も含めて旗揚げ戦や旗揚げ直後の団体に数多く携わってきたが、弟子である吉野レフェリーも活躍の場は多団体に及ぶ。

「このままだとテッドさんを知らない人の方がこれから増えていくわけですから、そういう形でテッドさんの名前を残していけるのなら、自分もできる限り働きかけていきたいと思います。『テッド・タナベ杯』……お笑いのトーナメントになってしまうかもしれないですけど(笑)。その中にシリアスなファイトしかしないような選手も混じって、体重ではなくファイトスタイルが無差別、本当の意味での“無差別級”のトーナメントになったりして。デスマッチも裁かれてましたし、それもいいんじゃないですか」と笑い、「来年からもいい報告ができるように頑張っていきたいですね」と締めくくった。

 生前、テッドさんが開いていたブログに最後にアップされていたタイ焼きを供えてお墓参りを終えた一行は、場所を同市内のスポルティーバに移して「テッド・タナベとゆかいな仲間たち」を開催。ファンとともにテッドさんに闘いを供えた。

橋爪哲也

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週刊プロレスNo.2187 (2022年6月29日号/6月15日発売) | 週刊プロレス powered by BASE

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