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2022-06-15

【陸上】活況の男子中距離戦線に再浮上。日本選手権1500m優勝の飯澤千翔(東海大)の世界選手権出場への挑戦「最低でも標準突破をできるよう、頑張りたい」

日本選手権初制覇を果たした飯澤

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第106回日本選手権(6月9日~12日/大阪・ヤンマースタジアム長居)大会2日目に行われた男子1500m決勝では、飯澤千翔(東海大4年)が3分42秒82で初優勝。ついに日本一をつかんだ大器は、オレゴン世界選手権出場権を獲得するため、6月22日に参加標準記録(3分35秒00)突破に挑む。

苦しんだ2年間を経て
ついに日本選手権優勝

今季の飯澤は5月3日の木南記念で3分38秒55と3年ぶりの自己ベスト更新、続く関東インカレ1部1500mも圧倒的な強さで制し、好調だった。その関東インカレ後には「日本選手権は確実に3位以内に入ること。そしてホクレンディスタンスチャレンジ20周年記念大会(北海道・深川/6月22日)でオレゴン世界選手権参加標準記録の3分35秒00を切りたい」と世界への道筋を描いていた。

しかし日本選手権1日目に行われた予選後はややトーンダウン。

「これまでの実績を考えてもまずは入賞が現実的な目標。そのうえで隙があれば3位以内を狙いたいです」

日本選手権は2019年、2021年と過去2大会に出場しているが、ともに決勝12位。この予選でも動きがよくなかったと振り返り、慎重な言葉を口にしていた。

翌日の決勝。先頭が400mを59秒台、800mを2分1秒台で通過するなか、集団の後方でレースを進めた。そこから徐々に位置を上げると、残り1周で仕掛けた館澤亨次(DeNA)に反応。「レース中にどう動くかをイメージできました」とバックストレートで先頭争いに加わり、残り150mを切ってからのスプリント勝負を制した。

「予選では無駄な動きがあったので決勝は全体を見渡して、荒井さん(七海、Honda)と館澤さんの2人をマークしながら自分の仕掛け所でしっかり勝負するというレースプランを立てました。ラストになれば、絶対に負けないという自信があったので、最後まで我慢して得意のスパートで勝負しました。大学2年、3年と地獄のような思いをしてきたので、うれしいです」
故障に苦しみ、また思うような結果が残せなかった時期が長かっただけに、レース後は最高の笑顔を見せた。

持久力の向上とメンタル面の成長

西出仁明・東海大コーチは今回の優勝の要因として2つの面で飯澤の成長を語る。

「彼の課題が持久力であることはずっと分かっていました。ですので、この冬はスピードを維持しながらも練習の本数を重ねる粘り強い練習をしてきました。そのベースをつくったうえでシーズンに入ってからも持久的な練習を入れながらここまで来たことがうまくいっているように感じます」

昨年は試合前の1週間は走行距離を大きく落として調整していたが、その後、強化の練習に戻すと疲労が出て、質の高い練習を消化できないことがあった。そのため冬期から週間160km程度走る習慣をつけ、シーズンインしてからも走行距離の波をつくらずそれを維持してきた。持久力の向上が練習の継続、そして得意のスプリント力を生かすことに生きていると話す。

「そしてメンタル面も成長しました。以前は調子がいいと自分にプレッシャーをかけ、普段通りの動きができなくなっていましたが、そこをしっかりコントロールできるようになったと思います。予選後に“確実に入賞を目指す”と言ったのもそのためでしょう。私たちの目には調子が良く、上位を狙えることは分かっていました」

今季は大学の先輩であり、前日本記録保持者の荒井と合宿を行ってきた。そこで荒井から経験や競技に対する考え方を学び、自分自身を客観視すると同時に、たとえ練習でうまく走れなくても、目指すイメージを失わずにポジティブに考えていく術を身につけたと西出コーチは話す。「競技者として大人になりました」と称えた。

6月22日には世界選手権参加標準に突破に挑む
6月22日には世界選手権参加標準に突破に挑む

オレゴン世界選手権代表へのチャレンジはまだ続く。参加標準記録3分35秒00は日本記録3分35秒42を上回るハイレベルなターゲットだが、今季、飯澤は3分33秒を目指した練習を継続してきただけに、心理的な壁は感じていない。

「目標が3分33秒というのは変わりません。深川では最低でも標準突破できるように頑張ります」

西出コーチも「条件次第ではありますが、狙える力はあると思います」と期待をかける。このまま一気に世界の舞台に駆け上がっていくことを期待したい。

文/加藤康博 写真/毛受亮介、中野英聡

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