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2022-06-26

日本一のエンターテインメント目指す大阪プロレス、第一歩は日本一の天神橋筋商店街から【週刊プロレス】

第1試合はお笑い要素の濃い闘い。初めて大阪プロレスを見る観衆からも笑みがこぼれた

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25日、大阪プロレスが大阪・北区の天神橋筋商店街にリングを設置し“商店街プロレス”を開催した。

1丁目から6丁目まで全長約2.6kmと日本一長いことで有名な天神橋筋商店街。約600軒の店舗が並んでおり、あまりにも長いことから商店会は1~3丁目、4~6丁目と2つに分けられているほど。そのほぼ中央に当たる4番街からJR天満駅の改札に向かう交差点の広場にで行われた商店街プロレス。再旗揚げを発表してから商店街のイベントに参加することはあったが、試合を披露するのは今回が初。

JR天満駅のプラットフォームから見下ろせる場所。大阪環状線を降りて改札口を通り、商店街までの高架沿い100m程の狭いスペース。向かいのファストフード店の2階は闘いを見ながら食事できる“特等席”。すぐそばを5分おきに電車が通り過ぎていく。普段から通行量の多い商店街の傍らにリングが設置されているのは非日常の光景。「何が始まるんだろう?」と興味本位の買い物客や家族連れが大勢足を止め、早くからリングを取り囲む。試合開始時間が近づくにつれてリングを取り囲む輪は何重にも大きくなっていき、通行の妨げになるほど。第1試合終了後には観覧に制限が設けられるほどになった。

イベントは入場式でスタート。第1試合に出場する選手から順に紹介されてリング登場。そのたびにマイクを手にする“ホリデー・パラダイス式”。ブラックバファローは、「私も30年以上、プロレスをやってきましたが、こんな環境で試合するのは初めてです。私も楽しみますので、皆さんも楽しんでください」とあいさつした。

第1試合のザ・ボディガーvsえべっさんでは、ちょっとおふざけが過ぎやしないかと思われる展開だったが、初めてプロレスを見る観衆からも笑いを誘う。しかし第2試合では一転して、ルチャ・リブレ特有のスピードあふれる展開と空中殺法、流れるような連係技で何度も歓声がわき上がった。

感染症まん延防止措置も緩和され、マスクを着用していれば声援を送ってもいいとしたことで、商店街には拍手だけでなくコールも響き渡る。第3試合ではペロが10年ぶりに大阪プロレスに参戦。大阪プロレス再開に際して誕生した新キャラクターの大坂丈一郎相手に独特の“ペロワールド”で対抗。勝利を挙げると「天神橋筋商店街は大阪プロレスを離れてからしばらくこの近くに住んでいて、恥ずかしい話ですがプロレスだけでは生活できない時期にほかの仕事をして、仕事が終わってからご飯を食べていた思い出深い場所です」と過去を明かした。

その後、雨足が強くなって中断。その間に急きょ撮影会を開催するなどで集まった大勢のファンを飽きさせないあたりは、地域密着を掲げる団体ならでは。残念ながら最後に予定されていたバトルロイヤルは中止されたが、メインイベントに繰り上がった第4試合では正面からぶつかり合う激闘を展開。雨天中断までに沸き起こっていた拍手や歓声は、驚きの声に変わった。

ジャックハマーでブラックバファローをマットに沈めたゼウスはコーナーに上がると、プラットホームから観戦していた乗客を指さしてアピール。新生になって初の商店街プロレスは無事終了した。

旗揚げに際してゼウス社長は、目標の一つとして「イベントに参加して、それもプロレスをして大阪の商店街を盛り上げたい」を掲げた。それが早くも3カ月目で実現にこぎつけたわけだが、年明けに千日前・道具屋筋でのイベントに参加したことがきっかけ。道具屋筋の商店会会長が大阪市内全域に商店街組合の会長でもあり、各商店街に声をかけてくださったという。

さらに天神橋筋商店街のなかの店舗が大阪プロレスをスポンサードしている関係から話が進んだ。「最初はマットを敷いてプロレスをしようという話でしたが、それはちょっと違うなって感じてて。大阪プロレスのプロレスをお見せするにはやっぱりリングがないと。リングが組める場所はないかと思いながら商店街を歩いてたら、天満駅にこのスペースがあって。屋外なので雨が降ったらどうするかとか問題はありましたけど、商店街の方々がとても協力的で実現できました」とゼウス社長は語る。

「とにかく日本一の商店街でプロレスができたことは感謝です。今後もショッピングモールや各地の納涼大会、マラソン大会などほかのイベントとコラボしてなど、いろいろと話は進んでます。まずプロレスをお見せして大阪プロレスを広めていって、自主興行につなげていきたい。今年は月1回ペースですけど、来年は倍の大会を考えてます。無事に終わりましたし、大成功だったと思います」

しかしこれで喜んではいない。「やりっ放しではダメ。リング撤収はもちろんですけど清掃まできちんとして、ここまでしてくれるんかと思わせないと次につながりません」。その言葉通り、イベント終了後のゼウス社長は商店街関係者だけでなく交通整理に当たった警備員一人ひとりにまで頭を下げて礼を述べていた。そんな誠実な姿勢があってこそ、大阪プロレスを応援しようとの思いにつながると理解している。

「プロレス界だけじゃなく、日本一のエンターテインメント団体に」が目標の大阪プロレス。日本一の商店街で、その第一歩を踏み出した。

橋爪哲也

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