陸上のオレゴン世界選手権初日の男子20km競歩で大会2連覇を果たした山西利和(愛知製鋼)が7月22日に帰国。空港での会見に応じ、あらためて自身が成し遂げた偉業について振り返った。
――金メダルと2連覇を達成して帰国した感想は?
山西 まずは本当にありがとうございました。おかげさまで連覇を達成できました。一つひとつ積み重ねた結果ではあるんですが、こういう形で世界選手権を終えられて、すごくホッとしています。
――前回優勝者として、どんな気持ちで挑んだのですか。
山西 連覇にチャレンジできるのは自分だけでした。そのチャンスをしっかりものにしたいな、という気持ちもありましたが、目の前のこの1本がすべてなので、このレースをきっちりモノにすることが大事かな、と考えていました。
――真の世界チャンピオンと言っても過言ではないと思いますが、どう受け止めていますか。
山西 まだその途上だと思います。ここから来年、再来年と今回のような勝ち方を重ねていくことが、そこにつながっていくんじゃないかと思います。
――日本人選手のワンツーフィニッシュ(2位は池田向希/旭化成)については?
山西 それは本当に良かったと思います。世界で複数メダルを取れるチームになってきたということですから、そこは強化の成果かなと思います
――山西選手にとって池田選手はどんな存在ですか。
山西 僕より若い選手ですので、常に尻を叩かれていますね。年下の選手は怖いですから。
2位の池田(左)とは、刺激し合う関係を築いている 写真/三尾 圭――世界チャンピオンとしてどういう姿を見せていきたいと考えていますか。また、今後の目標は?
山西 今後の目標については来年の世界選手権と2年後のパリ五輪で、今回やった以上のレースができればいいかな、と思っています。
――前回のドーハ大会でフィニッシュテープを切ったときの冷静な表情と、今回のオレゴン大会での歓喜の表情の違いは、どんな心境の変化だったのでしょうか。
山西 (他にもありますが)ひとつは展開だと思うんですよ。ドーハのときは優勝できそうだと、ラスト数キロである程度分かっていました。それに対して今回はラスト1kmまで勝負がもつれました。その辺の違いもあるのかな、と思います。
――ラスト1kmまでもつれた勝負をモノにすることができたのは、どういう点が良かったからですか。
山西 ラスト1kmが良かったというより、それまでの19kmが良かったのだと思います。それだけ相手を削るレースが展開できていたから、ラスト1kmできちんと勝負できる形に持ち込めた。
世界選手権20km競歩ではラスト1kmで抜け出し、強さを見せつけた 写真/三尾 圭
――去年の五輪の結果(銅メダル)の翌年に、改めて世界一になったことで気持ちの変化や感じることはありますか。
山西 難しいですね。東京五輪で負けたことで得られたものもたくさんあったと思います。それでもやっぱり勝ちたい、勝つために……(かなり逡巡した後に)勝つためという部分も、レースに出る勝負者としては大切なポイントだと思うんで、そこに改めてこだわる“だけ”という言い方は変ですけど、そういう思いを東京五輪以降、改めて感じさせてもらえたのかな、と思います。
――尊敬する鈴木雄介選手(富士通)の世界記録を目指す、と以前話していましたが、今の気持は?
山西 チャンスがあれば、出ます。
――来年2月の日本選手権でしょうか。
山西 体のコンディションを見ながらやってもいいかな、と思っています。
――10月の高畠で35km競歩に出るというプランもありますか。
山西 チャンスがあれば、というかコンディション次第ですね。秋以降のスケジュールはまだ白紙の状況です。ワイルドカード(次回世界選手権出場権)をまたもらえたので、来年の2月3月のスケジュールも選考会に縛られずに考えられます。その辺をどう組むかに関してはこれからです。