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2022-07-30

【ボクシング】基本に忠実に。英洸貴がトリッキーな髙橋利之に3-0勝利。日本ユース王座を初防衛

英(2020年2月、撮影=本間 暁)と髙橋(今年5月、撮影=山口裕朗)

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 30日、石川県・内灘町総合体育館で行われた日本ユース・フェザー級タイトルマッチ8回戦は、チャンピオン(日本同級15位)の英洸貴(はなぶさ・ひろき、23歳=カシミ)が髙橋利之(22歳=KG大和)に77対75、78対74、79対73の3-0判定勝利。昨年11月に亀田京之介(ハラダ)から奪った王座の初防衛に成功した。

※ユース王座とは、A級ライセンス(8回戦以上を戦う資格)を持つ選手で、24歳未満の者で争うタイトル。若い選手たちのモチベーションを上げ、特に大都市以外の地区の活性化をも目的として、2017年に創設された。

 アゴをしっかりと引き、決して派手な動きを見せない。しっかりと左ジャブを放ち、ワンツーを丁寧に打つ。U-15全国大会にも出場するなどボクシングキャリアの長い英は、基本に忠実なボクシングを貫いた。運動能力に優れ、遠い距離から飛び込むようにして右から左フック、左右アッパーカットを打ち込むなど、トリッキーな攻撃に持ち味のある高橋だが、英は、小さなステップバック、サイドへの動き、ヘッドムーブなどでこれをかわした。

 初回にポイントがあった。スピードと、静から動への変化に自信を持つ髙橋が、フェイントを入れながら放つ左。この引き際に、英は右ストレートを必ずリターンした。髙橋は、左を打つその反動で飛び下がる動作が癖づいており、英の右をまともにはもらわなかった。しかし、セコンドからしきりに「右を狙われてるぞ」と声が飛んだように、英の右への意識は過剰になった。本来、もっと食い込んでいってもいいはずの髙橋のブローは、英の懐の深さ、アゴの引き、ガードの堅固さに阻まれた部分もあるが、無意識のうちに伸びを欠いていたように思う。そこに加えて、髙橋の連打の間隙に英が必ず差し挟む左ジャブ、右ストレートがヒットした。 時折、同時打ちを見せた両者だが、アゴの締めが強い英の顔は弾かれず、髙橋の顔面は再三のけ反った。これはジャッジへの印象点を大きく左右するものでもあった。

 2回のバッティングで左目上を小さくカット、鼻からも若干出血していた英だが、地元での勝利に表情は緩んだ。「見ているのはこのタイトルではなく、日本、アジア……です」と、当然、この先を見据えている。さらなる基礎レベルのアップに加え、本人も気にしている「インパクト」ある何かを身に着けたい。15戦10勝(3KO)2敗3分。
 敗れた髙橋は12戦7勝(4KO)5敗。トリッキーな攻撃のはずがワンパターンになるきらいがあり、英にそこを読まれてしまった。

文_本間 暁(YouTube『北陸朝日放送公式チャンネル』視聴 )

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