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2022-08-22

永田裕志が語る中西学との60分フルタイムドロー「本人は焦ってましたよね」新日本プロレス歴史街道50年(53)【週刊プロレス】

永田裕志vs中西学

永田裕志が第31代IWGPヘビー級王座在位時2度目の60分フルタイムとなったのが2003年3月9日、愛知・名古屋レインボーホールで中西学の挑戦を受けた一戦。当時の連続防衛記録と並ぶ9度目の防衛戦は、闘魂三銃士、全日本四天王以降の世代同士では初となる60分フルタイムに終わった。ここでは中西のレスラー像とともに、その一戦を永田に振り返ってもらった。

     ◇      ◇      ◇

 永田裕志が中西学の存在を知ったのは大学1年の時。

「エスポワール(クレルモン=フェラン、フランス)のレスリング世界選手権の代表になって全日本の合宿に行ったんです。そこに専修大学から中西先輩が将来性を買われて自費で参加されてて。とにかくしごかれてましたね。当時100kg級の体格だったんですけど、その合宿で90kgぐらいまで落ちて。合宿の食事は食べ放題だったんですけど、いくら食っても太らないって。それぐらいしごかれてたんですけど一切、音をあげず、最後まで食らいついていたっていう印象がありますね。それほどまじめで一生懸命でした」

アマチュア時代の中西が得意とした闘い方は「タックルで腕がかかったら、そのまま引き寄せて倒すぐらいのパワーがあって。それだけの力があるんで、相手をひっくり返すのがまたうまくて。それでポイントを奪っていく」というもの。

結果、中西はバルセロナ五輪の代表の座を射止める。デビューこそ永田の方が早かったが、1カ月後にUWFインターナショナルに電撃移籍したビッグバン・ベイダーの代役として緊急デビューした中西は、早々にメインイベンターとの闘いに放り込まれた。

「日本の重量級の中でズバ抜けた肉体と世界に通用するパワーを持ってた。アジア選手権3位で出場権を獲ってバルセロナ五輪に出たことに対するコンプレックスはしばらくありましたね。プロ転向後も実績はもちろんですが中西先輩の方が年齢が上っていうのもあって、将来性を買われてましたね。自分とは育てられ方が違う感じでした」

第三世代が台頭していく中で、中西とはタッグを組むことも多かった。

「組むにしろ、闘うにしろ、コントロールしづらい相手。まぁ、向こうは向こうで、コントロールされたくないっていうのあるんだろうけど。タッグ組んでも衝突して、それが逆に周りには面白く見えちゃって。名タッグかっていわれると“?”がつくけど、いま考えると“名物タッグ”ではあったなと思いますね」

そして迎えた名古屋決戦。結果的に両者がベルトを懸けて激突したのはこの1回限りとなる。

「外敵との防衛戦は多かったけど、同世代とはなくて。満を持して中西先輩が来たって感じでしたね」

レスリングでは1972年のミュンヘン、ジャンボ鶴田、長州力以来の五輪代表のプロ転向。それだけに期待が大きかった中西だが、当時、永田の目にはこう映っていた。

「周りの期待になかなか応えられないことで、本人は焦ってましたよね。どうしていいかわからなかったから格闘技の試合にも出て。何とかしたい、何とかしようとしたけどうまくいかないっていう時期でしたね」

実際、第三世代の中では最も早く「G1クライマックス」を制している。しかし、IWGPヘビー級王座にはなかなか手が届かず、永田、天山広吉、小島聡に先を越されている。格闘技戦ではK-1ファイター相手や、「アルティメット・クラッシュ」出撃が印象に残っているが、新日本フロントがヒクソン・グレイシー戦に動いていた時期、対戦相手として中西の名が挙がっていた。それは、「中西ならパワーでねじ伏せられる」「アイツなら何かやってくれるだろう」との期待からのものだった。

連続防衛タイ記録がかかった試合。あのスコット・ノートンともパワーで渡り合える“野人”。永田からすれば、最も厄介な挑戦者が現れた。

橋爪哲也

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週刊プロレスNo.2198 (2022年8月31日号/8月17日発売) | 週刊プロレス powered by BASE

今週号の表紙は東京女子「東京プリンセスカップ」で悲願の初優勝を達成した坂崎ユカです。昨年同様、後楽園2連戦で幕を閉じたトーナメントは準優勝の渡辺未詩もMVP級の大活躍。決勝&準決勝を中心にリポートするほか、巻末言では甲田哲也代表に大会総括や今後の展望を聞いています。巻頭カラーはNOAHで開幕した「N-1 VICTORY」序盤3大会を全戦追跡。清宮海斗が継承後、初めて武藤殺法を解禁してリーグ戦初白星をあげた中嶋戦を中心に潮崎vs藤田、拳王vs田中、中嶋vs船木など注目リーグ戦を中心に詳報します。新日本の「G1 CLIMAX」はいよいよ佳境を迎え、ファイナルの日本武道館3連戦前の終盤4大会を全戦追跡。棚橋弘至がKENTAに敗れて優勝戦線から脱落した試合のほか、オカダvsローラー、オーカーンvsタイチなど注目リーグ戦を余すところなくリポート。スターダムの「5★STAR GP」はまだ序盤。こちらも3大会を全戦追跡。後楽園でおこなわれた注目のMIRAIvs鈴季すずのほか多くのリーグ戦を掲載。また全日本では「王道トーナメント」で宮原と永田がベスト4進出。KAORU、Gammaと長きに渡りリングで活躍した選手の引退興行リポートも。そのほかドラゲー後楽園&大阪、DDT後楽園、大日本・保土ヶ谷、FREEDOMS新木場、ガンプロ後楽園、PURE-J後楽園など掲載。【注意】発送後の返品・返金は原則不可とさせていただきます。送料は無料ですが、第三種郵便での発送となります。通常2~4日でのお届けとなります。また、事前に購入されても発売日にお届けすることは、お約束できません。ご了承ください。

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