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2022-09-11

【日本インカレ】大器のポテンシャルにスイッチ。男子110mHで藤原孝輝(東洋大2年)が学生歴代6位の13秒47

走幅跳との二刀流を追い求める藤原が男子110mHで学生歴代6位の快走を見せた(写真/中野英聡)

9月9~11日、たけびしスタジアム京都で開催中の日本インカレ。大会2日目の男子110mH。走幅跳との二刀流を究めようとする藤原孝輝(東洋大2年)が決勝で2位フィニッシュ。まず110mHで学生歴代6位に名を連ねた。

感触どおりのタイム

男子110mHは世界選手権代表の村竹ラシッド(順大3年)が13秒36(+0.7)で2年ぶり2度目のタイトルに輝いた。その村竹に貫禄を見せられたが、2位の藤原孝輝の快走も光った。村竹の機先を制してスタートを決め、学生歴代6位となる13秒47をマークした。

この日の藤原の好調さはスタートに現れていた。セット時に後傾する癖を正し、ヒジを伸ばして構える改良を試みてきたと言い、「急に良くなったというのが本音です。ハードルの調子が上がってきたのは北麓(富士北麓ワールドトライアル)から。走幅跳メインで出場しましたが、110mHのスタートでグッと出ることができ、その感覚を覚えていて、今回も生かせました」と自己ベストを引き寄せた要因を説明した。

村竹が攻勢に転じた中盤以降も、よく食らいついた。「8台目で(体勢が)崩れそうになったのを必死に抑えました」と藤原。インターバルの足さばきに課題を感じたようだが、ぎりぎりのところで柔軟にさばいて見せていた。

藤原は、洛南高(京都)2年時のインターハイ走幅跳で8m12の高校新Vを飾り、3年時には110mHで13秒95をマークした逸材。昨年は日本インカレで110mH5位&走幅跳6位。今季は走幅跳で3年ぶりの8m台(8m03)、110mHは13秒60と上昇気流を描いていた。

大会初日の走幅跳が不発に終わった(7m49で9位)のは残念だが、110mHは予選13秒75、準決勝13秒73、決勝13秒47と駆け上がった。「13秒5を切れたかな」という感触どおりのタイムが出たが、「13秒3以上を出して、世界へと思うと、スタートを生かして3台目、4台目につなげていかないといけない。それで最後まで走り切れるように練習していきたい」。現状満足をすぐにリセットし、意欲をさらにかき立てていた。

 高校時代から「走幅跳と110mH、どちらかに絞る考えはありません」と話していた藤原。二刀流を鞘に納めるつもりはないし、両種目で世界を見てみたいという意欲も強い。

男子トッパーの勢力図を広げると、藤原の13秒47はまだトップレベルが警戒するほどではないかもしれない。けれど、新たな境地に踏み込んだのも確か。大器のポテンシャルにスイッチが入った。

文/中尾義理 写真/中野英聡

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