10月16日に、東京・国立競技場を発着としたハーフマラソン「東京レガシーハーフマラソン2022」が初開催されます。今大会では、昨夏に行われた東京パラリンピックのマラソンコースの一部が活用されるだけでなく、ボランティアの精神もまた、“レガシー”として引き継がれます。東京五輪・パラリンピックにボランティアリーダーとして参加し、今大会でも活動を行う佐竹公仁さんにお話を伺いました。「ありがとう」と言ってもらえるのが、何よりもうれしい――東京レガシーハーフマラソン2022で、ボランティア活動をしようと思った理由を教えてください。佐竹 東京マラソンのボランティアに参加したことがきっかけでスポーツボランティアの魅力にどっぷりハマり、2019年の東京五輪マラソン代表選考会のマラソングランドチャンピオンシップと、昨年の東京五輪・パラリンピックにもボランティアとして参加しました。東京パラリンピックのマラソンにもボランティアとして関わっていたので、コースの一部がそのときと同じである東京レガシーハーフマラソン2022には、何かしらの形でボランティアとして関われたらと思い、エントリーしました。
――東京パラリンピックでは、具体的にどんな活動をしたのですか?佐竹 マラソンでは、四谷ブロックの防衛省の前でコース整理をしました。車いすバスケットボールの競技周りも担当し、試合ごとに運ばれてくる車いすをトラックから競技場に運んだり、選手が通るルートのアクセスコントロールをしたりといった業務のリーダーをしました。
――ボランティアの魅力は、どんなところにあると感じていらっしゃいますか。佐竹 始めた頃は、ボランティアの皆さんと一緒に活動できて、その方々とつながりを持てるところに魅力を感じていました。今まで知り合ったことのない異業種の方と活動するのが楽しくて、そのうちにあちこち行くようになったんです。東京だけでなく、大阪や名古屋などに遠征をして活動をすると、そこで新たな出会いがあり、そこで一緒に活動した方が今度は東京に来て、また一緒に活動するというつながりがもてるのが楽しいですね。遠征までしてボランティア活動を行うというと驚かれるのですが、スポーツチームのサポーターがアウェーの試合を応援しに行く感覚と近いですね。
――ボランティア活動をされて12年になるそうですが、リーダーを担当するようになって心境に変化はありましたか。佐竹 ボランティアの研修を受けるなかでいいなと思ったのは、ボランティアには「居場所」と「役割」、「出番」、この3つがボランティアの原動力であるというお話でした。自分を迎えてくれる場所があって、その日の役割があり、それを実際に行う出番がある――。その話を聞いたときに、自分もそこに魅力を感じているのだなと腑に落ちました。最近はリーダーの役割をすることも多いので、来ていただいた方にどういうふうに活躍してもらおうかと考えてアレンジしたり、人手が足りないところに私が行って活動し、全体が調和することを意識したりしています。そうすることで大会全体がスムーズに進行し、無事に終わってくれたらいいなという思いで活動しています。そして、主催者や参加者、観客の方々から、「ありがとう」と言ってもらえるのが何よりもうれしいですね。
――東京レガシーハーフマラソン2022では、どんな活動を担当されるのでしょうか。佐竹 今回は、四谷ブロックにある給水所でリーダーとして活動する予定です。マラソングランドチャンピオンシップや東京パラリンピックと同じコースとはいえ、今回は3時間の間に約1万5000人ものランナーが駆け抜けますから、活気のある大会になるのではないかと期待しています。たくさんのランナーがこのコースを走り抜ける光景を見ながら、給水所から「頑張って」とエールを送りたいですね。四谷ブロックはレース終盤の給水所で、特に富久町の急坂の手前という大事なポイントを担当しますから、最後の2~3㎞を頑張ってもらえるように、ランナーの皆さんをサポートできる給水所にしたいと思っています。
――東京五輪・パラリンピック、そして東京レガシーハーフマラソン2022を経て、引き継ぎたい思いというのはありますか。佐竹 今は、ボランティアの輪を広げたいという思いがあります。自分だけでなく、今回参加してくれるボランティアの皆さんが、今回の活動が次のステップにつながるような活動にしたいですね。自分の地元だけでなく、遠征してボランティア活動をするボランティアツーリズムが広がるといいなとも思います。今回、ボランティアは朝7時ごろまでに集合する人がほとんどです。始発電車が間に合わないから、と会場近くのホテルに泊って駆け付けるという仲間もいます。それくらい、東京レガシーハーフマラソン2022はボランティアとして参加したい大会なのだと思います。「東京2020」に関わる第1回大会で活動できるのは特別です。
Profile
さたけ・きみひと徳島県出身。2011年から、スポーツボランティアの活動を始める。全国各地に遠征して活動し、今季は金沢、ちばアクアライン、湘南国際、大阪、名古屋ウィメンズの各マラソン大会でも活動予定。ボランティア活動をきっかけにランニングを始め、今ではフルマラソンを完走するまでになった。
■東京レガシーハーフマラソン2022
開催日:10月16日(日)
種目:ハーフマラソン
スタート:車いす8時、ハーフマラソン第1ウエーブ8時5分、第2ウエーブ8時20分
ランニングマガジン・クリール 11月号(Courir No.238)