注目のWBSS(ワールドボクシング・スーパーシリーズ)のバンタム級決勝(11月7日・さいたまスーパーアリーナ)まで、今日でちょうど40日を切った。WBAスーパーチャンピオンのノニト・ドネア(フィリピン)と戦う、WBA・IBFチャンピオンのの井上尚弥(大橋)の調整は順調のようだ。26日、大橋ジムで行われた公開練習。その表情には自信が漂って見えた。
上写真=眼光に鋭さを増した井上尚弥
みなぎる緊張感の中に余裕が感じられる。この日、同僚のフェザー級、中澤奨を相手にしたスパーリングでも、圧倒的なスケール感ばかりが強調された。左フックに爆発力を持つドネアを想定したパートナーだった。中澤はアマチュア時代から、典型的なレフトフッカーとして鳴らしてきた選手だ。しかし、井上の攻防にまったくスキは見えない。
小さなステップを刻み、軽いジャブを飛ばしてプレッシャーを加えていく。中澤の攻撃には難なく対応した。左フックはブロッキング、スウェーバックでかわす。それから、いずれも軽打ながら、左フックをレバー、テンプルと急所一点絞りで好打を重ねた。さらに右クロスのフォローもタイムリーで、しかも正確だった。左足のつま先を見つめていても。全身くまなく行き届いた集中力の高さが感じられた。
なお、頼もしいことに、中澤の攻撃に対し、かわしっぱなしには決してしなかったことだ。ステップバックで空振りさせた直後、すかさず距離を詰めて、展開にたるみを作ることはない。これが実践なら、パンチ力は少なく見積もっても10倍増になる。綿密にプレッシャーがかかっていることで、心身ともども対戦者のスタミナが奪われていったはずだ。
スパーリングでも常に全力投入だった井上も、このところ発想を変えている。ひとつのスパーごと、ラウンドごとにテーマを掲げる。この相手には何が必要か。ここで試すべきは何なのか。考え方の変化に、大ボクサーになった風格がにじんで見える。
「(ドネアの)右ストレートは自分から攻めていく武器。左フックはそこにおびき寄せてから打ってくるパンチだ」
井上はドネアの攻めをそう分析する。そして、何よりも怖いのは左フックであるのは、もちろん承知しているようだ。
「ガードを意識して戦いたい。それで間に合わなかったら、スウェーや頭の角度を変えるなどして対応していきたい」
あるいは、井上には一段と自信を深めさせる理由もあったのだろう。カリフォルニアから呼び寄せたパートナーとのスパーリングの数々である。
19歳のフィリピン系アメリカ人ジャフェスリー・ラミドは2年連続で全米選手権ウェスタントライアルで優勝。昨年の全米選手権ではベスト4。7月発表の全米ランキングでは2位にランクされているアマチュアの強豪だ。その実績も一級だが、あの3階級制覇王者ワシル・ロマチェンコ(ウクライナ)のキャンプに2度参加し、都合130ラウンドものスパーリングをこなし、ダウンしたことがないという。
「尚弥はロマチェンコを超えたね。あとは本人に聞いて」と大橋秀行会長は言い残してジムを離れたが、なんと、そんなラミドを井上は倒したのだという。左フックのボディブロー一撃だったらしい。
「ダウンはたまたまそういうことになっただけ」。井上は冷静だ。それよりも、新しいパートナーとの仮想対決が有益だった。ラミドはラウンドごとにオーソドックス、サウスポーとチェンジする。上背もあって、体も柔らかい。さまざまなタイミング、軌道でパンチを飛ばしてくる。
「(ラミドは)基本的には1回2回はスロー、それ以降にだんだんとピッチを上げてきました。だから、ラウンドごとにいろいろと考えることができました」
対ドネア対策はもちろん大事。だが、さらにスケールアップしたい井上には貴重な経験にもなったはずだ。
「とくにジャブがいい。パンチを当てるのが難しかった」と、ラミドが井上尚弥の印象を語る。ドネアとの試合予想を聞かれると、「ドネアもリスペクトしているが、イノウエは左右ともパンチがある。よけるのもうまい」とだけ語った。
「エマヌエル・ロドリゲス(プエルトリコ)戦の前は、相手の情報が何も出てこなかったので、少しナーバスになりました。こちらも出しにくかった面もあります。今回は(隠す情報とか)そういうのは何もないですよね」
きちんと対策は練ってある。それ以上の『ドネア対策』は“大盛り”でなくていい。必要な限りで十分。研究されていようとなかろうと、自分のボクシングで打ち勝つ。そんな答えが、井上の表情に見えた。
文/宮崎正博
写真/菊田義久
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