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2022-12-18

【箱根駅伝の一番星】「後輩たちに覚悟を決めた姿を見せたい」。東海大主将の宇留田竜希が初出走に込める4年分の思い

シード権奪還、10区を希望する宇留田がその目標をかなえる

陸マガの箱根駅伝2023カウントダウン企画「箱根駅伝の一番星」では出場20校の注目選手を紹介。箱根予選会は9位通過、全日本大学駅伝は10位と不本意な戦いが続いた東海大。全日本で三大駅伝初出場を果たした宇留田竜希(4年)は、最初で最後の箱根で主将としての姿をその走りで示すつもりだ。

仲間も認めるキャプテンシー

2019年の箱根駅伝で初優勝を果たすなど、近年は上位に定着していた東海大だが、前回大会は11位。今季は8年ぶりに予選会から出直しとなった。

主将の宇留田竜希(4年)はまず、「強い東海大学を取り戻すこと」を目標に掲げた。就任直後には、「自分がキャプテンになってみて、本当に多くの人に応援されているのだと感じました。僕たちが卒業するときに、“東海大学は強い”と周囲に思ってもらえるようなチームにしていきたい」と抱負を語っていた。

伊賀白鳳高(三重)時代から熱い心の持ち主として知られ、顧問の中武隼一先生(現・稲生高教諭)や仲間からの信頼が厚かった宇留田。現在のチームメイトである竹村拓真(4年)も、「宇留田は誰とでも分け隔てなく話せる。相手によって自分の意見を変えることなく、しっかり伝えられます。競技に対する姿勢も見習う部分がたくさんあります」と、主将としての存在感を認めている。3年時まで学生三大駅伝の出場経験がない選手が主将を任されるケースは決して多くないが、宇留田は「歴代のキャプテンのような競技力がない分、コミュニケーションを取ることを大事にしていきたい」と、春からキャプテンシーを発揮してきた。

秋シーズンの東海大は、不本意な戦いが続いた。10月の箱根予選会はレース中に転倒や体調不良に見舞われた選手もおり、予想外の9位通過。3週間後の全日本大学駅伝は10位で、8位までに与えられるシード権を逃した。

宇留田は箱根予選会こそ、設定タイムから13秒遅れただけにとどめたが(1時間04分43秒)、三大駅伝初出場となった全日本では6区で区間10位と苦戦した。故郷の三重を走れる喜びを感じながらも、「出るだけになってしまいました。自分の区間でシード権獲得につなげたかったのに、前のチームに離されて、みんなに申し訳なかった。もっと良い結果を出したかったです」と悔やんだ。責任感の強さから、「キャプテンとしてもっと何かできたと思うし、自分がしっかりしていれば……」と自責の念に駆られることもあった。

しかし、「箱根に向けて切り替えるしかない」と前を向き、学年の枠を超えた話し合いの場を設けるなど、今季のチームスローガンである「One Team(ワンチーム)」を体現しようと仲間たちを鼓舞してきた。

ケガで走れない期間もあり、順風満帆とはいえない大学生活だったが、ラストイヤーの今季は順調に練習を積み上げてきた。箱根の希望区間は10区。「ここまで不甲斐ないキャプテンでしたが、最後は後輩たちに覚悟を決めた姿を見せたい」と、チームのシード権奪還のために4年分の思いを込めて力走する。



うるた・りゅうき◎2000年5月22日、三重県生まれ。172cm・55kg、B型。嬉野中→伊賀白鳳高(三重)。高校2、3年時に都大路1区に連続出走。東海大入学後は、1年時から学年リーダーを務め、今年度主将に就任。全日本6区で三大駅伝初出場を果たした。自己ベストは5000m14分02秒07、10000m28分47秒57(共に2020年)、ハーフ1時間04分17秒(22年)。卒業後はNTNで競技継続。

文/石井安里 写真/中野英聡

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