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2022-12-25

【箱根駅伝の一番星】「5番以上も狙えるチーム」法政大の主将、内田隼太がのぞかせた自信

出雲駅伝3区で各校のエースと互角の走りを見せた内田。箱根でも主要区間での好走を誓う

陸マガの箱根駅伝2023カウントダウン企画「箱根駅伝の一番星」では出場20校の注目選手を紹介。2022年、5000mからハーフの3種目で自己記録を更新。10000mは法大歴代2位の記録を打ち立てた。主将を務める内田隼太(4年)の好調にけん引されるように、チームは上昇気流に乗る。チーム目標の総合5位以内をしっかり見据えている。


18年ぶりの快挙に手ごたえ

坪田智夫監督が指揮を執るここ10年、法大は、東京五輪代表の坂東悠太(現・富士通)、青木涼真(現・HONDA)を擁した2018年と19年の6位が最高だ。

今季の法大は、坂東&青木超えとなる「総合5位以上」を標榜する。目標への手ごたえついて、「実績や走力を考えたら、5番も全然狙えるチームになっています」と明言するのは、主将の内田隼太(4年)だ。

内田が思いをこう口にできるのは、自身のエースとしての飛躍が大きい。今季、箱根2区を希望し、「法大記録をつくりたい」と高みを見る内田だが、大学入学後はとにかくケガに泣かされた。インターハイでは5000m10位で、即戦力として期待されていただけに、内田は苦笑いで振り返る。

「ホントつらかったっすよ。大腿骨2回、恥骨2回、仙骨、脛骨、腓骨…2カ月ごとに、一つずつ違うところを折るんですから(苦笑)」

オーバートレーニングによる疲労骨折だった。「1年目からとにかく結果を残したかった」という内田は、がむしゃらに走り続け、壊れっぱなしの2年間を過ごす。練習がまともにできなければ、走力はつくはずもない。「気持ちが折れそうだった」と、内田は精神的にも瀬戸際に立った。

しかし、3年生が近づいたとき、転機が訪れる。まわりを冷静に見渡し、当時のエース・鎌田航生(現・ヤクルト)や新1年生の小泉樹(現・2年)をよく見ると、日々の調子によって練習内容を変えていた。

内田はその姿を謙虚に見習い、継続的に練習をこなせるようになると、眠っていた力が開花する。前回の箱根駅伝では、スピードを生かした走りで1区9位と好走した。

さらに今季は11月に10000mで28分16秒68と自己ベストを更新。3区を走った出雲駅伝では、駒大の田澤廉、青学大の近藤幸太郎(共に4年)と6秒差以内の接戦も演じた。ただ、傍から見れば「よく成長した」と思わされるこの結果も、本人としては「練習どおりの結果だった。区間賞を狙っていけるとも思っていた」という見方だから、本当に充実しているのだ。

ラストシーズンを迎えた内田にとってうれしいことは、苦楽をともにしてきた同期にも経験者が多いことだろう。4年生には、内田のほかに箱根経験者が4人いる。この1年間、彼らとともに、下級生の声を吸い上げ、どうすればチーム力を向上できるか、話し合ってきた頼れる仲間たちだ。

そして、3年生以下を見れば上尾ハーフで法大タイ記録を出した急成長中の松永伶(3年)や、特殊区間で力を発揮してくれそうな細迫海気(3年)、武田和馬(2年)らと、選手は粒ぞろいだ。こんな充実した布陣だからこそ、内田は燃えている。

「見ごたえのあるレースを必ずしてみせますよ」

もし、総合5位以上を実現できれば、法大としては2004年以来、18年ぶりの快挙となる。



うちだ・しゅんた◎2000年9月19日、神奈川県生まれ。166cm・53kg、B型。大津中→法政二高(神奈川)。3年時の全日本で1区区間5位、箱根で1区区間9位。主将に就任した今年度、出雲で3区区間4位とチーム最高位タイの7位に貢献。11月には10000mで法大歴代2位となる28分16秒68をマーク。5000mの自己ベストは13分39秒26、ハーフは1時間02分12秒(共に2022年)。卒業後はトヨタ自動車で競技継続。

文/鈴木快美 写真/早浪章弘、井出秀人

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