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2022-12-28

【女子プロレス】アイスリボン朝陽が12・31後楽園で“絶対不屈彼女”安納サオリに挑戦。ネガティブで被害妄想しがちなハタチの美人レスラーは団体のエースになれるのか

アイスリボンの朝陽。12・31後楽園でICE×∞王者・安納サオリに挑戦する

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女子プロレス団体「アイスリボン」の若きエース、朝陽(あさひ=20)が2022年の総決算となる12・31後楽園ホール大会で〝絶対不屈彼女〟安納サオリ(31)が保持するICE×∞王座に挑戦する。
朝陽は絶対不屈彼女からベルトを奪うことはできるのか
昨年末の主力大量離脱を皮切りに、今年5月には〝象徴〟藤本つかさの寿休業&当時のチャンピオン春輝つくしの引退など激動に見舞われたアイスリボン。

朝陽を含むキャリア5年以下の選手が中心となる新体制で再スタートが切られたが、その中心にいたのはフリーとして活躍する安納だった。6月のICE×∞王座決定トーナメントを制した絶対不屈彼女は王者として所属以上の熱量をハッピーのリングに注ぎ、話題を発信。その一方でキャリアの浅い所属たちに「ホントに団体(=アイスリボン)を広める気持ちあるのかな?」と覚悟を問うた。

エース候補と言われ続ける朝陽。当時は安納のこの言葉に胸を張って応えられない自分がいた。だが、プロレス団体ではなくなったアクトレスガールズとの禁断の扉を開き、賛否両論起こすなど「いま一番アイスを広めているのは自分」という自負を抱けるようになった。だからこそ、安納の前に立ちICE挑戦を表明した。
安納の同期、本間多恵から攻略のヒントを得た
大みそか決戦まであと3日。「ズーンとなりながら過ごしてます」と重圧に押しつぶされそうな胸を内を明かす朝陽だが、「安納さんが輝いてる姿を見るだけのアイスリボンじゃ未来も何も生まれないと思うから」。自身がICE×∞初戴冠を果たすことで本当の意味でのアイス新体制を描くつもり。

朝陽には、ファンや団体の期待を裏切ってしまった過去が何度かある。ネガティブな思考や被害妄想にとらわれ、モヤモヤすることもある。超人だらけのプロレス界において、朝陽は良くも悪くも等身大のレスラー。それでも「朝陽はやると決めたから」。自身初の後楽園シングルメインに向けて腹をくくった。


ゴング直前、静かな闘志を燃やす朝陽
安納と朝陽は今回が正真正銘の初シングル。くわえて言えば、引退を決めた後輩のために一日限りの古巣復帰を果たす〝元アイスリボン〟鈴季すずを相手にラストマッチをおこなう真白優希の引退試合を筆頭に注目のカードが揃う。象徴と言われた藤本は同大会を最後に産休に入り、会場からいなくなる。選手の精神的支柱だった千春リングアナにはらあいリングアナという2人も年内をもって退団。激動の1年を締めくくりとなる大みそかのメインにふさわしい試合と結果を残さなければならない。

絶対不屈彼女が5度目の防衛を果たし、2023年もハッピーのリングの先頭に立つのか。エース候補と言われたハタチの美少女レスラーが悲願のICE×∞初戴冠を果たし、誰もが認めるエースへの第一歩を踏み出すのか。2023年を占う意味でも注目の一戦は12月31日、後楽園ホールでゴングを聞く。

大一番を迎える朝陽との一問一答は以下の通り。
大みそかをもって産休に入る藤本つかさのコスチュームを着る朝陽
――大晦日まであと3日となりました。

朝陽 あと3日か、早いな。今年の年末はね、なんかこうズーンってなりながら過ごしてますよ。

 ――ズーンとなりながら?

朝陽 ズーンと過ごす日々です(笑)。やっぱりプレッシャーがね。私、どうしてもプレッシャーを感じてしまうひとなので。でも先日、本間(多恵)さんに「プレッシャーがすごくて…」って話をしたら「プレッシャーなんてないよ!」って言われて。それにすごい救われたんですよ。本間さんのひと言ひと言に助けられることがけっこうあって、ときどき涙が出そうになることがあるんです。

――なにも泣かなくても…。

朝陽 なんなんでしょうね(と言って遠い目をする)

――大みそか後楽園ホールでは安納サオリ選手が持つICE×∞王座に挑戦します。

朝陽 真面目に言うと、私がやらないで誰がやるんだって気持ちです。いまタック戦線宣線でいぶ(=星いぶき)やトトロさん(=トトロさつき)とか2017年デビューの同期が盛り上がってる。なら私はシングル(ICE×∞)に誰にも邪魔されずに挑戦してやろうって。

――いまアイスリボンを世に広めているのは自分(=朝陽)だという発言もありました。

朝陽 アクトレスガールズとの(禁断の)扉を開けたり。いろいろ言われることもあったけど、いろいろやってきた私のほうをプロレスの神様は向いてくれてると思いますよ。

――ベルト奪取の手応えは?

朝陽 自信満々って!っていう感じ。

――自信満々!

朝陽 いま90パーセントくらいかな。

――かなり高いじゃないですか!

朝陽 でもこれを200パーセントにしないといけないので。まだ100にもいってない。いまはまだ他人(ひと)のことを気にしてるからまだまだですね。

――どういうことですか?

朝陽 他人の目を気にしてるっていうか、自信満々なところもネガティブなところも全部含めて自分のことだけに集中できたら200%になれると思うので。

――まだ入り切ってないってことですか? 

朝陽 かもしれないです、(他人の目を)めっちゃ気にしてるので。やっぱり…(と言ったところで店員さんが朝陽の好きなアイスティーを持ってきたので話題が中断)。あれ、なんでしたっけ?(笑)

――いい話をしようとしたところで水を差されるあたりが朝陽さんって感じがしますね(笑)。

朝陽 おい!(苦笑)やっぱりまだまわりの目を気にしてるんですよ、朝陽がベルト巻くなんてみたいな声も耳に入ってきちゃうし。

――そんな声ありますか? むしろ朝陽待望論のほうが強い気がするんですが…。

朝陽 う~ん、私の被害妄想から始まる自虐かもです。

――ネガティブとか被害妄想をさらけ出せるのも朝陽さんならではです。個人的にはどうかと思いますが…。

朝陽 だいたいさ、世の中が考えてることなんてさ、みんな被害妄想から始まってるじゃん。

――いや、そんなことないと思いま…。

朝陽 (無視して)私もそれを変えろっていうつもりはないし。チャンピオンになったってネガティブを無理に変えなくていいと思ってるから。だって私はこうなんだもん。
アイスリボンのみならず様々なリングで活躍する安納サオリ
――みんなポジティブでカッコいいヒーロー&ヒロインにあこがれますが?

朝陽 ネガティブでいいの。ネガティブを突き詰めたら、すごい個性になると思うし。そんなチャンピオンいないじゃないですか。

――確かにいないですね。そういう意味では被害妄想から始まる東横系チャンピオンもアリなのかもしれません。局地的かもしれませんが、等身大の若者像といいますか。

朝陽 そんな朝陽がベルトを巻いたら、また違う層にアピールできるかもしれないじゃないですか。

――〝アイスリボンを広げる〟につながっていくと。

朝陽 うん。私はずっと自分のことを応援してくれる人を大切にしてればいいやと思ってたの。でも、だんだん立場が変わって、それ以外の人たちにも広げなきゃいけないとか思うようになって。だから両方なんです、ネガティブな朝陽とポジティブな朝陽と。こんな朝陽が嫌なら別に見なくていいですよ…っていうのは、チャンピオンになったらダメなのかな?

――突き詰めればアリんじゃないですか? 天龍源一郎さんは「100人ファンがいたら50人は応援してくれるけど、50人はアンチ」と言ってましたし、10月に亡くなられたアントニオ猪木さんも「見たくないヤツは見るな」と公言していましたから。そこまでいくのは並大抵じゃないとは思いますが。

朝陽 そうよね。どうせさ、なんか言うヤツって見てないんだから。

――ネット番長的な人が多い印象ですよね。

朝陽 逆にちゃんと見てくれる常連のファンの方は優しいっていうか、それがいいよっていう感じで見てくれるじゃないですか。でも、5月に藤本さんが休業に入って、つくしさんが引退してアイスリボンが新体制って言われるようになって、少し考えが変わったんです。ずっと同じことをやって現状を維持するのは停滞だと思うから。人が減って変わらなきゃいけないっていうなら、賛否両論あったとしても動こうって。そのひとつがアクトレスだったから。

――アクトレスガールズは昨年11月にプロレス団体としての活動にピリオドを打ち、プロレスを題材にしたエンターテインメント集団に変ぼう。大会ではなく、公演という形でパフォーマンスを見せています。

朝陽 自分がアクトレスの会場に行ってアピールして、アイスリボンのリングで試合を実現させましたけど、やっぱり賛否曜論ありました。団体内外で。たぶんアクトレス側にもあると思う。

――ただ、賛否の〝否〟は良くも悪くも人の目を引きますからね。

朝陽 そうそう。だって面白いでしょ。ずっと同じことをやって、波風立てずにアイスリボンをやってても話題が上がることもない。このまま落ちていくならアクトレスと闘って、賛否両論あったしてもちょっとでも話題に上がって、何かの可能性を作っていった方がいいじゃないですか。

――何もしなかったら可能性0ですが、何か起こせば1パーセントでも可能性が生まれるかもしれません。

朝陽 アイスリボンを広げてるんだっていう自負があるから。漬物とかないんですかね?

――…漬物?

朝陽 ぬか漬けとか。しょっぱいの食べたくなっちゃった。

――しょっぱいのはあとで食べさせますから話を進めますよ! アイスリボンを広めているという自負を胸に大みそか後楽園ホールではICE×∞王者・安納サオリに挑戦します。

朝陽 まだ自信満々200%ではない。でも堂々と安納サオリの前に立たなきゃなって思ってるし、いまの朝陽なら立てると確信してます。どんなにネガティブでも被害妄想してても、お客さんに見せるプロレスラー朝陽はやっぱ元気でなくちゃ。

――後楽園のメインをシングルマッチでおこなうのは初めてだと思います。

朝陽 プロレスの大会は第1試合とメイン次第って言うもんね。前回ICE×∞に挑戦したつくしさんとの試合(5・4横浜武道館)の時、なんでICE×∞戦がメインじゃないんだ?って批判が起きたじゃないですか。

――あの時はつくしvs朝陽のICE×∞戦ではなく、つくし引退試合がメインに組まれました。

朝陽 正直、あの時は「試合順なんてどうでもいい。朝陽は朝陽の試合を見せるだけだから」って思ってました。だけど、いま思えば確かにお客さんがICE×∞戦を大事にしろって言ってたのもわかるなって。立場が変われば考え方も変わるじゃないけど、今回は絶対にメインじゃないとって思ってました。

――安納vs朝陽のICE×∞戦がメインに組まれ、セミにリボンタッグ戦、その前が真白優希選手の引退試合という順番になりました。

朝陽 また引退試合がメインで組まれてたら、終わったなって思っちゃってたと思う。

――カードを組んだ団体側にも試合と結果で応えなければいけないと思います、安納サオリに勝つことで。

朝陽 安納さんってフリーなのに、アイスリボンでベルトを持ってメインを張ってる。他団体でもすごい堂々と、自信をもって自分を見せてるじゃないですか。本当にすごいひとだなって思ってます。ICE×∞のベルトをいろんなところに持って行ってくれて、アイスリボンの名前を広めてくれている。それはすごい感謝するべきなんですけど、でも、もういいよって。安納さんが輝いてる姿を見るだけのアイスリボンじゃ未来も何も生まれないと思うから。

――2022年5月から始まったアイスリボン新体制は安納選手がけん引。外敵であるはずなのに所属以上に熱量で盛り上げてくれていますが…。

朝陽 もう大丈夫。朝陽がやるから。挑戦表明した時、安納さんから「遅ない?」って言われて、確かに遅かったかもしれない。でも、もうやるって決めたから。朝陽は決めたから。

――やると決めた。

朝陽 この何年か、いろんな人がアイスリボンを辞めていったじゃないですか。私だっていろいろ思うことはある。でも、やっぱ好きで入ったアイスリボンだから。私がアイスリボンを辞める時はたぶんプロレスを辞める時。ほかの人たちは知らないけど。

――そんな朝陽選手こそICE×∞を巻くべきだと?

朝陽 うん! …でも、これで取れなかったらどうしましょう。

――最後の最後にネガティブ出さないでください(苦笑)。

朝陽 ふふふ、大みそかまであとちょっと。気持ち的にもっとネガティブになると思うし、逆にハイになるかもしれない。ベルトを取ったら意外とポジティブになるかもしんない。わかんないけど、安納サオリが持ってる現状が続くより、ずっと刺激的な未来を見せられると思うから…良くも悪くも。

――〝良くも悪くも〟はつけなくていいです(笑)。

朝陽 いままでエース候補って言われて期待されてきたけど、ずっと〝候補〟がついたままだった。何年か前にタイトル挑戦の直前にケガして欠場したり、裏切ったことも多かったと思うんです。だからホントは誰かのためにとか団体のためとか言わなきゃいけないのかもしれないけど、今回は自分自身のために勝ちたい。団体の象徴にはなれないかもしれないけど、団体を背負う覚悟はできたから。ICE×∞のベルトを取って朝陽がアイスリボンのエースになります! 

――後楽園に来てくれるファンはその瞬間が見られるわけですね!

朝陽 はい、任せてください!

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