close

2023-01-17

アントニオ猪木がレフェリーを務めた最初の試合は? 新日本プロレス歴史街道50年(60)【週刊プロレス】

アントニオ猪木

全ての画像を見る
特別レフェリーといえば、現役時代からアントニオ猪木も何度か試合を裁いている。新日本になってから初めてレフェリングをしたのは、1974年12月8日、愛知・刈谷市体育館における第5試合、カール・ゴッチ杯決勝戦。若手9選手が参加してのリーグ戦は藤波辰巳(現・藤波辰爾)と小沢正志(後のキラー・カーン)が勝ち抜いて決勝戦に進出。後日の録画放映とはいえ、両選手にとってはTV初登場の記念すべき試合だったが、猪木レフェリーが晴れ舞台との意識を吹っ飛ばした。

藤波にとっては出世試合の1つである第1回カール・ゴッチ杯決勝戦。リーグ戦が組まれたことで若手の間で競争意識が一段と燃え上がり、新日本プロレス生え抜きと旗揚げ1年後に坂口征二に連れられて日本プロレスから移籍してきた選手の間には緊張感が走っていたという。特に旗揚げメンバーでもある藤波は、「負けられない」の意識が特に強かった。

結果は逆さ押さえ込みで藤波が優勝。公式リーグ戦の初戦(同年10月25日、東京・後楽園ホール)で激突しているが、その際は小沢が逆エビで勝利。敗れていた藤波が決勝の舞台で雪辱を果たした形となったが、それ以上にレフェリーの目を意識して闘ったという。

若手の試合にも厳しく目を光らせていた猪木は、ふがいない闘いをすれば試合中であっても関係なく竹刀を手にリングに飛び込んで、観客の前で制裁を加えていた。新日本において初めて開催された若手の登竜門的なリーグ戦とあって猪木の目は一段と厳しく、「ヘタな試合はできない」と緊張。

“御前試合”どころではない。少しでも緊張感に欠けた闘いをすれば、鉄拳が飛んでくる。当然そうなれば、カール・ゴッチ杯そのものが意味のないものになってしまう。対戦相手も観客の目も関係なし。そこに神経を集中させて闘っていた。

試合後、猪木によって手を上げられたが、その瞬間は「試合が終わってホッとした。優勝どうこうよりも、猪木さんに手を上げてもらって頭が真っ白になっていた」と振り返った。

ちなみに猪木は、新日本旗揚げ前にも何度かレフェリーを務めている。その中で異例だったのが日本プロレス時代の1968年2月16日、東京・後楽園ホールで行われたTV生中継。

大雪のため外国人レスラー(ディック・ザ・ブルーザー、バディ・オースチン、ハーリー・レイス、ディック・マードック、テネシー・レベル、バロン・シクルナ)が搭乗した便が羽田空港に降りられず、旧千歳空港にダイバード。そのため日本人選手だけで生中継を賄わなければいけなくなった。

全6試合、セミファイナルではヤマハ・ブラザーズ(星野勘太郎&山本小鉄)vsミツ平井、高千穂明久(のちのザ・グレート・カブキ)組が3本勝負で、そしてメインにはジャイアント馬場vs吉村道明のシングルマッチが組まれた。そのメインのレフェリーに猪木が起用されたのだった(猪木の試合は組まれず)。

当時の馬場は日プロのエースとしてインターナショナル・ヘビー級王座に君臨。全盛期でもあった。吉村とは若手時代を除けば、66年3月25日(リキ・スポーツパレス、第8回ワールド大リーグ戦前夜祭)以来、2度目のシングル対決だった。

吉村は大木金太郎と組んでアジアタッグを保持していたし、猪木は馬場とのBI砲でインターナショナル・タッグ王座を獲得して売り出され始めた時期だった。ちなみに試合は15分36秒、馬場が逆さ押さえ込みで勝利との記録が残っているが、馬場が逆さ押さえ込みを仕掛けているシーンはどうもイメージしにくい。崩れた形のエビ固めや十字架固めでカウント3が入ったとも考えられる。ちなみにこれが馬場にとって吉村からの初勝利だった。(この項、つづく)

橋爪哲也

送料無料通販!

週刊プロレスNo.2226 (2023年2月1日号/1月18日発売) | 週刊プロレス powered by BASE

今週号の表紙はスターダムで開催中の6人タッグリーグ戦「トライアングルダービー」でスターダムに新風を吹かせている“Club Venus”白川未奈&ザイヤ・ブルックサイド&マライア・メイです。リーグ戦序盤の大阪2連戦の模様を巻頭からリポートするほか、巻末言ではワールド王者・ジュリアにあらためてチャンピオンとしての決意を聞いてます。NOAHは富士大会の試合後におこなわれたサイン会にロス・インゴベルナブレス・デ・ハポンが5人揃って来場。横浜アリーナでシングル五番勝負の対抗戦を闘う金剛にサインをもらって記念撮影をおこなう挑発行為に出ました。新日本関連は昨年に続いてKOPW保持者となりIWGP世界王座次期挑戦者でもある鷹木信悟にインタビュー。年明けから大一番が続く状況へ抱負を語ります。ドラゴンゲートは今年最初の後楽園大会を2連戦で開催。ドリームゲート王座が吉岡からシュンに移動。ハイエンド解散など年明けから激動となった大会を詳報。本誌担当記者がこの一年の期待する選手を紹介する新春恒例企画「2023イチオシ選手!」。先週の男子に続いて今週は女子6団体+1ユニットからイチオシ選手を紹介します。そのほか全日本・保土ヶ谷、DDT新宿、大日本・日比谷、みちのく仙台&滝沢、JTO新宿、東京女子・大手町、仙女・仙台、プロミネンス新木場、シードリング新木場など掲載。【注意】発送後の返品・返金は原則不可とさせていただきます。送料は無料ですが、第三種郵便での発送となります。通常3~5日でのお届けとなります。また、事前に購入されても発売日にお届けすることは、お約束できません。ご了承ください。

shupuro.base.shop

加入月0円! バックナンバー1400冊以上から最新号まで読み放題!!

PICK UP注目の記事

PICK UP注目の記事



RELATED関連する記事