close

2023-01-24

アントニオ猪木が平成維震軍旗揚げ戦でレフェリーを務めるも、タイガー・ジェット・シンの大暴れで“キラー”へ…新日本プロレス歴史街道50年(62)【週刊プロレス】

タイガー・ジェット・シンにスリーパーを決めるアントニオ猪木レフェリー

全ての画像を見る
1989年7月、参議院議員選挙に当選して日本初の議員レスラーとなったアントニオ猪木。それを機にリング上は長州力、藤波辰巳(当時)に任せた。プロレスラーとしては限定出場、一歩引いた形となって闘魂三銃士(武藤敬司、蝶野正洋、橋本真也)が売り出され、90年代の隆盛につながっていった。とはいえ、猪木人気に頼らざるを得ないことも。98年4月の引退までに3度、レフェリーに起用された。

      ◇     ◇     ◇

1989年5月25日の大阪城ホール大会を最後に、アントニオ猪木は政界に進出。新日本プロレスは“猪木抜き”の体制に移行していった。とはいえ、その時点ではまだ闘魂三銃士は新日本マットに定着しておらず、観客動員では苦戦。猪木抜きとなって初の大阪城ホール大会(同年9月20日)ではIWGP3大タイトルマッチを組んだものの、前売りチケットが伸びなかった。

困ったときの猪木頼みではないが、セミファイナルで組まれたビッグバン・ベイダーvsクラッシャー・バンバン・ビガロのIWGPヘビー級選手権試合のレフェリーに猪木を担ぎ出した。もともと大阪には旗揚げ当初から太いスポンサーが猪木を応援しており、他団体と比べても観客動員は大きく上回っていた。その一番人気を欠いたとなっては、足が遠のいても避けられない。猪木と因縁のある2人が激突するのだから、11年前のタイガー・ジェット・シンvs上田馬之助ほどではないにしろ、“何かが起こるのでは?”と思わせるカードではある。

しかし、特にハプニングは起こらず。最後、微妙なタイミングで3カウントを入れられたビガロが試合後に猪木レフェリーをボディースラム。怒った猪木がビガロを追いかけ、ベイダーに向かっていこうとしたがアクションはそこまで。そもそも「俺がやる意味はなかった。発表されちゃったんで仕方ない」と乗り気ではなかったこともあって盛り上がりに欠けた。発表も8180人と、9回目にして初めて1万人を切った。

次に猪木がレフェリーとしてリングに上がったのは、そこから5年後の1994年11月13日、東京ベイNKホール、平成維震軍旗揚げ戦だった。反選手会同盟から勢力を拡大。興行的にも独立を打ち出し、新日本の第2のブランドとして始動した記念すべき闘い。本体との差別化を図る意味もあって、当時は第2次UWFやパンクラス、リングスなどが進出し、トレンディーな会場として定着していたNKをその舞台としたが、泥臭さが売り物の平成維震軍のメンバーには似つかわなかった。

しかしセミ、メインにはすでに峠を過ぎたウィリエム・ルスカ、シンが登場。話題性に見合うほどチケットの売れ行きは伸びなかった。そこでメインのレフェリーに猪木を担ぎ出し、この時点では猪木が最後の異種格闘技戦の舞台としたノーロープ円形リングとしたものの、最終的にはフルハウスにはならなかった。

さらに当日、シンが搭乗予定の便が大幅に遅れ、第1試合が開始された時点でまだ空港に到着していない事態に。成田空港から直行して、何とかメインに間に合う綱渡りだった。

そんな状況とあって、シンはゴング前からウォームアップ代わりに大暴れ。越中を流血地獄に叩き込んだが、勢いあまって猪木レフェリーにまでパンチを放ったシンだが、それをかわした猪木はスリーパーで捕獲。そのまま越中がバックドロップの連発から腕十字で勝利。しかし観客の目は、猪木とシンの因縁復活に向いてしまい、平成維震軍旗揚げ戦は影の薄いものに。“キラー猪木”が本領を発揮した。

橋爪哲也

送料無料通販!

週刊プロレスNo.2227 (2023年2月8日号/1月25日発売) | 週刊プロレス powered by BASE

今週号の表紙は横浜アリーナでついにファイナルをむかえたグレート・ムタです。白使を流血葬で最後の最後までムタらしさを貫いたラストマッチを巻頭カラーから詳報。そのほかGHC王者が揃い踏みしたセミなど注目試合中心にリポート。新日本の横浜アリーナは昨年に続いてNOAHとの全面対抗戦。ロス・インゴvs金剛は昨年に続いてロス・インゴが勝利。大将戦に勝利した内藤哲也を解説を務めていた武藤敬司が引退試合の相手に指名して正式決定。翌日の名古屋大会で内藤に直撃インタビューで武藤戦の思いを聞いています。そのほか大荒れオカダvs清宮のタッグ対決、鷹木vsオーカーンのKOPW戦など詳報。週刊プロレス読者とモバイルユーザーの投票で決まる「プロレスグランプリ2022」の結果を発表。受賞者だけでなく各賞の上位10名まで発表しているのでランキングにも注目。また毎年恒例の「好きなプロレスラー」は50位まで発表。スターダムは高田馬場2連戦。ワールド王者・ジュリアが鈴季すずとの初防衛戦を前に試練の10人掛けにチャレンジした試合、若手主体興行「NEW BLOOD」で始まったタッグ王座決定トーナメントの模様も詳報。そのほか全日本・後楽園、DDT横浜、GLEAT新宿、ドラゲー神戸、天龍プロ新木場、東京女子・新宿、マーベラス新木場など掲載。【注意】発送後の返品・返金は原則不可とさせていただきます。送料は無料ですが、第三種郵便での発送となります。通常3~5日でのお届けとなります。また、事前に購入されても発売日にお届けすることは、お約束できません。ご了承ください。

shupuro.base.shop

アントニオ猪木秘蔵写真&未公開写真満載!

PICK UP注目の記事

PICK UP注目の記事



RELATED関連する記事