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2023-03-23

【相撲編集部が選ぶ春場所12日目の一番】翠富士2敗で大栄翔がV本命に。3敗組も急浮上

翠富士が若隆景の上手出し投げに屈して2敗となり大きく後退。3敗勢が急浮上し、優勝争いは様相が変わってきた。

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若隆景(上手出し投げ)翠富士

さあ分からなくなってきた。
 
12日目、優勝争いのトップを走っていた翠富士が若隆景に敗れて2敗目。この日2敗を守った大栄翔とトップに並ぶ形となった。そしてトップが2敗となったことで、この日サバイバルに成功した3敗組の霧馬山、若元春、琴ノ若にも、逆転Vの可能性が膨らんでくることになった。
 
この日は幕内前半の取組でまず千代翔馬が4敗に後退。後半に入って、優勝争いを展開する顔ぶれの中から大栄翔が最初に土俵に上がった。
 
7連勝と波に乗る北勝富士との対戦だったが、立ち合いはやや低さ負けしたものの、そのあとは高速の突きでアッという間に相手を起こして突き出し。2敗を守った。「しっかり立ち合いから持っていけたんで、いい相撲だと思います。残り3日間なんで、集中して一番ずつやりたい」。優勝争いに残っている力士では唯一の優勝経験者。その経験が、何よりの武器になるか。
 
そのあと、琴ノ若が明生を危なげなく寄り切って3敗を堅持。続く3敗決戦では若元春が遠藤に一気に出られて危なかったが土俵際の小手投げで辛勝した。
 
結び前では1敗の翠富士が登場したが、若隆景にモロ差しを許して攻められ、いったんは振りほどいたものの、主導権を奪い返せず上手出し投げに敗れた。「両方差していきたかったけど、逆に両方差されて攻められた。攻められている時点でよくない」と翠富士。単独トップでなくなったことで、優勝争いの中での立場は大きく後退した。
 
そして結びは3敗の関脇同士のサバイバル戦。素早く左上手を取った霧馬山が、粘る豊昇龍を上手投げに破ってV戦線に生き残った。
 
さて、残りは3日。優勝争いの展望はどうなるだろうか。まず2敗で並ぶ2人だが、並んでしまうと、やはり番付が上で相撲内容もいい大栄翔が本命になったと言えるだろう。今後の対戦予想は、明生(確定)、翠富士、霧馬山。このあと2敗する可能性はそれほど高いとは思えず、1つ負けても優勝決定戦には進出できる可能性が高い。怖いのは、霧馬山に1差でついてこられて、千秋楽に追う立場の強みを生かされる、という展開か。
 
翠富士は、明日が豊昇龍(確定)だが、組み合わせを検討すると、霧馬山戦は組まれない可能性が出てきた。大栄翔、琴ノ若になるか、あるいは琴ノ若-若元春が千秋楽に組まれるようなら、琴ノ若とも組まれず、阿炎または平幕下位の好成績者が相手になる可能性もある。「(自分では)そういうふうに思ってないけど、皆から硬くなっていると言われているので、硬くなってるっぽいですね。普通に吹っ切れてるつもりなんで、このまま頑張りたい」と翠富士。ちょっと勢いがなくなってきた感もあり、大きく後退したのは間違いないが、Vへの条件である大栄翔戦の勝利が手にできれば、まだ可能性はある。
 
そして3敗組のなかでは、相撲内容から言っても大きく浮上してきたのが霧馬山だ。残りの対戦予想は13日目が遠藤(確定)、そのあとは若隆景(あるいは割を崩して翠富士)、大栄翔が濃厚。何と言っても大栄翔との直接対決を残すのが大きい。
 
若元春は、明日北勝富士が確定、残りは豊昇龍、琴ノ若が有力。琴ノ若は、明日が若隆景が確定、あとは若元春を残す。翠富士戦も残すが、これはない可能性もあり、その場合は遠藤が相手になるか。小結勢は、直接対決がある上、それぞれ関脇戦を残すだけに、すべて勝っていくのはちょっと大変かもしれない。
 
総合すると、V本命は大栄翔で、可能性としては二番手はすでに霧馬山か。翠富士は大栄翔に直接対決で勝つことが望みをつなぐ条件、という感じだろうか。いずれにしても、最後の最後までもつれて、「横綱・大関休んでも、オモロかったやん」という場所になってくれることを期待したい。

文=藤本泰祐

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