close

2023-04-18

藤波辰巳vs浜田広秋、来る日も来る日も組まれた“元祖・前座の名物カード”新日本プロレスデビュー戦物語【週刊プロレス】

藤波辰巳vs浜田広秋(リトル浜田)

全ての画像を見る
4月2日の後楽園ホール大会でボルチン・オレッグがデビューした。カザフスタン生まれで山梨学院大学出身。フリースタイル・レスリング、アジア選手権優勝、世界選手権5位の実績を引っさげてのプロ転向。6人タッグでのデビューも異例なら、いきなり新日本マットでトップ戦線で活躍するザック・セイバーJrといきなり対戦するカードが組まれたのも異例。第5試合ということからも期待の大きさが感じられた。

先発で飛び出したボルチンは、デビュー戦とは思えない豪快な投げ技を繰り出して驚きの声を会場に響かせた。まだまだ動きにぎこちなさは否めず、最後はザックの腕ひしぎ十字固めにギブアップを喫したが、その闘いぶりからは将来性が感じられた。

これまで新日本マットでデビューした選手はボルチンで96人目(海外、バトルロイヤルのみ出場は除く)。ここでは半世紀を超える新日本プロレスでのデビュー戦の記録を振り返ってみる。

1972年3月6日、東京・大田区体育館で旗揚げ戦をおこなった新日本プロレス。アントニオ猪木vsカール・ゴッチをメインに全6試合が組まれたが、若手といえるのは第1試合に出場した藤波辰巳(当時)と、第2試合の木戸修のみ。そして旗揚げ戦の10日後、4大会目で浜田広秋(のちのグラン浜田)が愛媛県民会館で生え抜き第1号としてデビューした。対戦相手は藤波。

近年、藤波が語ったように、旗揚げ当初の新日本は老舗の日本プロレスと比べれば吹けば飛ぶようなインディー規模でしかない団体。1日でも早く陣容を整えるのが急務だったことから、旗揚げ4大会目でデビューさせたのだった。

藤波にすれば初めての後輩。ただ浜田は、軽量級ながらも柔道でミュンヘン五輪代表候補となった実力者。先輩とはいえ格闘技経験なしで日本プロレスに入門した藤波とは、実績では大きな差がある。しかも藤波は未勝利で浜田のデビュー戦の相手を務めた。

後輩に初白星を献上する恐れもあったが「それよりも仲間が増えたことの方がうれしかった」と藤波は振り返る。そして「とにかく負けられないっていう気持ちだけ」で勝利をもぎ取った。そのデビュー戦から浜田とは7大会連続で対戦。旗揚げ11大会目で関川哲夫(のちのミスター・ポーゴ)のデビュー戦の相手を務めたのを挟んで、その後も次期シリーズにまたがって15連戦を闘っている。

浜田からすればデビュー戦から黒星続き。17回目の対戦(同年5月13日、大阪・堺市金岡体育館)でようやく15分時間切れ引き分けに持ち込んだ。その後も引き分けこそあるものの白星はつかめず、初のドローから1年以上を有した43戦目(翌1973年5月31日、帯広市総合体育館)にして初勝利。だが藤波のカベは厚く、その後も勝利には恵まれなかった。結局、前座時代、66戦を闘った両者の対戦成績は、藤波の58勝1敗7分。

ちなみにともにトップスターなってからは新日本では対戦しておらず、無我ワールドのリングで唯一の一騎打ち(2007年1月28日、東京・後楽園ホール)。ドラゴンスリーパーで藤波が59勝目を挙げている。

来る日も来る日も組まれた藤波vs浜田。前述した関川、木原真一、荒川真(のちのドン荒川)、佐藤一生、栗栖正伸、藤原喜明、小林邦昭がデビュー、そして坂口征二が日プロから小沢正志、大城大五郎、木村聖裔らを引き連れて合流してからも両者の闘いは組まれ、いつしか前座の名物カードとなっていった。

次々と若手がデビューしていくなかで、藤波は関川、佐藤、藤原の、浜田は木原、荒川、栗栖のデビュー戦の相手を務めている。浜田を含めて新人4人に胸を貸した藤波は、松田納(エル・サムライ)と並ぶ新日本の記録である。

橋爪哲也

送料無料通販!

週刊プロレスNo.2240 (2023年5月3日号/4月19日発売) | 週刊プロレス powered by BASE

今週号の表紙は11年ぶりに開催が決まった「ALL TOGETHER AGAIN」の会見に集結した新日本の棚橋弘至、全日本の宮原健斗、NOAHの清宮海斗です。プロレス業界としてコロナからのリスタートとアントニオ猪木さん追悼の意味を込めた大会の開催発表会見を再録。また巻末言では過去2回メインに出場した棚橋が開催意義を語っているので必読。スターダムは代々木でビッグマッチ開催。「シンデレラトーナメント」はMIRAIが桜井まいを破って、史上2人目となる連覇達成。メインでは横浜アリーナ決戦を前にジュリアと中野たむがワールド王座最後の前哨戦。試合後には白川未奈と月山和香のコズエン離脱、さらには安納サオリの電撃加入など波乱続出の大会を巻頭で詳報。横浜アリーナへ向けて中野と白川のインタビューも掲載。新日本関連は新IWGP世界ヘビー級王者・SANADAとJust 5 Guysで結託したタイチの対談を企画。試合はアメリカで始まったIWGP世界&ジュニアの前哨戦もリポート。NOAHは仙台ビックマッチを追跡。GHCヘビー級王者のジェイク・リーが中嶋勝彦を下してV1のほかタイトルマッチ中心にリボート。5・4両国決戦へ向けた動きも加速。そのほか全日本・名古屋&浜松、DDT新宿&新潟、ドラゲー福岡、大日本・後楽園&札幌、GLEAT後楽園、東京女子・後楽園、仙女・新木場、アイスリボン川口など掲載。【注意】発送後の返品・返金は原則不可とさせていただきます。送料は無料ですが、第三種郵便での発送となります。約1週間でのお届けとなります。土日祝日の配送がありません。また、事前に購入されても発売日にお届けすることは、お約束できません。ご了承ください。

shupuro.base.shop

加入月0円! 週プロmobileプレミアムならバックナンバー1500冊以上から最新号まで読み放題!!

PICK UP注目の記事

PICK UP注目の記事



RELATED関連する記事