世の中、なかなか自分の思うようにことは運びません。
あなたにもきっと1つや2つ、いや、中には数えきれないぐらい計算が狂い、当てが外れて、悔しい思いをしたことがあったはずです。
まして勝負の世界は思ったようにはいかず、切歯扼腕して当たり前とも言えるでしょう。
それでも、それに懲りず、さらに努力を重ねることが成功の秘訣でもあります。
そんな当てが外れて天を仰ぎ、地団太踏んだ話を集めました。
※月刊『相撲』平成22年11月号から連載された「泣き笑いどすこい劇場」を一部編集。毎週火曜日に公開します。
納豆信心効果!?
こんな当て外れもある。平成19(2007)年の正月明け、あるテレビ局が「納豆でダイエットできる」という内容の番組を放送した、これを見ていたのが身長176センチ、体重165キロと見るからに丸々とした潮丸。かねてもう少し体重を減らしたいと思っていたところだったので、さっそくこれに飛び付き、毎日3パックずつ、納豆を食べ始めた。
「ダイエット効果だけでなく、代謝が良くなり、血液中の有害物質を壊す効果があると言っていたので、それを信用したんですよ」
すると、どうだ。動きがすっかりよくなり、なんと11日目には早々と8勝目を挙げて勝ち越しを決めたのだ。潮丸の幕内での勝ち越しは新入幕の平成14年秋場所以来、2度目のことだった。これも納豆のお陰と思うと、もう黙ってはいられない。潮丸は周りの力士たちにも「体にいいんだよ」と納豆効果を宣伝しまくった。
ところが、間もなくテレビ放送された納豆のダイエット効果は架空の実験結果やデータによるもので、専門家のコメントも捏造したものだったことが発覚。社会問題化して番組そのものも打ち切りになってしまった。つまり、根拠のないウソ放送だったのだ。このことを付け人から聞いた潮丸がショックを受けたのは言うまでもない。
「この好成績は納豆のお陰とばかり思っていたんですけど、気持ちの問題で単なる自己満足だったんですね。それにしても、カッコ悪い。テレビ局に納豆代を請求したい気分ですよ。もっとも、全部で2千円ぐらいですけど」
とプンプンだった。ブームに踊ってはいけない。
月刊『相撲』平成24年1月号掲載