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2023-07-16

【相撲編集部が選ぶ名古屋場所中日の一番】若元春が左四つに組み勝ち琴ノ若を寄り切り。大関取りレースに食らいつく

得意の左四つ右上手から、琴ノ若を一気に寄り切った若元春。「大関取りレース」に食らいついたまま、中日を折り返した

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若元春(寄り切り)琴ノ若

今場所の焦点である、「トリプル大関取り」の興味が、前半戦で潰えることなく、後半戦につながった。若元春が難敵の琴ノ若を降し、大関取りの可能性を残す6勝2敗の星で前半戦を折り返した。
 
この日の対戦相手の琴ノ若は、ここまで5勝2敗。大栄翔に2敗目をつけ、そして錦木に初黒星をつけていることでも分かるとおり、ここへきて調子を上げてきており、なかなかの難敵だ。
 
対戦成績は、琴ノ若4連勝のあと、ここ2場所は若元春が連勝。これまでも、モロ差し狙いの琴ノ若に対して、左四つの若元春がそれを許すかどうかが焦点になっており、若元春の左と琴ノ若の右の差し手争いが勝負のカギだ。
 
この日の相撲も、まさにその通りの展開となった。立ち合いから、ともにその腕を固めてのぶつかり合い。圧力では、やはり体の大きい琴ノ若が前に出る形になる。若元春は西土俵に詰まる形になったが、それでも相手の右は絶対に差させない。右ヒジが上がった琴ノ若がやむなく上手狙いに切り替えたところで、若元春はほぼ同時に左下手と右上手をつかみ、土俵際に詰まりながらも相手の寄りをこらえることに成功した。左四つに組み勝てれば若元春だ。廻しが取れない琴ノ若に対し、腰をうまく振って上手を与えないようにしながら寄るという技術を見せながら逆襲、一気に赤房下に寄り切った。

「立ち合い攻め込まれましたが、左が入ったので自分の相撲か取れました。(左を固めた)そうですね、左をねじ込んでいこうと」と若元春。これで6勝2敗、前を行く豊昇龍、大栄翔との「大関とりレース」に食らいついての折り返しとなった。昇進の目安と言われる「直近3場所33勝」にはあと1つしか負けられないので、ほかの2人より難しいことは間違いないが、ぴったり食いついていって終盤の直接対決で逆転、あるいは追いつく、という可能性は残されている。今場所は負けた2番が一方的だったため、やや印象面で損をしているが、勝った相撲には、例えばこの日で言えば「右差しは絶対許さない」といったテーマを立てて、それを着実に実行している面もうかがえ、29歳ではあるが、“最近の成長度”という意味では3関脇で一番。それを逆転への武器にしたいところだ。
 
本人も「自分の形に持ち込めなかったときのもろさが際立っているので、自分の形に持ち込めるようにしたい」と後半戦への課題を挙げたが、一番一番、それを実現していけるか。
 
この日、優勝争いのほうは、豊昇龍が落ち着いて宇良を叩き込み。錦木は見て立ったあと、力強く翔猿を振って押し出し連敗はせず。髙安を寄り切った北勝富士とともに1敗を守った。玉鷲は隆の勝に押し出されて2敗に後退。1敗の3人を、大栄翔、若元春、玉鷲、宝富士、遠藤、伯桜鵬の6人が追う形となったが、2敗組の中ではやはり豊昇龍を自力で倒せる力を持つ大栄翔と若元春が逆転の可能性を残す。また、この日は頭をつけながら右の上手出し投げで崩しての寄り、という理想的な相撲を見せ、ここにきて3連勝とノッてきた伯桜鵬の後半戦が何とも楽しみだ。

文=藤本泰祐

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