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2023-07-18

【相撲編集部が選ぶ名古屋場所10日目の一番】大関取り戦線異状あり! 豊昇龍2敗、若元春3敗。V争いは平幕が先頭に

懸命の粘りを見せたが、最後は琴ノ若に押し出され、豊昇龍は2敗目。「大関取り」も、「初優勝」も、また行方が分からなくなってきた

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琴ノ若(押し出し)豊昇龍

「トリプル大関取り戦線」も、そして優勝争いも、大きく動いた。
 
10日目の後半戦の土俵。大関取りを狙う3関脇は、この日は下から番付順に土俵に上がったが、まず若元春が低い阿武咲をカチ上げで起こし切れずに押し出されて3敗目。今場所後の昇進に向けてはガケっぷちに追い込まれた。大栄翔は平戸海に対して慎重に押したが、最後は食いつかれそうになり、土俵際で突き落としての辛勝で何とか前進。そして3人目の豊昇龍は、対戦成績で10連勝していた琴ノ若に押し出され、2敗目を喫した。
 
豊昇龍の2敗目は、きのう「あるとすれば……」と書いた、強引な相撲によるものではなかった。本当に、隙ともいえないような立ち合い一瞬の形から流れを失ってしまうのだから相撲は怖い。
 
この日の立ち合い、豊昇龍は低く、下から当たった。それほどいつもと違うようには見えなかったが、右の脇がわずかに固まっていなかったのか、モロ差し狙いの琴ノ若に、スパッと二本差されてしまった。先場所は琴ノ若にモロ差しを許しながらも掛け投げで投げ捨てている豊昇龍だが、今度は廻しが取れていないのでそれもできない。右を巻き替えにいったところで、一気に出られた。土俵際、「あのまま止めたらくっつかれる。はがそうと思って」という琴ノ若がノド輪で押してくるところを、何とかかわそうとしたが、左で再び廻しをつかまれ、横に逃げることもできない。「土俵際だけ気をつけて、しっかり攻めていこうと思った」という琴ノ若に、最後は胸のあたりを突かれて押し出された。
 
豊昇龍は土俵下で「いやー、やられた」というような表情。これで大関昇進の目安と言われる「直近3場所33勝」へは残り5日で4勝と、再び当落線上へ戻る形となった。ただこの日の負けは、相撲に変調をきたしたという内容ではないので、今後、「あまり負けられなくなった」という部分で焦りさえ出なければ、というところだろうか。
 
一方、大栄翔は目安まで「あと3」とする大きな白星。できれば星勘定がギリギリでないうちに昇進へ大勢を固めてしまいたいところだが、あす11日目には早くも霧島戦が組まれた(三役同士の対戦カードが残り少ない今場所は、関脇以上の潰し合いが早めから少しずつ組まれるのかも)。ここに勝てればかなり大きな一歩となるが、さてどうなるか。
 
優勝争いのほうは、錦木、北勝富士がともに1敗を守り、平幕勢がトップに立った。錦木はこの日は受けるような立ち合いになり、明生に二本入られたが、そのあとの力強さは相変わらずで、何とか左を巻き替え、最後は寄り倒した。目標である新三役へ「まずは二ケタ」と、遠い優勝でなく、近くに目標を置いているのがいいのかもしれない。このあとは疲れとの戦いともなろうが、一番一番白星を重ねていきたい。北勝富士は、あす若元春戦が組まれ、いよいよ上位戦。ここからが勝負だ。
 
豊昇龍がトップから後退し、優勝争いは再び混とん。錦木が逃げ切るか、3関脇が役力士の意地を見せるか、はたまた……。「トリプル大関取り」と優勝争い。微妙に絡み合いながら、2つの楽しみはまだまだ続く。

文=藤本泰祐

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