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2020-02-10

【2019スポーツカード大賞 11】ひと目で分かる写真がうれしい

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毎年恒例のスポーツカード大賞! 今回もディーラーズ座談会で決定します。連載第11回は、カードの肝となる「フォト部門」をお届けします。

〈参加ディーラー〉
佐伯 篤(SAトレーディング)
田村亮一(ミント神田店)
高橋高弥(ミント立川店)

 カードファンの皆様、1年ぶりのご無沙汰です!

 かつて「スポーツカード・マガジン」誌上で、2008年から行われてきたディーラーズ座談会も、とうとう12回目を迎えました。カード界のご意見番・佐伯篤氏を司会に、ミントからは、すっかりお馴染みとなった神田店の田村亮一店長と立川店の高橋高弥店長が今回も招集に応じてくれました。この顔合わせは2年連続2回目ということで、すっかり息の合った3人が繰り広げたトークバトル。

 平成から令和に変わった2019年を代表したのは、果たしてどんなカードなのか? 時おり脱線を繰り返しながらも、なんとか感動(?)のフィナーレを迎えた座談会の模様をお伝えします。全14回連載の第11回は、カードのカッコよさを左右するフォト部門。皆さん、鳥肌にご注意を!

〈これまでの連載〉

大野のノーヒットノーラン、
引退の胴上げ…

佐伯 前回の最後にオチもついたところで、【ベストフォト部門】にいきましょうか(笑)。

田村 写真については、「2ndバージョン」からレギュラーカードのシークレット版よりもさらにレアな、ウルトラシークレット版が入ったんですよね。「1stバージョン」では通常のシークレット版でしたけど、西武の内海哲也が自転車に乗っていた写真はなかなかインパクトがありました。いまの時代は、ひと昔前のカルビーみたいな変わったオフショット写真は使いにくくなってきているみたいなんですよね。そんな中、あの1枚は西武球団の懐の深さを見たような気がします(笑)。

ルーキーエディション」のドラフト1位にもフォトバリエーションのシークレット版があったんですけど、やっぱりルーキーなので、みんな無難なポーズを慣れない顔つきで撮られている中、阪神の近本だけはやる気満々で滑り込んでいるポーズだったんですよね。発売当時はそこまで注目を集めていなかった選手だったので、カードファンは「このオールドルーキーは何者なんだ?」と思ったはずです。でも、あのポーズは自信の現われだったんでしょう。いま振り返ってみると、あの時から一人だけ新人離れしていましたよ。

 あとは「惜別球人」に入っていたサインカードで、これはレギュラーカードについてもそうなんですけど、胴上げシーンがこれまでよりも多かったような気がするんです。記録達成して花束をもらっているような写真もそうなんですけど、ひと目であのシーンだと分かる写真が使われていると、やっぱりファンは喜びますよね。

佐伯 その流れで言えば、大野雄大がノーヒットノーランを達成したときにマウンドで尋常じゃない喜び方をした写真を使ったサインカードが「FUSION」で制作されましたよね。私は先日、カードショーで名古屋に行ったときに話を聞いてきたんですけど、あのカードを忘れられないというお客さんがいましたよ。

田村 あの場面は、カードじゃないところでも話題になっていましたよね。

佐伯 そういえば、その時、たまたま名古屋ローカルのテレビを見ていたら、中日ドラゴンズの番組をやっていて、ファンが選ぶ2019年ベストシーンの上位に大野のノーヒットノーランが入っていました(笑)。

田村 やっぱり、そういうところが大事ですよね。

佐伯 まさに、アップデートだと思います。

高橋 私が最初に紹介させていただきたいのは、トップスの「スタジアムクラブ」に入っていたイチロー選手のバリエーションカードなんです。東京ドームで引退した試合の写真ですね。2019年のスポーツ界はいろいろなニュースがありましたけど、イチロー選手の引退も大きなトピックだったと思います。そのシーンの写真がとても印象的でした。

佐伯 「スタジアムクラブ」は昔から個性的な写真を多く使っていて、それが売りの一つでもあるシリーズですからね。

高橋 しかも、このカードはバリエーションということもあって、なかなか出てこないんですよね。そんなところもよかったと思います。それ以外で言いますと、巨人チーム別に入っていた「GIANTS PRIDE」の阿部慎之助選手。あのキャッチングしている写真はかっこよかったですし、Jリーグはジュビロ磐田のチーム別で、中村俊輔選手がコーナーキックを蹴っている写真が使われていたんですけど、しかも、それが背中から撮影した構図で、すごくいいと思いました。

田村 このカードはいま初めて画像で見ましたけど、私もすごくいいと思います。中村俊輔のカードとしては完璧ですよ。

佐伯 なかなかこういう角度の写真はないですからね。後ろ姿でも特徴的な蹴り方で中村俊輔と分かるからこそ、成り立つ写真ですよね。

高橋 私もJリーグのレギュラーカードには苦言を呈することが多いんですけど、これは素晴らしい1枚だったと思います。背中から撮影した写真はBBMのシークレット版などでたまに使われていて、「1stバージョン」では岡本和真選手と大山悠輔選手がバックショットの写真でした。

佐伯 私はイチローの引退カードについては、この後の企画部門で「トップスナウ」を挙げようと思っていたんですけど、フォト部門でもいいかもしれないですね。

田村 このシーンは私もテレビで見ていました。スタンドのファンに最後の挨拶をするイチローを多くのカメラマンが取り巻いていて、あの中の一人が撮った写真がこうしてカードになっていると考えると、ちょっと感慨深いものがありますね。

佐伯 さすが「スタジアムクラブ」で、この使っている写真はいいなあ。天井が写っていて、すぐに東京ドームだと分かりますし。私はこのカード、初めて見ました。

田村 惜しむらくは、めちゃくちゃ出ないんですよね。ケースで1枚しか出ないフォトバリエーションが、全部で20~30種類くらいあるんです。

高橋 イチロー選手のバリエーションは、そのうちの1種ですからね。

佐伯 そのなかなか出ないカードを写真としてでも見せてあげるというのは、ファンにとっても親切かもしれないですね。私は、このイチローで異議なしです。「トップスナウ」にもイチロー引退のカードはありましたけど、こっちのほうがいい写真だと思います。イチローも、ぜひどこかで入れておきたい!

田村 今回、イチローを含めて高橋君の挙げてくれた3枚は、どれ取っても僕の自転車よりレベルは高いですから、私も異論はないです(笑)。

高橋 自転車つながりで言えば、「インフィニティ」に入っていたBMXの中村輪夢選手も、あのジャンプしている写真はすごくカッコよかったと思います。

田村 名前が輪夢ですからね(笑)。

佐伯 ここはイチローの「スタジアムクラブ」にしましょうよ。

田村 「スタジアムクラブ」があったからこそ、BBMのシークレット版も生まれたわけですしね。

☆フォト部門☆

イチロー(シアトル・マリナーズ)

フォトバリエーション

TOPPS STADIUM CLUB

「スタジアムクラブは、昔から個性的な写真を使っているシリーズ」(佐伯)

▷▷▷次回は、企画部門です!

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