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2023-09-22

【しゅりんぷ池田のカード春秋】1975年のライオンズ

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ライオンズに一筋の光明が差した

 1973年から78年にかけ福岡野球株式会社の経営の下、低迷していたライオンズに一筋の光明が差した年が75年でした。この年から選手兼任監督として指揮を執ったのが両リーグで首位打者を獲得した実績もある地元・熊本出身の “闘将”江藤慎一でしたが、この江藤、なんと大洋から交換トレードで太平洋に加わったのでした。監督がトレードでやってくるって……。

 この江藤を含め前年オフにライオンズは6組もの交換トレードを行い、大幅な血の入れ替えを敢行したのです。その1人が今回掲載している土井正博でした。近鉄の四番を務める強打者ながら、その外野守備に不安を感じていた西本幸雄監督によって放出されてしまうのですが、このトレード成立の直後に翌年からの指名打者制度の導入が決まり、同監督は地団駄を踏んだというエピソードも残されています。

2023BBMベースボールカード埼玉西武ライオンズヒストリー1950-2023 No.16 土井正博
2023BBMベースボールカード埼玉西武ライオンズヒストリー1950-2023 No.16 土井正博

 前年までの土井は主要打撃タイトルの獲得がなく、“無冠の帝王”と呼ばれていたのですが、この年34本塁打でホームラン王に輝いたのでした。しかし、土井がコーチ時代の愛弟子・清原和博が、この“無冠の帝王”の異名を引き継いでしまったのは、何とも歴史の皮肉です。

 さらに、同年日本ハムから移籍してきた白仁天が首位打者に輝き、生え抜きの東尾修も最多勝を獲得と主力選手たちの活躍で太平洋は8年ぶりのAクラス・3位に浮上したのですが、江藤監督は1年で退任、チームは再び低迷します。

 土井はというと、埼玉移転後も主力として活躍しますが、西武球団初優勝の82年の前年(81年)限りで引退となったのでした。
(週刊ベースボール2023年10月2日号 掲載記事再編)
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