天龍プロジェクトにレギュラー参戦している河野真幸は10・17新木場でWAR世界6人タッグ王座へ返り咲き、VANOSTAR10・22後楽園で自身のデビュー20周年記念試合をおこなうなど、ここ最近で波に乗っている。「龍魂杯」(11・6新木場で開幕)に関しては賞金獲得が一番のモチベーションになっているという。その先には、天龍プロジェクトに関するあるプランが描かれていた。
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――河野選手は第1回が準決勝で矢野啓太選手に敗れ決勝進出ならず。昨年は1回戦でWRESTLE-1時代の後輩にあたる仁木琢郎選手に不覚を喫しています。
河野 仁木は僕に勝ったあとIJタッグチャンピオンになったし、矢野君は第2回龍魂杯で優勝したりで、素晴らしい踏み台になっていますね。ザ・業界のロイター板。そのあとみんなが跳ねてくれるという。
――いいんですか、踏切板で。
河野 本当にロイター板になったら仕事が増えますよ。ただ、トーナメントに関しては優勝賞金を目指してやっているんで、それが得られないというのは痛いです。あと、トーナメントは勝ち進むごとに試合数が増えるんでチャリンチャリーンと入ってくるし。
――みんな何試合もやることに関しては歓迎していない中で河野選手だけですよ、喜んでいるのは。
河野 だから去年なんて4試合分入ってくる算段だったのに、1試合分だったのが金銭的に大ショックでした。
――試合の勝利そのものに関しては希薄なんですか。
河野 そんなことはないですよ。ベルトも取った(WAR世界6人タッグ)じゃないですか。
――しかも大熱闘でした。
河野 熱闘でしたか? あれはクマ(羆嵐)が頑張ってくれたからね。まあ、出るからには若い人たちに譲る気持ちはないですよ。ちょっとでも邪魔してやろうっていう気満々。おっさんの意地もありますからね。そのおっさんという壁にならなければならない2人(河野vs耕平)が1回戦で当たっちゃうという…誰ですか、組んだの。
――まあ1回戦の組み合わせを見た限り、明らかに主催者側が面白がっているのが伝わってきますが。
河野 光留君とパロマさんが3年連続1回戦で当たるとかね、悪意を感じます。でも、この1回戦を越えられたらいけるんじゃないかっていうのはあります。あとは次、順当にいったら児玉(裕輔)でしょ? パートナー同士だから相手のことがわかるし、反対側からはクマが出てきて、決勝戦のレフェリーを児玉が務めるというのが一番美しい。
――6人タッグ王者チームの3人で龍魂杯決勝戦を占領すると。
河野 WRESTLE-1の3人がね。そこは誰も(WRESTLE-1を)イジらないから、僕がイジらないと埋もれちゃうんで。
――それもあってWAR世界6人タッグ王座へ挑戦する試合(10・17新木場)では入場テーマ曲の冒頭にCheer♡1(WRESTLE-1公式サポーター)の『Ready Go!!!!!』をつけたんですか?
河野 イジってますよねえ。その匂いを察知して、しれっとセコンドに仁木がいたのが面白かったですよね。だから元WRESTLE-1の三人で決勝戦を占めることによって「このトーナメントはWRESTLE-1 GRAND PRIXだったのでは」と思わせるという。
――懐かしのWRESTLE-1シングルトーナメント。羆嵐選手とのシングルマッチは当時、実現していますか?
河野 あいつが熊ゴローの時にやっているはずです。(龍魂杯は)1回戦が8試合、組まれて、ヘビー対ヘビーは僕と耕平さんだけなんですよね。それじゃもの足りないじゃないですか。だから決勝でもヘビー対ヘビーを見せると。でもクマはこの前、SUSHI先輩に負けてんだよなあ(10・7川崎の一騎打ち)。代わりにSUSHIさんが勝ち上がってきたらヤバいですよ。
――SUSHI選手は一昨年の「龍魂杯」1回戦で勝っている相手。ただ、VAMOSTARのリングでは続けてドローに終わっており、河野選手にとっては意外としとめにくい相手なんですか。
河野 うーん、そうなのかもしれない。でも、50万円はほしいですから。僕は優勝賞金1000万円!とか言われるよりも、50万という比較的身近な額の方が夢を持てるんで。
――獲得したら何に使うつもりなんですか。
河野 天龍さんに(競馬の)有馬記念の予想を聞きにいって、一点勝負! 倍率2倍でも100万でしょ。それを元手にして、地上波テレビを枠買いして天龍プロジェクトを放送すると。
――それはいいアイデアです!
河野 天龍さんが有馬記念を楽しむために50万が必要だとここで言っておけば、みんな忖度して負けてくれるでしょう(ニヤリ)。天龍さんの楽しみを奪うようなこと、できないでしょ? 俺、耳元で言うからね。「天龍さんの気持ちを考えろよ」って。
――レスリングを求道する矢野選手は、応じてくれますかね。
河野 「僕にも1割ください」って言ってくるかもしれない。でも、分け前を渡せば聞くんじゃないですかね。龍魂が宿った50万円ですから、そのへんの50万円とはわけが違います。そこはちゃんと龍魂に則った使い方をしなければいけない。それが理解できる選手の皆さんは、何もわざと俺に負ける必要はない。天龍プロジェクトはPWFルールですから、場外で10秒間待ってくれさえすればいいんです。僕は全試合10秒で勝てます。私はこの業界でずっと政治を見てきました。まあ、権力っていうのは怖いですよ。前回、前々回はその政治力に頼らないまま終わってしまった。それが反省点だったということです。
――天龍プロジェクトではシングルのタイトルがIJ=ジュニアで、ヘビー級のシングルの勲章がない。だからこそ龍魂杯優勝の実績はヘビー級の選手にとって大きなものになります。
河野 年間を通じてのシリーズの中で、ヘビー級のシングル戦線が主になるのがこの龍魂杯ですからね。無差別で誰が一番なのかを決められる唯一の機会…減量して僕がIJシングルに挑戦するやり方もありますけど、どう考えても政治力を使った方がラクですから。皆さん、天龍プロジェクト地上波放送をお楽しみに! (聞き手・鈴木健.txt)