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2023-11-02

【天龍プロジェクト】クセモノ児玉裕輔の「龍魂杯」――「天龍さんとは違う形で龍魂を体現するのはテーマとして面白いと思う」【週刊プロレス】

「龍魂杯」制覇を狙う児玉裕輔

元WRESTLE-1の児玉裕輔は天龍プロジェクトのリングでインターナショナルジュニアタッグを獲得(パートナーは谷嵜なおき)し、先日は河野真幸&羆嵐とWAR世界6人タッグ王座を戴冠した。残るはシングルの実績ということで初の「龍魂杯」に乗り込んでくる。スタイル的には天龍源一郎のそれとはかけ離れた存在の児玉が考える龍魂との向き合い方とは!?
◇     ◇    ◇
――「龍魂杯」初出場となります。

児玉 ついに!っていう感じで気合入っています。1回戦から準決勝まで1日でやるということは、ボロボロになるのは確実ですけど、それでも勝ち進んでいきたいと思えるトーナメントですね。

――負けたら終わりのトーナメントになります。

児玉 僕自身は得意な方じゃないかと思っています。闘い方が意地汚いタイプなんで。こんなことを声高に言うことではないんでしょうけど、正々堂々と正面からぶつかるというタイプではないから、一日3試合でもデロデロになるほど消耗しないかもしれないし。連戦であることを前提に考えたら、直線的にいくよりも僕みたいなスタイルの方がいけるんじゃないかって思っています。もちろん、勝ち上がるごとに相手も冷静になってくるでしょうから、それをどう攻略していくかを頭に入れて闘わなければならないですけど。

――その意味では、1回戦の吉田和正戦は若い相手だけに組みしやすいのでは?

児玉 僕の中ではアラケンさんにちょっかい出されている人というイメージなので、同じように手の平の上でコロコロ転がせるような闘いをすれば勝てると踏んでいます。勝手に自分はアラケンさんとタイプが似ていると思っているので、これまでの二人の試合を見てきたことでその通りにやれば問題ない。どうやっていじめようか、ですよ。

――2回戦に進出すれば、WAR世界6人タッグのベルトをともに持つ河野真幸選手と対戦する可能性があります。

児玉 やりたいかどうかと言われたら、どうだろう…。(佐藤)耕平さんとだったら、どっちが勝ち進んでもデカいじゃないですか。ここもフィジカル的には不利なんですけどデカい人を相手にするのは好きだし、いろいろな(攻略の)パターンも持っているので。なかなかガッチリとデカい人とシングルで当たるのは少ないので、どちらが相手になろうとも、ちっちゃい者がうまいこと手の平の上で転がすところを見せたいと思います。(河野と耕平の)どちらが勝ち上がってきてもキツいのは間違いないですけど、6人タッグのベルトを取ったタイミングだからこそパートナーとやってみたいですね。こういう時じゃないとベルトを持っている者同士の対戦ってなかなかない。その意味で、決勝戦には谷やん(谷嵜なおき)に上がってきてほしい。

――谷やんこだやんのパートナーである谷嵜選手とは、ご自身の要求で一騎打ちをやっています(7・14新木場。児玉の勝利)。

児玉 体格も似ていて、体が小さい選手ならではのいろいろな闘い方がある中で、谷やんはちょっと違う闘い方をするタイプで、対戦した時にひきだしも増えている気がしました。あの試合の前まで負けが続いていたこともあって意識を切り替えたくて、吹っ切れるカギを握っているのが谷やんだと思ってシングルで対戦したかった。実際、谷やんと対戦できることでワクワク感が持てて、メンタル変わりましたから。ネガティブまでにはなっていなかったけどポジティブになれたし、そこで前向きになれたことがベルト奪取につながったと思っています。今、6人タッグのベルトを持ってはいますけど、谷やんとはIJタッグのベルトは今後も狙っていきたいと思っているので、その二人で決勝ができたらまたあとにつながるでしょう。

――児玉選手にとって天龍プロジェクトのリングとは?

児玉 自分にとっての天龍プロジェクトは、一番伸び伸びと闘えるリングなんです。こう見えて僕はよくも悪くもいい子ちゃんでおとなしい。全体を見て気を遣うタイプ。その中でシングルのトーナメントは誰にも気を遣うことなく、自分のためにやれる場だと思うんです。

――気を遣うとは?

児玉 言い方としてうまいこと伝わるかどうかアレですけど、リング上で見せるものが児玉裕輔っていうプロレスラーだけではない時も場合によってはあるんです。自分にとってのレスラーとしての姿ではないケースがある中で、この天龍プロジェクトでは児玉裕輔を好きなだけ前面に出せる。

――どうなんでしょう、気を遣わないという意味では、WAR世界6人タッグ王座を獲ったのは三人ともWRESTLE-1出身だったからというのはあったんですか。

児玉 僕に関しては正直、チームWRESTLE-1という意識はなかったですね。もう終わった団体ですから。

――河野選手は「解散ではなく活動休止中」だと言い続けています。

児玉 そうですか。僕は元WRESTLE-1で一括りにしなくてもと思っています。

――タイトルマッチに臨む時、Cheer♡1の曲を使ったじゃないですか。

児玉 あ、あれはムチャクチャよかったです。やっぱり昔を思い出しました。今、自分でもCheer♡1という単語を何年ぶりに言ったのか。ああいうのは好きですけど、常にWRESTLE-1を背負っているわけではないんで。ただ、フリーとなった三人が集まって結果を出せたのは嬉しいです。むしろWRESTLE-1時代の方がユニットも違っていたんであの二人とは組んでいなかったですからね。それがこうやって実績をあげられたわけですから、6人タッグの風景も面白いものを描けるんじゃないかな。

――WAR世界6人タッグって、一度取ってしまうと必ず防衛戦のたびに3本勝負をやらなければならなくなるからシンドいタイトルですよね。

児玉 ああ、そうだ! 今からちょっと、体力つけます。

――児玉選手のキャリアの中で、天龍さんのカラーはそれほど通過しないままここまで来ましたよね。その上でこのリングに上がってつかめた気づきは何かありますか。

児玉 僕が思うのは天龍さんのカラー、闘いは確実にありますけど、天龍プロジェクト自体はすごく自由に映っています。そして天龍さんも、それを楽しんでくれているイメージがある。特別、そのへんは意識しなくていいんだぞっていう感じで見てくださるので、みんなが伸び伸びやれているんだと思います。

――とはいえ、トーナメントに優勝したら龍魂を背負うことになりますよ。

児玉 あっ、それは背負います。

――そんなあっさりと!

児玉 背負ったとしても僕が天龍源一郎になれるわけではないので、児玉裕輔として背負う形です。

――いきなり延髄斬りやラリアットを使い出すようなものではないですからね。

児玉 そういうことはしないです。違う形で龍魂を体現するというのは、向き合うテーマとしては面白いと思うんですよね。(聞き手・鈴木健.txt)
「第3回龍魂杯」トーナメント表

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