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2024-03-12

【相撲編集部が選ぶ春場所3日目の一番】目の前から消えた⁉ 宇良が独自の変則技から大関戦2勝目。霧島はよもやの3連敗

宇良は独特の変則的な動きから霧島を突き落とし。これで今場所の大関戦は2連勝だ

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宇良(突き落とし)霧島

これも一つの「宇良スペシャル」だ。
 
今のところ通称がないのがもどかしいが、宇良が、突き合いの中で一瞬しゃがんで相手の間合いをずらす、得意の動きから霧島を破り、今場所2つ目の大関からの白星をつかんだ。
 
この日は、立ち合いからよく見て突いていこうという作戦の霧島に対し、低く当たった宇良がむしろ当たり勝った。霧島はいったん宇良の左手を手繰るように右からイナして体を入れ替え、突き合いに。
 
その動きの中で、「宇良スペシャル」が出た。俵を背にしたところで、宇良が一瞬スッとしゃがむと、霧島の左の突きが空振りに。このタイミングのズレで、同時に左の足の送りが遅れて霧島の体が伸びてしまった。宇良はこの瞬間を逃さず、左から突き落とし。霧島はあえなく土俵に這った。
 
独自の必殺技としては反り技を持ち、そのイメージが固定化されているだけに、この「突き合いの最中に相手の目の前から消えてしまう」という技は宇良にとって表芸の位置にはどう転んでも来ないが、出現頻度としては圧倒的に多く、宇良にとってはさながら、ならではの“宇良芸”(ダジャレで失礼!)と言ったところだ。
 
寝屋川市出身の宇良にとっては、ここ大阪はご当所。宇良が土俵に上がると、客席には応援タオルが一斉に掲げられ、館内がピンク色に染まる。これもある意味、春らしい風物詩だと言っていい。

「(相撲内容は)ちょっと覚えてないです。無我夢中で。(ここまで3日間は)頑張れていると思います。大阪の街は過ごしやすくて好きです。宿舎はアパートに住まわせてもらっているのですが、きれいなところなので」と、相変わらず相撲の内容についてはほとんど語らず、おとぼけコメントで取材陣を煙に巻くが、これもまたいつもの宇良のペースだ。これで番付上位3人と当たっての2勝1敗。先場所1場所で明け渡した三役復帰に向け、まずは好スタートを切った。
 
一方の霧島はこれで3連敗。連敗スタートで「もう負けられない」と肩に力が入る状況は、宇良を迎えるには最も不向きだったか。よく見て突いていく、という作戦は当然ではあったが、慎重になりすぎ、腰を引いてそれをやると、この日のように下半身がついていかない形になりやすい。まさに「宇良スペシャル」を食いやすい条件にハマってしまったといえるだろう。
 
この日は霧島以外の横綱、大関陣はそろって白星。明生の攻めを何とかかわして白星をもぎ取った貴景勝はまだ不安を残す内容ではあるが、照ノ富士、豊昇龍、琴ノ若の3人は、圧勝でこそなかったが、それぞれ実力者を相手に最後は力の差を見せての勝利、という内容で、荒れ気味だった優勝争いが、今後は少し落ち着く方向に行くのではないかという可能性を感じさせた。
 
そして、きのう挙げた関脇以下の連勝力士の中の注目6人衆(若元春、阿炎、大の里、阿武咲、髙安、尊富士)も、期待に違わず、それぞれに好内容で連勝を継続。結局3日目を終わっての幕内の全勝はこの6人となった。なかでも、まったく引く気配を見せずに大栄翔を押し出した阿炎と、小さい相手にどう取るか、と注目していたら、得意の右差しをはね上げられながらも、左右からおっつけながら相手を逃がさずグイグイ前に出て平戸海を寄り切った大の里の相撲は圧巻だった。
 
この6人が今後も進撃を続けていけば場所はさらに面白くなるが、あす4日目にはこの中から若元春と阿炎が激突。どちらが白星街道をキープできるか、序盤にはもったいないぐらいの好取組で、今から楽しみだ。

文=藤本泰祐

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