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2024-06-19

【アイスリボン】IWGP女子王者・岩谷麻優戦に向け、アイスリボン・藤本つかさが「家出レスラー」鑑賞。王座奪取後の野望とは…【週刊プロレス】

岩谷麻優の半生が描かれた「家出レスラー」を今ごろ鑑賞した藤本

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 6月14日、女子プロレス団体「アイスリボン」の“象徴”藤本つかさが、6・23後楽園ホール大会に正式決定した「スターダム」岩谷麻優が持つIWGP女子王座挑戦に向け、岩谷の半生を映画化した「家出レスラー」を鑑賞。6月14日現在、日本で唯一「家出レスラー」を上映している宮城県大河原の映画館に新幹線で一時間半かけてわざわざ観に行ったという藤本は「私の知らない岩谷麻優のことが思った以上に知れました」とご満悦の表情を浮かべながら、「(岩谷戦を前に)最後にやらなきゃいけないピースがそろった気がします」と6・23後楽園に視線を向けた。
スターダム5・18横浜武道館のタッグ戦で敗れた岩谷がIWGP女子戦の相手に藤本を指名
スターダムのアイコン、岩谷麻優。アイスリボンの象徴、藤本つかさ。

人材の流動化が激しい昨今の女子プロレス界において、2人は生まれ育ったリングで愚直に闘い続け、いつしか団体のシンボルのような存在になった。しかも、スターダムとアイスリボンの間には8年もの間、決して開くことのなかった扉が存在したが、スターダムの創始者ロッシー小川氏が団体を離れ、岡田太郎社長のもとスターダムが新体制になったことで禁断の扉は開かれた。スターダム5・18横浜武道館で岩谷&羽南vs藤本&中島安里紗という刺激的一戦を経て、今回の王者・岩谷vs挑戦者・藤本、IWGP女子戦が実現に至った。

2022年10月に死去した“燃える闘魂”アントニオ猪木さんが創設したIWGPの流れを汲む、IWGP女子王座は同年11月の新日本プロレス&スターダム合同興行で初代王者(KAIRI)が決まった。

だが、IWGPという偉大なタイトルの流れを汲むベルトにも関わらず、大会のメインイベントなど重要なポジションに組まれることはほとんどない。今回のアイスリボン6・23後楽園ホール大会もセミ前という位置づけ。藤本は言う、スターダムならワールド・オブ・スターダム、アイスリボンならICE×∞、それぞれの団体に最高峰王座がある以上、それらをメインに組んだ各団体の判断に全く異論はないと。だが藤本は、燃える闘魂由来のIWGP女子の価値も高めたいとアツく訴える。
映画「家出レスラー」を鑑賞した藤本
だからこそ藤本は、ベルトを取った暁にはIWGP女子を柱に据えた独自興行の開催を提案する。独自興行で「いつ何時誰の挑戦でも受ける」を体現する闘いを重ねながら、IWGP女子王座の価値を高めていくという。

同王座は新日本プロレス並びにIWGP実行委員会の管轄下にある。仮にベルトを取ったとしても、藤本の野望はそう簡単に実現しないと思われるが、ベルト奪取の暁にはブシロードの木谷高明会長にベルト奪取の報告、さらにはIWGP女子興行開催のプレゼンをするというところまで考えているというからその発想力には頭が下がる。

だが、それもこれも岩谷に負けたら水泡に帰してしまうが、藤本は「いま身体も心も本当に調子いいんですよ。岩谷麻優に勝ちます。取りますよ、IWGP女子のベルトを」と豪語。史上初めて他団体のリングでおこなわれるIWGP女子選手権試合。果たして歴史は動くのか。2024年屈指の大一番、勝つのは王者・岩谷か、挑戦者・藤本か――。
5月某日、神奈川・鶴見の総持寺にある猪木墓前を訪れた藤本
そんな藤本との一問一答は以下の通り。

――SNSを拝見したのですが、どこかに出かけていたんですか?

藤本「今週末に地元仙台で試合なんですけど、ある目的があって早入りしたんです」

――ある目的?

藤本「はい。(実家のある宮城県利府町から)車で1時間半かけて宮城県大河原にある映画館に行ってきたんですよ、映画『家出レスラー』を見るために!」

――岩谷麻優選手の半生を映画化したという映画を見るためにわざわざ…! 

藤本「IWGP女子挑戦が正式決定したら見に行こうと思ってたんです。6月9日に決まって、よし観に行こう!と思ったら、全然やってなくて」

――大半が6月6日で終わっちゃいましたからね。

藤本「そうなんです…! でも、検索してみたら宮城県でやってると。ちょうど試合で行くタイミングでもあったし、これは行かなきゃな!と」

――熱心なファンはだいたい見終わってるでしょうし、いまこの時期にそれだけの意気込みで「家出レスラー」を観に行ってるの、日本で藤本さんだけだと思いますよ。

藤本「正直言うとちょっと迷ったんです。車で一時間半とか地味に遠いし、上映開始が朝8時10分ですよ? 逆算すると朝5時に起きて準備して、6時には家を出てなきゃなとか考えたら、どうしようかなって」

――フットワークが軽いことで知られる藤本さんですら二の足を踏んだと。

藤本「はい。おまけに11時半からリモート取材が二件あったし。それでもちゃんと観に行った私をホメてください! そして結果、見に行ってよかったなって思いました。私の知らない岩谷麻優のことが思った以上に知れました。『岩谷麻優、がんばれよ! 辞めんなよ!』と伝えたいですね」

――申し訳ないんでですが、僕は「家出レスラー」観てないのでさっぱりわからないんですが…。

藤本「(無視して)あなたの父親はスターダムだからって言う言葉を聞いて、『辞めないで』って」

――岩谷さん、スターダム辞めるんですか?

藤本「知らないですけど、こないだも『やり残したことがあるから』みたいなこと言ってたじゃないですか。それつついたら動揺してたし」

――あ、たしかに。
午前8時10分の回は藤本の貸し切りだったという
藤本「あと思ったのは主役の子(平井杏奈さん)がめちゃくちゃプロレス向きだなって。この映画は主役の女の子を本当にデビューさせたら勝ちですよ」

――そんなに!

藤本「スターダムがスカウトしないなら私がスカウトします。IWGP女子を取ったら、スカウトする権利得られますよね?」

――それは知りませんが(苦笑)、平井さんをスカウトするためにもアイスリボン6・23後楽園に正式決定したIWGP女子戦は負けられませんね!

藤本「家出レスラーを見て思ったのは、やっぱり岩谷麻優はスターダムのアイコンと呼ばれる存在なんだなって。そうじゃなきゃ映画化なんてされないでしょうし」

――IWGP女子戦はスターダムアイコン対アイスリボンの象徴という見方もされています。

藤本「そういうふうに言っていただくことがすごく多くて。よりプレミアム(な一戦)だなって思いました」

――アイスリボン担当になって7年ぐらい経ちますが、藤本つかさこそアイスリボンの象徴だと訴え続けた身としても感慨深いものがあります。

藤本「本当ですね(苦笑)。週プロさんが私のことをアイスの象徴だって書いてるの見て、やめてよってその時は正直思ってましたけど、ずっと書かれ続けてたら、そういうふうに言われることになんか慣れてしまって。(スターダム4・27BUNTAIで岩谷と対峙した)マイクの時も、アイコン対象徴っていう言葉がとっさに出ましたし」

――スターダムのアイコン、岩谷麻優とアイスリボンの象徴。藤本つかさ、それぞれがスターダム、そしてアイスリボンで積み上げきた闘いがあるからこそ、このフレーズがふさわしい一戦になったんだと思います。

藤本「同じ団体にずっと居続けるっていうのが、なかなか稀になってきてる今の女子プロレス界。その中で私も岩谷麻優もそれぞれの自分の場所で闘い続けてきた。もちろんキャリアも(レスラーとしての)生まれも育ちも違うんだけど、アイコンや象徴と呼ばれるようになった所以もどこか共通するものはあるのかなって思ってます」

――そんな2人がIWGP女子を懸け、激突。誰もが想像しなかった一戦になります。

藤本「ホントですよね。この一戦が決まってから、ホントにいろんな人から『楽しみにしてます』『勝ってくださいね』『お願いだから負けて下さい』とまで言われるんです。ホント『どうなるんだろう』って私自身思いますし、すごい楽しみです」

――スターダム5・18横浜武道館では藤本&中島安里紗vs岩谷&羽南というタッグ戦で激突。試合はベストフレンズが圧勝し、負けた岩谷選手は「心が折れた」という言葉を残しました。

藤本「(6・23は)心が折れた岩谷麻優じゃないといいですけどね」
先ごろおこなわれた記者会見にて
――先日記者会見で顔を合わせたと思いますが、心の傷は回復してると思いましたか?

藤本「どうなんでしょう。会見の時はほんの数分だったので。でも、引きずってるってことはないのかなって思います。勝とうが負けようが、引きずらずに次の闘いに気持ちを切り替えられるからこれだけ長い間、アイコンと呼ばれてるんだと思いますし」

――そんなアイコンを今日「家出レスラー」を見て、より知ることができたと。

藤本「はい! 今日『家出レスラー』を観て、最後にやらなきゃいけないピースがそろった気がします。相手を知るところから闘いは始まるので。私、ホントにベルトが欲しい。IWGP女子のベルトが」

――故アントニオ猪木さんが創設した歴史と権威あるIWGPの流れを汲むのがIWGP女子のベルトです。

藤本「その価値は私も十分理解しているつもりです。ただ、IWGP女子の位置づけに関して言うと、今回のウチの後楽園ホールも、岩谷麻優とSareeeが闘ったスターダム4・23BUNTAIもセミ前でしたが、これはある意味、当然だと思うんです。だって、ウチならICE×∞、スターダムならワールド・オブ・スターダムっていう最高峰のベルトがあるから。それらをメインに組んだ各団体の判断に全く異論はないと。ただ、IWGP女子はIWGP女子でとても権威と価値があるベルトじゃないですか。でも、IWGP女子が大会のメインを張ったのは初代王者を決める闘いと朱里戦だけ」

――確かに。

藤本「IWGP女子のべルトは女子の最高峰にしないといけない。でもこのままだとメインイベントではなかなか実現できない。だったら、私がベルトを取ってIWGP女子をメインに据えた大会を開催します。スターダム以外にも、素晴らしい女子レスラーはたくさんいるんですよ!ここ最近いろんな選手と対戦してよりそう思えます。だからこのベルトを通して証明したい。私がチャンピオンになることで、団体フリー関係なく、挑戦していいんだと思う女子選手が出てきたらドンドン防衛戦をやっていきたい。本当の意味でいつなんどき誰の挑戦でも受ける、そんなベルトになるはずです」

――王座奪取後の野望ですね!

藤本「それを実現するためにも私は岩谷麻優に勝って、ベルトを取ります。取って(ブシロードグループの)木谷会長にこういうことをしたいんです!とプレゼンしにいきましょう!」

――え、僕もですか!? まぁいいですけど…。

藤本「ふふふ。私、いま身体も心も本当に調子いいんですよ。岩谷麻優に勝ちます。取りますよ、IWGP女子のベルトを。6月23日、後楽園ホール、IWGPの歴史に名前を刻むその瞬間をぜひ皆さんに見届けてもらいたいですね!」
アイスリボン6・23後楽園でIWGP女子王座戦はおこなわれる
アイスリボン6・23後楽園全対戦カード

「雨のち、リボン2024」
★6月23日(日)東京・後楽園ホール(11:30)
⑥ICEx∞王座決定戦◎星ハム子vsYuuRI
⑤トライアングルリボン選手権◎<王者>真白優希vsウナギ・サヤカ<挑戦者>vs紫雷美央<挑戦者>
④IWGP女子選手権◎<王者>岩谷麻優vs藤本つかさ<挑戦者>
③中島安里紗&真琴vs咲蘭&長谷川美子
②トトロさつき&まなせゆうな&藤滝明日香vs杏ちゃむ&海乃月雫&古川奈苗
①Yappy&光芽ミリアvs神姫楽ミサ&しのせ愛梨紗
◆チケット情報◆
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週刊プロレスNo.2299 (2024年5月15日号/5月1日発売) | 週刊プロレス powered by BASE

今週号の表紙はプロレスこけら落とし興行となったスターダム横浜BUNTAIでIWGP女子V5に成功した岩谷麻優です。横浜ビッグマッチは話題満載。舞華が赤、安納が白を防衛したほか、Sareeeとの大熱戦を制した岩谷の前にはアイスリボン藤本つかさが登場して禁断の遭遇。ほかにスターライト・キッド大江戸隊追放など見所だらけの大会を巻頭で詳報。新日本にも大きな動きあり。後楽園大会にNOAHを主戦場としているジェイク・リーが突如登場。内藤哲也を襲撃すると、バレットクラブのWAR DOGSと結託し、広島大会に電撃参戦。ジェイクは引き続き内藤狙いを宣言。試合リポートのほかNOAHの大会で直撃したジェイク本人の言葉、武田取締役に聞いたNOAHの見解も巻末言にて。NOAHは新宿、新潟、横浜とそれぞれ異なる3ブランドの大会を追跡。「マンデーマジック」でジェイクとの挑戦者決定戦を制して両国でGHC挑戦が決まった清宮海斗のインタビューも掲載。「ヒューマンストーリー」登場のGHC王者イホ・デ・ドクトル・ワグナーJrのプロレス入りまでの話も必読。DDTは墨田区ビッグマッチ、全日本は「チャンピオン・カーニバル」中盤を追跡。そのほかドラゲー金網展望企画、大日本・後楽園、2AW千葉、ガンプロ北沢、東京女子・北沢、アイスリボン川口、OZ後楽園、プロミネンス新木場、AEW通信など掲載。

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