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2024-11-18

【しゅりんぷ池田のカード春秋】プロ野球90周年カード(第10回)波乱の1975年

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筆者がプロ野球を見始めたきっかけは73年夏に発売を開始したカルビーの「プロ野球スナック」(当初はポテトチップスではなかったのです)のオマケの野球カードと同年秋に放映を開始した梶原一騎原作のアニメ「侍ジャイアンツ」でした。そして、本格的にプロ野球を観るようになったのはその2年後の75年からだったのですが、この年は大変な年でした。

前年限りでV9が途絶え、長嶋茂雄も引退し、直後の75年から巨人の監督に就任します。同年は広島、阪神、大洋、太平洋も新監督(それぞれ、ルーツ、吉田義男、秋山登、江藤慎一)となったのですが、75年は元号で言うと昭和50年でしたから、新しい時代が始まったなという感じがしたものです。

シーズンが始まってみると、なんと長嶋・巨人が最下位に沈んだまま。そして、首位に浮上してきたのが広島でした。カープは前年まで3年連続の最下位で、球団創設以来Aクラスに入ったのも68年の1年だけだったので、大変驚きました。昭和40年代にずっと優勝していた巨人が最下位で、ほとんど最下位だった広島が首位なのですから、本当、天と地が入れ替わるような事態だったわけです。

同年のオールスターでファン投票で選出された山本浩二と衣笠祥雄が第1戦でともに2本塁打を放ってカープは勢いに乗り、75年シーズンは「赤ヘル旋風」が吹き荒れます。

そして迎えた10月15日の巨人戦(後楽園)では9回にホプキンスが3ランを放って試合を決定付け、最終回巨人の柴田勲が打ち上げた左飛をレフトの水谷実雄がキャッチしてゲームセット。広島が球団創設26年目で初優勝を飾ります。今回掲載しているカードはこの試合後にお立ち台に上がって泣きじゃくる主砲の山本浩です。同年は打率.319で首位打者となり、MVPに輝きます。

No.114 広島が初優勝
No.114 広島が初優勝

一方巨人は球団創設以来初の最下位に沈みます。主砲・王貞治は故障もあって出場試合数を減らし、前年まで13年連続で続けていた本塁打王の座を田淵幸一に譲ることに。巨人はこれだけ負けたにもかかわらず、同年は前年より24万人多い280万人の観客動員を記録したのでした。


当コラムは、これまで「週刊ベースボール」の「Curutural Review」のページに掲載されていたカードのコラムを転載していたのですが、2001年春から続いていたこの連載が先日の4月1日号をもって終了しました。今後、当コラム「カード春秋」(※)はBBMカードサイトのオリジナルコラムとして続けていこうと考えておりますので、よろしくお願い致します。

※「カード春秋」というタイトルは、わたしの出身校・香川県立高松高校(旧制・高松中)の大先輩にして、文藝春秋社の創設者である菊池寛先生へのオマージュなのです。

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