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2025-09-27

【相撲編集部が選ぶ秋場所14日目の一番】若隆景、霧島の両関脇負け越し。王鵬と隆の勝が関脇争う展開に

隆の勝は霧島を突き出し、11勝目。一方の霧島は負け越し。さらに若隆景もこの後負け越したことで西関脇の地位が空くことになり、隆の勝と王鵬がその座を争う形になってきた

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隆の勝(押し出し)霧島

この日、大の里と対戦するはずだった琴櫻が、右ヒザを痛めて休場。大の里が不戦勝となり、もし豊昇龍が結びの一番で敗れれば、その時点で優勝が決まってしまう可能性もあったが、豊昇龍が左から張り差しのフェイントをかけて右変化の叩き込みで若隆景を降して、何とか優勝争いの興味は千秋楽までつながった。

優勝に関わる相撲が注文相撲で決まってしまったので、きょうは優勝争いをいったん離れ、ここでは来場所の三役(関脇・小結)がどうなるかを展望していくことにしたい。

14日目を迎える時点で、来場所の番付で三役の可能性を持つと考えられる力士は10人ほどいた。

現在関脇の若隆景、霧島はともに6勝7敗と苦しい星。残り連勝で勝ち越せれば関脇残留、7勝8敗なら小結留め置きか平幕転落、6勝9敗なら、まず平幕転落だ。小結陣は髙安が負け越して転落濃厚、安青錦はここまで10勝を挙げているが、近いところでは平戸海が小結で10勝して留め置かれた例があるので、関脇確定のためにはもう1勝挙げたい。

来場所関脇・小結の枠がいくつ空くかは、この後の両関脇と安青錦の成績次第で、最低1、最大3となるが、この時点では2枠が濃厚か。

平幕から上がる候補としては、すでに勝ち越している西2枚目の王鵬、東7枚目の隆の勝の星が強い。東2枚目で7勝の伯桜鵬が勝ち越せればここに絡んでくる形。また、今後、自分を含めて関係する力士の勝敗がすべて都合よく展開した場合には、平戸海、若元春、宇良、欧勝馬にも可能性があると考えられた。

さて14日目。まず宇良が勝って10勝目、欧勝馬も9勝目を挙げ、可能性を継続させた。次は伯桜鵬と若隆景の勝ち越しをかけた一戦。左四つから寄り切って若元春が勝ち越し。伯桜鵬は勝ち越しお預け、新三役へはあす勝ったうえで周囲の状況の好転を待つということになった。

続いて王鵬が草野を押し出し9勝目。平幕勢では最も強い立場をキープした。この時点で三役復帰はかなりの確率だ。

そして三役陣登場。安青錦が平戸海を叩き込んで11勝目。これで現在の関脇陣の結果に関わらず、新関脇は手にしたと言える形に。平戸海は勝ち越しお預け、伯桜鵬同様、あす勝ったうえで、状況の好転待ちに。
 
続いて隆の勝が、相性のいい霧島を突き出して11勝目。霧島は負け越した。

「張ってくれたんで上体が起きて、突きやすかった。相手にしっかり伝わったかな。二ケタ勝っていたのできょうは自分の相撲だけに集中できたかなと思う」とは勝った隆の勝。自らの白星を伸ばし、関脇を1人負け越しに追い込んだことにより、この時点で三役復帰の可能性を大きく広げた。
 
最後に若隆景が敗れて負け越し。これで安青錦の来場所東関脇が確定。さらに西関脇の座が1つ空くことになった。ここに入る可能性があるのは、王鵬と隆の勝。現状では王鵬のほうが星が少し強く、有力だが、千秋楽の勝敗次第ではまだ隆の勝の逆転もある。この争いで及ばなかったほうが、東小結ということになりそうだ。
 
西小結は、若隆景か霧島があす勝てば三役留め置き、あす2人とも負けた場合は……、なんと7勝8敗に持ち込んだ髙安が西に回るだけで残留、の可能性が浮上する。
 
その場合はこの髙安と、あす伯桜鵬が勝った場合、若元春が勝った場合、の順で比較になるか。そう考えていくと、髙安の巻き返しにより、平戸海(勝ち越しの場合)、欧勝馬、宇良はちょっと厳しくなった、と言えるか。
 
まだまだ、あすの欧勝馬-王鵬、髙安-霧島、若隆景-隆の勝の勝敗次第で、さまざまな組み合わせの可能性が残っていそうだ。
 
ともあれ、いよいよあすは千秋楽結びの横綱同士が優勝をかけた一番になる。大の里のこの日の不戦勝があすのリズムにどう影響してくるかは分からないが、大の里が勝ってすんなり決めるか、豊昇龍が直接対決に強いところを見せて決定戦に持ち込むか。

初の千秋楽横綱同士の「大豊対決」を楽しみにしたい。

文=藤本泰祐

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