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2026-01-11

【相撲編集部が選ぶ初場所初日の一番】新大関安青錦が落ち着いて曲者の宇良を退け、白星発進

最後は左を差しての寄り倒し。落ち着いて曲者の宇良を寄り倒し、初日を白星発進した新大関の安青錦。あすの義ノ富士戦も注目だ

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安青錦(寄り倒し)宇良

曲者が相手でも、落ち着き払って白星を手にした。
 
新大関の安青錦が、宇良を危なげなく寄り倒し、白星発進だ。

初土俵から所要14場所という、稀に見るスピードで昇進した大関としての最初の一番。本人は「新大関、というより、初日の相撲ということで、動きとか全部、硬かったと思う」と言うが、終始落ち着いた動きで、危ない場面もまったくなかった。

「思い切り突っ込むと、相手は動きが速くて、叩き、イナシもうまいんで」と、立ち合いは頭の位置は低くしながらも、顔を上げてよく見て当たり、左右から突き上げて起こしにいった。
 
途中、「宇良関が低いんで」と、一瞬、相手の頭を両手で抑えて引きにいきかけたところもあったが、「でも、自分もその低さに負けない、と思って」という気持ちが思い直させたのか、引きは繰り出さず、左から、相手の脇の下ではなく、胸を下から起こしにいくように押し上げ、左差しに成功。そのまま差し手を突きつけるようにして、相手の小手投げにも動じず寄り倒した。
 
さらに、取組後の支度部屋の囲み取材でも新大関は落ち着いたものだった。宇良は変則的な動きも多い曲者なので、横綱・大関にとっては、緊張感のある初日の相手としてはやはり嫌なはず。その相手を降しての白星発進なので、普通ならちょっとホッとするところがあっても不思議ではないが、「まあこれから。ここからが大事です」と、ひと息つくような雰囲気が漂うことはまったくなかった。このあたりにも、あす以降への期待が高まってくる。
 
大関になっての違いを聞かれ「場所前も感じていたけど、皆さんの声援がすごい。それに応えられるように、15日間頑張りたい」と、場所全体を見据える新大関。当然、それは最後まで優勝を争う、という気概にもつながってくることだろう。
 
ただあすは、これまで2戦2敗、先場所は突き起こされて一方的に敗れており、安青錦にとっては大の里に次ぐ難敵と言っていい義ノ富士との対戦が待つ。本当に好発進となるかはこのハードルを越えてから、ということにはなるだろう。相手の突っ張りにどう対応策を練ってくるかは見ものだ。
 
この日は安青錦だけでなく、ほかの横綱・大関陣も白星を連ね、さらには両関脇も勝って波乱なしの初日。先場所痛めた左肩の状態が心配される横綱大の里は、左は少し相手の腕にあてがった後、一山本が引いたところにつけ入ってハズに入っての勝ちなので、まだちょっと状態の判断はつきかねる感じ。また、場所前は復調気配も感じられた大関琴櫻は、義ノ富士に攻め込まれ、出し投げでかわして送り出しという内容で、こちらもまだ好不調については即断できない印象ではあったが、とりあえず白星は手にした。豊昇龍は若元春に快勝。初日の内容だけで言えば、豊昇龍と安青錦はある程度順調、と見えた。
 
あすの義ノ富士戦をクリアできれば、安青錦が今場所も優勝争いに絡んでゆく条件は整うと言えるが、さてどうなるか。この日、「色が紫なので、一番大関にふさわしいと思って」と、赤紫の地に紫のバレンの化粧廻しで堂々土俵入りをした新大関。大関らしさを見せつつも、もちろん長くそこにとどまることを目標としてはいない。昇進伝達式で述べた「さらに上を目指して精進します」の口上に込めた気持ちはいささかも揺らぐところなく、今場所も着実に歩を進めてゆく。

文=藤本泰祐

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