
1敗の照ノ富士が勝って、2敗の朝乃山が敗れれば、照ノ富士の5年ぶり2回目の優勝が決まる14日目。照ノ富士は3敗の関脇正代との対戦を迎えた。
※写真上=3敗の関脇正代が照ノ富士をモロ差しから寄り切り、優勝争いを盛り上げた
写真:月刊相撲
両者、仕切りを重ねるごとに気合がみなぎり、顔が紅潮していく。正代も勝てば優勝の可能性が残り、ともに負けられない一番。ついに時間いっぱいとなり、木村容堂の軍配が返った。
先に手をついて待つ正代。照ノ富士のタイミングで立ち、激しくぶつかり合う。照ノ富士は左上手を取ったが、正代にモロ差しを許し、土俵際まで寄り詰められる。正代は肩透かし気味に右に動いて引き、照ノ富士のバランスを崩す。さらに照ノ富士が向き直るところを二本差して前進。照ノ富士は土俵下に転げ落ちた。
勝った瞬間、落ちたサガリを拾い上げて小さくガッツポーズをした正代。おとなしいイメージの力士だけに珍しい。学生横綱を取ったときのような気合だった。「好調な相手だし、前日から意識していたから、(ガッツポーズが)出たのかな」と正代。
取り口については、「モロ差し気味にいって、立ち合い負けないように前に出るつもりだった。中途半端にいって極められるぐらいなら、思い切り前に出ようと、そこだけに集中しました」と振り返った。
初優勝の可能性を残した正代だが、「千秋楽だし、あと一番、楽しめればいいかな。意識しても硬くなるし、頭の片隅に置いておくくらいにします」と平常心を強調した。
敗れた照ノ富士はノーコメントのまま国技館を去ったが、結びで同部屋の照強が2敗の朝乃山を破る援護射撃。再び、照ノ富士が単独トップに立った。14日目を終え、2敗に照ノ富士、3敗に朝乃山、正代、御嶽海の3人。
審判部は打ち出し後に千秋楽の取組編成会議を行い、照ノ富士は御嶽海、正代は朝乃山との一番が組まれた。照ノ富士が勝てば、すんなりと優勝が決まるが、敗れれば優勝決定巴戦となる。千秋楽にどんなドラマが待っているのだろうか。
文=山口亜土
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