
富樫(柏戸)、納谷(大鵬)と名乗った取的時代から、二人は意識し合う存在だった。大鵬は十両時代に、「立ち合いに突っ張ることを勉強して、柏戸さんみたいな力士になりたい」と明言している。
写真上=昭和39年初場所千秋楽、叩き込みで大鵬が12回目の優勝を決める。対戦成績が互角になり、翌場所大鵬が逆転するが、翌翌場所は柏戸が互角にし、また逆転する
写真:月刊相撲
偉大なる先人・双葉山を大きく超える優勝32回、
2度の6連覇という金字塔を打ち立てた大鵬。
「巨人、大鵬、卵焼きと並び称えられたように、
子どもたちのヒーローであり、憧れだった。
戦後昭和を代表する大横綱は、
柏戸とのライバル対決で大相撲界に黄金期をもたらした。
※平成28~30年発行『名力士風雲録』連載「ライバル列伝」を一部編集。毎週金曜日に公開します。
昭和35(1960)年初場所、新入幕で11連勝と快進撃を続ける大鵬を、下手出し投げで土俵に這わせ、いち早く出世街道をはしる者の矜持を見せつけた示した柏戸。気の早いマスコミは「柏鵬時代の幕開け」とはやし立て、栃若に続く、二人のライバル出現にファンも大きな期待を寄せた。ときに柏戸21歳2カ月、大鵬19歳8が月。曲線的な「柔」の大鵬に対し、直線的なスピードで勝負する「剛」の柏戸。ともに長身の大型力士ながら、取り口に対照の妙があった。
大関時代までの対戦成績は、柏戸が7勝3敗とリード。爆発的に一気に前に出る相撲で、ホープを退けた。柏戸へのライバル心をいっそう燃やした大鵬は、追いつけ追い越せと猛稽古に励む。横綱に同時昇進後は毎場所のように千秋楽で対決、二人の激闘をファンは固唾を飲んで見守った。
39年初場所、対戦成績が並ぶ。その後は勝ち負けを繰り返し41年以降は大鵬が優勢となるも、その差は圧倒的に差のある優勝回数ほどは開かなかった。独走時代に入った大鵬にとって、最後まで柏戸は怖い存在だったのである。44年名古屋場所、柏戸引退。ライバルを失った大鵬は、その後2度の優勝で最後の花道を飾った。

『名力士風雲録』第3号大鵬掲載
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