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2020-03-12

【相撲編集部が選ぶ春場所5日目の一番】 御嶽海(寄り切り)貴景勝

異例の無観客開催で始まった春場所も序盤の5日間を無事に終えることができた。全勝は横綱白鵬、関脇朝乃山、平幕の御嶽海、碧山の4人。朝乃山と碧山は髙安、剣翔休場による不戦勝だった。元大関の髙安は再出場できなければ、幕尻近くまで落ちることになる。

※写真上=平幕に落ちた御嶽海が貴景勝を寄り切り、全勝を守った
写真:月刊相撲

 5日目の注目の一番は貴景勝-御嶽海戦。過去の対戦は7勝7敗の五分で、本割では貴景勝が4連勝中だが、昨年秋場所は優勝決定戦で御嶽海が勝っている。

 熱戦が期待されたが、勝負は一方的に決まってしまった。立ち合いで当たり勝った御嶽海がすぐにモロ差し。貴景勝が右を巻き替えたが、御嶽海は左からおっつけながら前進。一気に土俵外へ貴景勝を運んだ。

「中に入る感じで悪くなかったと思います」と御嶽海。初日からの5連勝にも、「まだ序盤なんで、これからじゃないですか」と気持ちを引き締めた。

 3敗目を喫した貴景勝は、「また切り替えて、一生懸命やれれば」と言葉少なに立ち去った。序盤での黒星先行は1年半ぶりのことで、大関に上がってからは初めて。先場所千秋楽で德勝龍に敗れた相撲が尾を引いているような気がする。

 御嶽海は17場所連続在位した三役から平幕に陥落した初場所でも7勝8敗と負け越した。2場所連続の負け越しはプロ入りしてから初めてのことだった。大関争いでは貴景勝に先陣を許し、今場所は朝乃山にも先を越されようとしている。

 優勝2回の実力者としては、相当悔しかったのではないか。今場所前は精力的に出稽古に行き、「プライドを捨てて、もう1回上を目指したい。ゼロから自分の相撲を作り直していきたい」と語っていた。

 明日は全勝の朝乃山と御嶽海の一番が組まれた。6日目でこの顔合わせは早すぎてもったいない気がするが、優勝の行方と朝乃山の大関昇進を占う大一番。熱戦を期待したい。

文=山口亜土

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