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2019-07-19

相撲編集部が選ぶ名古屋場所13日目の一番 友風(叩き込み)鶴竜

優勝戦線に残っている2敗の照強は阿武咲を押し出し、1敗の白鵬は小手投げで妙義龍を下したが、結びの一番で大波乱が待っていた。

※写真上=役力士としての対戦も初めての友風が、結びで大殊勲の金星を獲得した
写真:月刊相撲

 昨日、関脇玉鷲との一番がなくなり、友風と組まれたことは鶴竜にとってラッキーと書いたが、何が起こるかわからないのが、相撲の恐ろしいところ。

 友風は幕内3場所目で、これまで役力士との対戦経験はなく、いきなりの横綱戦だった。鶴竜としては力の差を見せつけてやろうと気合が入りすぎていたのか。

 立ち合い低く鋭く踏み込んだ鶴竜。右で前廻しを狙うも友風が一気に後退して取れず、低い体勢のまま前に出た。しかし、土俵際で友風に体を開いて叩かれると土俵下に転げ落ちて初黒星。横綱初挑戦の相手に対し、慎重さが足りなかった。

 この日、場所に向かう車の中で友風に一本の電話が入った。休場している兄弟子の嘉風からだった。「お前も楽しみだろうけど、俺のほうが楽しみだ。体は動いているから、体の反応に任せろ」というアドバイスをもらっていた。

「とっさに動いて引いてしまいましたけど、精いっぱいやりました。頭の中は真っ白ですけど、うれしいです」と友風。相撲内容では負けていたが、体の反応に任せた初金星獲得だった。

 この相撲は師匠の尾車親方(元大関琴風)も、テレビの画面ではなく西花道奥で生観戦(役員室から西花道奥は非常に近い)。「親方がいるのはわかりました。師匠の顔を見て緊張がほぐれた」と笑う。

 これで白星を二ケタに乗せ、全勝の横綱に土をつけたということで三賞獲得は確実。「まだ2日あるので、気を抜かずにしっかり頑張ります」と気持ちを引き締めた。

文=山口亜土

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