9月12日、日本インカレ2日目の女子走高跳で浅井さくら(筑波大4年)が1m78で優勝。高校3年時に岡山インターハイ、日本ジュニア選手権の二冠を達成したハイジャンパーにとって、4年ぶりのタイトルとなった。
写真上=1m78を一発でクリアし、初優勝を決めた浅井(撮影/中野英聡・陸上競技マガジン)
「諦めないでやってきて良かったな、と思いました」
女子走高跳を制した浅井さくら(筑波大4年)は感泣した。4年間のさまざまな思いが去来したのだろう。
浅井は岡崎城西高(愛知)2年時の2015年に和歌山インターハイで2位、日本ユース選手権で優勝。3年時には岡山インターハイを高校歴代6位タイの1m81で制し、日本ジュニア選手権との二冠を獲得した。
しかし、筑波大入学後は伸び悩んだ。1年時の関東インカレで5位に入ったのが最高実績で、記録的にも3年時の1m75が大学でのベストにとどまっていた。かつての自分自身を超えられない日々が続き、「本当に苦しい4年間でした」と涙ぐんだ。
それでも、最後の日本インカレに向けて調子を上げた。筑波大の女子副キャプテンとしての意地とプライドもあった。
今大会は従来のルールに加え、高さを競う種目は8回の試技で競技終了という特別ルールが適用されたため、試技数をなるべく抑えなくてはならない。浅井は競技開始前の跳躍練習で1m70を一発でクリアしたことから、「強気にいこう」と決め、最初の1m65をパスして1m70から始めた。1m70を2回目、75を3回目、78を1回目にクリアして優勝が決定。自己タイとなる1m81は2回までしか試技数が残されておらず、その2回で成功させることはできなかったが、悲願の初優勝を手にした。
「今日は大学に入ってから一番良い助走ができて、流れのある踏切から跳躍につなげられました。1年生のときからインカレの優勝を狙ってきたので、やっと目標を叶えられました。応援してくれた家族や仲間に良い報告ができるのがうれしいし、“やったよ!”と言いたいです」
1m75で3回の試技を要したことを悔やみながらも、4年ぶりの全国制覇を喜んだ浅井。これで、3週間後に同じ会場で行われる日本選手権の参加標準を突破、大舞台での自己記録更新に意気込む。
日本選手権には3年ぶりの出場となる。1m80以上を跳べば、初入賞どころか、優勝が見えてくるはずだ。高校と大学のタイトルを獲得して、完全復活を遂げた浅井が、一気に日本一まで駆け上がるかもしれない。
文/石井安里
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